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マリー・ホール・エッツさんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
マリー・ホール・エッツはどんな人?
1895年、米ウィスコンシン州の小さな町に生まれる。ニューヨークの美術学校を卒業。シカゴ大学で社会学を学びながら、社会事業活動に従事。コロンビア大学で児童心理学を学ぶ。デビュー作品は「ペニーさん」(徳間書店)。1960年に「クリスマスまであと九日」(冨山房)でコールデコット賞を受賞。1984年に永眠。
マリー・ホール・エッツさんは、20世紀前半のアメリカで、絵本黄金時代を築いた偉大な作家です。
代表作品である「もりのなか」(福音館書店)は、日本でも長年ベストセラーの作品です。
動物達とたわむれた幼少期の経験が影響して、エッツさんの作品は、動物と自然がテーマのものが多いです。
下記のおすすめの5冊も、エッツの動物に対する愛情が感じられます。
動物好きな子どもは、エッツの描く動物が「何をするのかな」と、夢中になってお話しに聞き入るでしょう。
マリー・ホール・エッツのおすすめ絵本
1.【福音館書店】もりのなか
【年齢】1歳から6歳
【あらすじ】男の子がライオンやゾウなどの動物達と森の中を散歩して、楽しく遊びます。しかし、かくれんぼを始めると動物たちはいなくなってしまいました。
1963年発行以来、エッツのベストセラー絵本です。
白と黒のモノトーンの絵本なので、大人には地味な印象を与えます。
子どもは別の見方をするようで、白黒だからこそ、森は一層深く見え、動物達の動きが際だって見えるようです。
視野が広がり簡単な輪郭が分かる1歳半ごろからの読み聞かせがいいでしょう。
年長さん以降になってくると、図鑑などを見て、森に住む動物の知識も少しずつ増えてくるでしょう。
それぐらいの時期のお子さんには、「あれ、カンガルーは森に住んでいるかな?」などと質問しながら読むと楽しいでしょう。
この作品の続編として「またもりへ」が発行されています。
2. 【福音館書店】わたしと あそんで
【年齢】2~6歳
【あらすじ】女の子が原っぱで、バッタやカメなどの小動物と出会います。遊んでほしくて近づくのですが次々に動物たちに逃げられてしまいます。
絵本を開くと、左ページと右ページとでは同じ背景なのに、女の子と動物の様子が少し違います。
まるで、間違い探しをしているように、子どもは、両ページに描かれた女の子と動物の様子の違いをじっくり観察します。
例えば、左ページで女の子がカエルと出会う様子が描かれていますが、右ページでは女の子がカエルをつかまえようとして逃げられてしまう様子が描かれています。
最後は、逃げた動物たちが戻ってきて、女の子の周りに集まってきます。
そのときの女の子の幸せな様子が笑顔満点で表現されています。
女の子の笑顔で、読んでいる子どももにこにこ顔になります。
主人公は女の子ですが、虫やかえるなどの小動物が出てくるので男の子の興味をもそそる魅力あふれる絵本です。
3.【大日本図書】おやすみ、かけす
【年齢】2歳~5歳
【あらすじ】小さな男の子がカケスやヤギやカエルなどの声に耳を傾けます。そして、「おやすみ」と声を掛けていきます。
エッツの繊細な絵と耳に心地よい文が小さな読者の心をとらえる絵本です。
日本人にとっては、「かけす」がどういう鳥かなじみが薄いですね。
エッツが幼少時代を過ごした場所では、身近な鳥だったようです。この作品以外にもよく登場します。
読んでいる大人は登場する動物の説明などを付け加えたくなります。
でも、この絵本に限っては、無駄な説明は不要です。
子どもは絵を見れば分かるからです。
エッツの描く静かな自然の世界に親子でひたるために、無駄な説明を付け加えないようにした方がいいでしょう。
急がず、絵をよく見せながら、ゆっくり読むことをおすすめします。
文章も簡単ですぐに読み聞かせができるので、小さな子どものお昼寝前の1冊としておすすめです。
4.【偕成社】モーモーまきばのおきゃくさま
【年齢】2歳~7歳
【あらすじ】牛がおいしい草を食べてもらおうと牧場の動物達をパーティーに招待します。そして、動物たちは歌をうたい、おにごっこをして楽しく過ごします。
モノトーン使いの絵本が多いエッツですが、こちらの作品は、表紙も中身もピンク色が中心です。
牧場といえば、緑色ですが、ピンクが背景色に使われています。
全体的にほのぼのとした印象を与えてくれます。
2~3歳のお子さんは動物の絵を見るだけで満足します。
牧場で動物達が手をつなぎ、歌を歌っているページは特に興味をひきます。
牛やカケスの気持ちなど、絵本の内容を理解するのは、年中、年長以降からだと思います。
お子さんが保育園や幼稚園でなかなか気の合うお友達ができなくて寂しい思いをしているときに読んであげたりすると、まきばの優しい動物たちに元気づけてもらえるかもしれません。
この絵本は、読んだ人を前向きな気持ちにしてくれる魅力があります。
5.【冨山房】いどにおちたぞうさん
【年齢】3歳から7歳
【あらすじ】子どものゾウが井戸へ落っこちてしまいます。色々な動物が出てきてゾウをひっぱり上げようとします。
白黒の版画絵が印象的な絵本です。
モノトーンだからこそ、動物たちの活き活きとした楽しそうな雰囲気がスッと子どもに伝わります。
繰り返し文が多いため、小さなお子さんでも安心して読み聞かせをしてあげられます。
井戸に落ちたゾウを助けるために、最後はねずみが登場します。
他の動物にバカにされながら、みんなで一緒にひっぱり、ゾウは助かります。
この展開に子どもは素直に納得するようです。
大人は、なぜ体が大きなゾウを体が小さいねずみが出てきて助けられたのかと理性で考えてしまいます。
でも、子どもは、ゾウが助かったことがうれしいのでそのようなことを疑問に持たないようです。
小学生中学年以降になると理性で考えるようになるので、この絵本は幼児から小学生低学年におすすめです。