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なかのひろたかさんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
なかのひろたかはどんな人?
1942年、青森県生まれ。1964年、桑沢デザイン研究所リビングデザイン科卒業。デザイン会社勤務を経て、絵本作家になる。「ぞうくんのおさんぽ」シリーズをはじめ、著書多数。
なかのひろたかさんは絵本作家です。
ぞうくんのさんぽシリーズでお馴染みの作家さんです。
こちらのシリーズは、お話が単調で読み聞かせがしやすく、年齢の低い子供にもおすすめです。
また、著書の中には、兄弟がいる環境でよく見られるけんかのお話、洋服のお下がりのお話など、身近な題材も取り上げられているものもあります。
そして特におすすめなのが、「およぐ」という作品。
「泳ぐ」という動きの説明を、言葉と絵を上手く使い、分かりやすく説明しています。
デザインのお仕事を経験された作家さんだからこそ表現できる、水しぶきの様子や、水中での表情や体の動きなど、見所が詰まっています。
なかのひろたかのおすすめ絵本
1.【福音館書店】ぞうくんのさんぽ
【あらすじ】ぞうくんは、かばくん、わにくん、かめくんと、次々に乗せてお散歩をするが、あまりの重さによろけて、みんなで池におっこちてしまう。
いいお天気に誘われてお散歩に出かけたぞうくん。
「のせて」といわれ、かばくん、わにくん、かめくんと、次々に動物たちを背中に乗せていきます。
「おもいな」と苦しそうにするぞうくんを、心配しながら子供たちはお話を聞いることでしょう。
力持ちのぞうさんも、さすがに限界。
うわーっと倒れるシーンでは、子供たちも「はっ」とした表情に変わるでしょう。
池の中におっこちるも、みんなはごきげん。
おひさまと、水遊びが大好きなのは、子供も動物たちも、一緒のようです。
2.【PHP研究所】きつねさんがあそびにきた
【あらすじ】幼稚園に、男の子に化けたきつね、コンキチがやってくる。園児とお弁当を分け合って食べたり、楽しく過ごしていたが、自分がきつねである事がばれたと気付いたコンキチは、山へ逃げてしまう。
日本では昔から、きつねが人間に化けるといったお話が、数多く親しまれています。
こちらもその中の一冊。
この絵本に出てくるきつねコンキチは、化け方が未熟で、おひげが生えたままで、お耳も三角にとがっています。
ですから、先生や園児にすぐばれてしまうのですが、きつねを驚かせて山へ逃げていてしまってはいけないと、気付かないふりをして過ごします。
幼稚園での時間があまりにも楽しく、気が緩んでしまったコンキチは、どんどんきつねに戻ってしまいます。
子どもは、そんなコンキチを見て驚く園児たちの、今にも「おひげ!」「おみみ!」言い出してしまいそうな様子と、自分の気持ちを重ねて、ドキドキしながらお話に聞き入ります。
正体がばれたと気付き、山に帰ってしまったコンキチは、山へ遠足にきた園児たちを、そっと木陰から見守ります。
「またあそぼうね」と、呼びかけあう園児とコンキチの絆に、心が温まります。
3.【福音館書店】およぐ
【あらすじ】泳げるようになるための練習方法を、浮く、水慣れ、息つぎと、順を追って説明する。
絵本の主人公が、泳げるようになるための練習をする様子に沿いながら、お話が進みます。
実際にお風呂で体が浮くのか実験をしたり、深呼吸をして、肺の仕組みを確認するなど、子供自身の体を使って体験させてあげると、より絵本での世界が身近に感じられます。
シャワーでの水慣れ、プールでの顔付け、洗面器での息継ぎと、少しずつレベルを上げて、泳げるようになるための練習を積んでいきます。
この絵本は、泳ぐという事に興味を持った子供へはもちろん、水に対して恐怖心を持っている子供にもおすすめです。
また、どんな風に泳ぎを教えようかと悩んでいる、大人の方にも、参考になる絵本です。
4.【福音館書店】だぶだぶ
【あらすじ】けんぼうは、おさがりのだぶだぶの上着と帽子に、猫、犬、鳩を入れて森へ探検に出掛ける。途中、オオカミに遭い追われるも、だぶだぶの服に詰め込んだものたちのお陰で、難を逃れる。
けんぼうは、だぶだぶの上着と帽子に、猫、犬、鳩を入れて、勇んで森へ探検に行きます。
しかし、その背後からは、お腹を空かせたオオカミが。
大きな口をあけて飛びかかるシーンでは、聞き入っている子供達は息をのむでしょう。
でも、大丈夫。
だぶだぶの帽子に潜んでいた鳩が飛び出し、オオカミを驚かせ、けんぼうは逃げる事が出来たのです。
オオカミは、何度もけんぼうを食べようとしますが、そのたびに、だぶだぶの上着から飛び出す、猫や犬が、引っかいたり、吠えたりして、助けてくれるのでした。
初めは嫌々おさがりを着ていたけんぼうも、そしてお話を聞いている子供も、だぶだぶの魅力に、惹き込まれているはず。
少しだぶだぶの、おさがりの服を嫌がるお子さんの心を動かす、とっておきの絵本です。
5.【福音館書店】なきむしおばけ
【あらすじ】くんちゃんが、泣くのを我慢して垂れた鼻水は、膨らんで、なきむしおばけになる。どんどん大きくなるおばけへの怖さを我慢していたら、なきむしおばけは、ついに破裂して消え、もう出てこなくなる。
つい私たちは、泣いている子どもに、「もう泣かないの」と、声を掛けてしまいがちです。
しかしこの絵本に登場するなきむしおばけは、「泣け、泣け」と、主人公のくんちゃんををあおります。
すると、くんちゃんは「泣くものか」と、心を震わせて我慢をするのです。
子供特有のあまのじゃくを、上手く利用したなきむしおばけのアイディアに、感心してしまいました。
子供にとって泣くという行為は、意思表示をする上で、とても大切な手段です。
しかし、成長につれて、自然と我慢を覚え、泣く事を乗り越える瞬間があります。
この絵本は、子供が自分で、そのきっかけを見つける手助けとなってくれる絵本です。