「やなせたかし」の絵本~読み聞かせにおすすめの5冊~

やなせたかしさんが手がけた絵本の中で、子どもに読み聞かせを慕いえりすぐりの作品を紹介します。

やなせたかしさんはどんな人?

【プロフィール】
1919年2月6日、東京に生まれ、高知県で育つ。1939年、官立旧制東京高等工芸学校図案科(現在:千葉大学工学部デザイン学科)を卒業。その後、戦地での体験などを経て、1946年高知新聞に入社し、雑誌の漫画などを担当。1967年には漫画「ボオ氏」にて週刊朝日漫画賞受賞。1969年には短編メルヘン集の十二の真珠で『アンパンマン』が初登場。94歳で永眠。

やなせたかしさんはアンパンマンシリーズの作者として知られています。

ですが、アンパンマンシリーズ以外にも数多くの作品、そして作曲なども含め、手掛けている事で有名です。

アンパンマンはいわずもがな、多くの親御さんの知っていることでしょう。小さな子どもが必ず通る道としても知られるシリーズ作品です。

絵本としての代表作には『アンパンマン』のほかに、『チリンのすず』『やさしいライオン』『ボオ氏』などの数多くの作品があります。

やなせたかしさんの作品は、ただのハッピーエンドでは終わらず、哀しい結末を迎えるものも多数あります。

不条理さや厳しさを描いているため、大人が考えさせられる作品が多い事もやなせさんの特徴であると言えるでしょう。

やなせたかしさんのおすすめ絵本

1.【小学館】ガンバリルおじさんとホオちゃん


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【年齢】3~5歳頃
【あらすじ】森の動物と一緒に暮らすガンバリルおじさん。家の前に植える木を探している最中にけがを負い、「ホオ」という女の子に助けられます。後日、お礼のため会いに行きますが、なかなか見つかりません。

ガンバリルおじさんは、森の動物達のケガを手当てしたり、木々に声を掛ける優しいおじさんです。

おじさんは、助けてくれたホオちゃんに会うことができなかったのですが、実はホオちゃんは、森の木であったことにおじさんは気づくのです。

私は、読み聞かせをするときに「ホオちゃんはどうして助けてくれたんだろうね」などと子供に問いかけながら読み進めています。

ホオちゃんが助けてくれた理由が分かった時には、きっとアンパンマンのように自分を削ってでも誰かを助けるやさしさについて、子供たちは気づくことができるでしょう。

また、動物たちがたくさん出てくるので、「うさぎさんはだーれだ?」「おさるさんは?」と子供たちとやり取りをしながら読んであげるもの楽しいです。

2.【フレーベル館】チリンのすず


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【年齢】4歳以上
【あらすじ】母を狼・ウォーに殺された子羊チリンが、復讐のためにウォーに弟子入りして、ウォーを慕うようになりながらも最後は羊のためにウォーを倒すお話

絵本ではありますが、とても深くて切ない題材を扱っています。

羊と狼のお話と言えば、「あらしのよるに」という羊と狼が仲良くなるお話が有名ですが、「チリンのすず」はそれとはまったく反対の結末が待っているお話です。

私が子供に読んであげると、ウォーが倒れるシーン、チリンがウォーの死後に自分の本当の想いに気づくシーンでよく涙ぐんでいました。

絵が優しいのに、お話の内容はとても複雑なので、子供が小学生になった後も一緒に読むといいでしょう。

3.【フレーベル館】やさしいライオン


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【年齢】4-6歳
【あらすじ】メス犬のムクムクに育てられたライオン・ブルブル。大きくなってからは別々に暮らし、ブルブルはサーカスの人気者になっていたのですが、ある晩、ムクムクの歌が聴こえる気がしてサーカスを飛び出してしまいます。

まずは、犬のムクムクが、本当の親子のようにライオンのブルブルをやさしく育てる姿にほっこりしています。

特に「ちんちん」を教えたり、おっぱいの吸わせる描写がとてもかわいいのです。

やさしくて楽しいお話が続く前半にたいして、後半では一転してとてもショッキングなものになります。

お母さんに逢いたくて走り出したブルブルは、ライオンだからという理由だけで、警官隊に撃たれて倒れてしまうのです。

しかし、最後は空をかけていくブルブルとムクムクの絵で物語は終わり、子どもの心を解きほぐしてくれます。

年長さんや小学生になったら、なぜブルブルがうたれたのか、それはどうしようもない事だったのか、子どもと考えるきっかけにもなる本です。

4.【小学館】ハルのふえ


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【年齢】5-7歳
【あらすじ】狸のハルは、人間の赤ちゃんを見つけました。パルという名前を付けて仲良く暮らしていました。ハルは草笛が得意だったので、パルにも教えてあげたのですが、ある日、パルの草笛を聞いた男性がハルの元を訪れてくるのです……

子どもは音楽が大好きなので、この絵本ではメロディに乗るような感じでお話してあげると喜んで聞いてくれます。

この絵本は、家族の絆について、親子で話し合えるお話です。

小さな子供は、成長していつか親元を離れるということをまだ理解していませんが、この絵本では、人間の子どものパルが狸のハルの元を離れて暮らすシーンが描かれています。

育ての親である狸のハルは、パルのことを大切に想うがゆえに、パルを人間の世界に戻そうとしたのです。

パルとハルとの別れやその後の再開を、子供と一緒に悲しんだり喜んだりすることで、親子の絆の素晴らしさを一緒に分かち合うことができるでしょう。

5.【講談社】ルルン=ナンダーのほし


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【年齢】5-7歳
【あらすじ】ルルン=ナンダーは小さなほしの女の子。ある時地上に落ちてしまい、空に戻れなくなりました。地上で知り合った男の子・ロンと仲良くなり、とても楽しい日々を過ごすようになります。

この絵本は、「本当のやさしさとは何か?」と言うことについて親子で考えることができる絵本です。

ルルン=ナンダーは、暮らしていた空に帰ろうとするのですが、自分の羽が小さくて力がないため帰ることができません。

そんな時、心の優しい男の子「ロン」に出会い、一緒に暮らし始めるのですが、ルルン=ナンダーは鳥と間違えられて猟師に狙われ、大怪我をおってしまいました。

ルルン=ナンダーは、ロンに優しく手当てをしてもらい「もう空に帰らなくてもいい」と言うのですが、ロンは彼女がもともといた安全な空に帰すために彼女の羽を鍛えようと密かに決心します。

そして、怪我が治ると、毎日、山に飛んで薪を持ってくることを彼女に厳しく命令するのでした。

「ロンはなんで急に厳しくなったのかな?」などと親子で話し合うことで、本当の優しさについて子供が考える良いきっかけになるでしょう。

それと同時に、親が子どもを育てるにあたって、いつか巣立つ子どものためを思って厳しく接しなければいけないこともあるのだ、ということを考えさせられる作品でもあります。

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