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長谷川摂子さんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
長谷川摂子はどんな人?
1944年島根県生まれ。東京外国語大学を卒業。東京大学大学院哲学科を中退後、保育士として勤務。その後、学習塾の運営経験を基に、絵本論や昔話の再検証を行う作家活動を行う。1999年、「きつねにょうぼう」(再話)で日本絵本賞大賞、2004年、「人形の旅立ち」で平田謙治文学賞、椋鳩児童文学賞、赤い鳥文学賞を受賞。
長谷川摂子さんは児童文学の作家です。
代表作には「めっきらもっきらどおんどん」や、「たぁんきぽぉんきたんころりん」などがあり、インパクトのある題名でもお馴染みの作家さんです。
読み聞かせの際には、題名を読んだだけで、「なんだ?なんだ?」と子供たちの心を一気に引きつけます。
作品中には、何度も繰り返したくなるようなフレーズが散りばめられています。
絵本を読み終えても、ふとした瞬間に脳裏に浮かぶようなフレーズなので、絵本を思い出して心が躍るような気分になることもあるでしょう。
「子供が何だかご機嫌ななめかなぁ」と思った時は、長谷川摂子さんの絵本に出てくるフレーズを口ずさんでみるのはいかがでしょうか。
きっと笑顔をみることができるはずです。
長谷川摂子のおすすめ絵本
1.【福音館書店】めっきらもっきら どおんどん
【年齢】3歳頃から
【あらすじ】主人公のかんたがでたらめに歌うと穴に落ちてしまいます。そこで出会ったへんてこな三人組と遊ぶことになりました。
このお話の盛り上がるポイントは、なんといっても、かんたが歌うでたらめな歌。
「めっきらもっきらどぉんどん」という聞いたこともない不思議なフレーズが面白くておかしいので、読んでいるうちに、子供たちの大合唱が始まります。
不思議な世界で出会う三人組と繰り広げられる遊びは、身近な道具が使われています。
ふろしきに、なわとび、それにガラス玉。
絵本を読んだ後、それらの道具をみると、三人組を思い出して、かんたに成りきって遊びだしますよ。
作中に食べているお餅が、なんとも美味しそうです。
本に手を伸ばし、お餅を食べる仕草を真似する子供もいるほど。
そして、最後にほっとさせるひと幕を残しているのが、この作品の魅力。
「安心してたくさん冒険しておいで。お母さんは、いつでもここにいるよ。」といった、メッセージを伝えられる作品です。
2.【福音館書店】たあんきぽおんきたんころりん
【年齢】1歳頃から
【あらすじ】どんぐりを追いかけて転んだ拍子にたんこぶをつくったり、おてんばなテントウムシが墜落してしまったり。動物や野菜たちに巻き起こるアクシデントを、リズムの良い言葉で、楽しく追いかけていくお話。
この絵本は、聞いて楽しい擬音やだじゃれがたくさん出てきます。
読み聞かせをするママやパパも思いっきり楽しみながら読んであげると子供が喜ぶでしょう。
韻を踏んでいるところを強調して読むと、言葉遊びの面白さに、子供たちが気付いてくれます。
かぼちゃとスイカの水遊びのシーンに出てくる、「かぼちゃ ぼちゃぼちゃ」や「すいか すいすい」など、「お野菜の中に、お水遊びの言葉が隠れていたね!」と、誘導してみるのもいいかも知れません。
「みかん かんかん」や「りんご りんりん」といった、可愛らしい擬音もでてきます。
おやつタイムも、盛り上げてくれそうです。
登場する動物たちの表情がとてもコミカルなので、軽快なテンポと相まって、更にお話を盛り上げてくれます。
降矢ななさんの繊細ながらもダイナミックな動きを表現した絵が、最大限に活きている作品ではないでしょうか。
擬音のリズムが楽しく、言葉の理解力は一切不要なので、小さな妹弟と一緒に楽しめる絵本です。
終わりに近づくにつれて、静かな夜の場面になっていき、盛り上がっていた気持ちがゆったりとした気分に変わっていきます。
眠りの世界へお誘いする、おやすみ前の一冊としても、お勧めです。
3.【福音館書店】きょだいな きょだいな
【年齢】3歳頃から
【あらすじ】巨大なピアノに、巨大な石鹸。次々に巨大なものが現れます。こどもが100人やってきて、それらを大きなスケールで使いこなしてしまうお話。
この絵本では、ピアノや石鹸など身近にあるもが、とても大きく存在として登場します。
その様子に、子供たちの常識は打ち砕かれ、心を引きつけます。
100人出てくる子どもたちは、思い思いの方法で、その大きなものを楽しんでいます。
「自分がもしこの中の一人なら・・・?」と、子供たちの想像の世界を広げてくれます。
「実際に、どんなことをしたい?」と、聞いてみながら読み進めると、子供たちの空想の世界の広さに、びっくりさせられますよ。
大人である自分の想像力も、試してみたくなる作品です。
4.【福音館書店】おっきょちゃんとかっぱ
【年齢】3歳頃から
【あらすじ】かっぱに誘われて、水中の世界に入ったおっきょちゃん。そこで育てられるも、自分のお母さんを思い出し、人間の世界へ戻っていく。
冒頭では、おっきょちゃんが川に足を入れて遊んでいる様子が描かれています。
「チャポンチャポン」などの文章表現とうまく融合していて、とてもリアルに感じるため、聞いている子供たちもすぐにこの絵本の世界に引き込まれていくでしょう。
子供は、水遊びが大好きです。
おっきょちゃんは、「かっぱ」や「お祭り」といった、ワクワクする言葉につられて、水の世界に入っていきます。
そして、夢中になって遊んでいるうちに、大好きな両親のことを忘れてしまうのです。
それでも、お母さんとの思い出がある人形を見つけた途端、心の奥の大切なものを思い出します。
読み聞かせていると、この場面に来た時の子供たちの表情はとても深刻です。
きっと、「楽しかったのに、こんなに悲しいことが待っている事もあるのか」と、気付くのでしょう。
このような様子から、「楽しいことに気を取られていると、危険なことや、大切なものが見えなくなってしまうことがあるんだよ」と伝えられる作品ではないかな、と感じます。
ですが最後には、「大丈夫、あなたの心の中にも、ちゃんと思い出があるから、お母さんの所にもどってこられるよ」と安心させてあげてくださいね。
遊ぶ範囲が広がってくる頃に読んであげると、危険を判断できる心を育てる材料になるのではないかと思います。
また、縁側や井戸など、現代にはあまり馴染みのないものが登場します。
日本の原風景を伝えることにも、おすすめの絵本です。
5.【福音館書店】めんめん ばあ
【年齢】0歳から2歳頃
【あらすじ】「かえる」や「ことり」など、動物たちがおめめを隠して、いないいないばぁをする
こどもたちは、いないいないばぁが大好きです。
「めんめん ばあ」では、単に「いないいないばあ」と言うだけではなく、「いませーん」という言葉が差し込まれています。
それだけなのに、いつものいないいないばぁとは雰囲気がガラリと変わります。
おめめだけを隠している動物が何なのか、クイズをしながら読み進めていくと楽しいです。
何回か読んだら、「ばあっー!」と出てくる動物たちの名前を変えて、アレンジするとおもしろいですね。
我が家では、子供が大切にしている、犬のぬいぐるみの名前で読み替えてあげたら、喜びました。
「ばあーっ!いぬのさぶちゎん」とあるところを「ばぁーっ!いぬのコロ」と読み替えてみました。
他に登場するのは、かえる、ことり、ねこ、さるです。
もしお子さんの身近に、この動物たちがいたら、ぜひ名前の部分を読み替えてみてあげてください。
この絵本との距離が、ぐっと近くなります。
また、まねしやすい動作も魅力です。
「いませーん」といいながら、おめめを隠す子供たちの姿は、なんと可愛いのでしょう。