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モーリス・センダックさんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
モーリス・センダックはどんな人?
1928年アメリカ ニューヨーク生まれ。アート・スチューデンツ・リーグで美術を学ぶ。「かいじゅうたちのいるところ」( 冨山房 )で1964年にコールデコット賞を受賞。1973年にアメリカ人としては初のアンデルセン賞を受賞。2012年に永眠。
モーリス・センダックさんは、アメリカが誇る絵本作家です。
代表作品である「かいじゅうたちのいるところ」(冨山房)は、約2000万部売れている大ベストセラー絵本です。
センダックさんの作品の多くは、子どもの自由な発想や想像を刺激します。
読み聞かせをする大人にとっては、「絵がリアルすぎて怖い」、「内容がよく分からない」と思うものでも、自由な視点を持つ子どもならば、おもしろいと思うようです。
現実とは浮き世離れした作品が多いため、空想の世界のことを柔軟に受け入れることのできる幼児から小学校低学年までのお子さんの読み聞かせに向いている作品が多いです。
モーリス・センダックのおすすめ絵本
1.【冨山房】まよなかのだいどころ
【年齢】3歳から5歳
【あらすじ】主人公ミッキーが3人のパン職人によりパンの材料になるお話し。
この絵本は、これといったあらすじはありません。
ミッキー君がベッドに寝ていたところから話しが始まり、ミッキー君がパンの材料になり、ベッドに戻るところで終わります。
まるでマンガのようなカット割りで描かれた絵本であるため、話しがどんどん進みます。
中でも、ヘリコプターの形のパン生地で空を飛ぶシーンは、どの男の子も「僕もやってみたい!」と反応するでしょう。
読んで数日経っても、子どもは絵本の登場人物を鮮明に覚えていたりします。
それほど、登場人物が強烈なイメージとして子どもの頭の中に残る作品です。
奇想天外な発想を好む男の子におすすめの絵本です。
2. 【冨山房】かいじゅうたちのいるところ
【年齢】2~7歳
【あらすじ】主人公のマックスがかいじゅう達のいる島にたどりつきます。そこで、かじゅうの王様となり、かいじゅう達と踊って遊びます。
文章が少ないため、センダックの絵の世界に親子でひたれます。
黄色い目がぎょろっとしていて、とがった歯と爪を持つかいいじゅう達は、一見怖いのですが、どこか愛嬌があり憎めません。
マックスがかいじゅう達と遊ぶ様子を見開きで連続して3ページも描かれている箇所あります。
その箇所は文章がないので、想像力を働かせて、「マックスはかいじゅう達と何をしているのかな?」などと子供と話してみるとおもしろいと思います。
また、4匹のかいじゅうの中でどれが好みかを子供に聞いてみても楽しいでしょう。
読んでいる最中に、親子で会話がはずむ絵本です。
いたずら好きで好奇心が旺盛な幼稚園年中さんから小学生低学年の男の子におすすめの1冊です。
3.【福音館書店】まどのそとのそのまたむこう
【年齢】3歳~8歳
【あらすじ】主人公アイダはゴブリンにさらわれてしまった妹を必死に連れ戻そうとします。
この絵本は、1982年にコルデコット賞をはじめ、数々の賞を受賞した作品です。
アンティークで芸術性の高い絵は、名作といわれる絵本のみがもつ気品にあふれています。
私が最初に読み聞かせをした時は、子どもは楽しんでくれるかと心配でした。
ゴブリンが不気味にリアルに描かれているからです。
でも、そんな心配はいりませんでした。
子どもはセンダックの絵の魔法に取りかかったようにお話しに夢中になります。
姉妹がいるご家庭で、お姉ちゃんが小学生ぐらいの子に読んであげると、自分が主人公アイダになったかのように聞き入るでしょう。
定価4500円と子どもの絵本としては破格の値段なため、最初は、図書館で借りて読むことをおすすめします。
4.【徳間書店】くま!くま!くまだらけ
【訳】石津 ちひろ
【年齢】3歳~6歳
【あらすじ】男の子の大事にしているぬいぐるみのくまが犬にさらわれてしまいます。
絵もかわいく、文章も易しいので幼児向けの絵本です。
お話しに聞き入るタイプの絵本ではなく、むしろ絵探しのように楽しむ絵本でしょう。
犬にさらわれたぬいぐるみのくまを男の子が探します。
でも、どこを探してもくまだらけなのでどれが自分のものなのか分かりません。
くまだらけになってしまったページを見て、子どもは「このくまじゃない?」と主人公と一緒になって探します。
色々なくまのぬいぐるみが出てくるので、「このくまは、立っているね」とか「このくまは、笑っているね」という風に会話をしながら読むといいでしょう。
くまのぬいぐるみが大好きな子どもにもってこいの作品です。
5.【福音館書店】くつがあったらなにをする?
【訳】石津ちひろ
【年齢】3歳から7歳
【あらすじ】くつやぼうしがあったら何をするかを冗談気味に男の子と女の子がお話します。
くつを耳にひっかけてみたり、ぼうしの中をピクルスでいっぱいにしたり、子どもならではの奇抜な発想が楽しい絵本です。
くつやぼうしの他に、いすやカップなどの日常品が出てきます。
リズミカルな文とセンダックの楽しい絵が子どもの想像力を刺激します。
この絵本を読むときに、くつやぼうしがあれば、何をするか自分の子どもに聞いてみてくださいね。
くつは履くだけではない、ぼうしはかぶるだけではない、子どもならではの自由な発想に驚かされます。
横長のコンパクトな絵本なので持ち運びに便利です。
移動中の隙間時間などに、子どもと想像力を使って遊びたいときにおすすめの一冊です。
6.【福音館書店】きみなんかだいきらいさ
【訳】小玉知子
【年齢】3歳から7歳
【あらすじ】主人公のジョンは友達のジェームズと大の仲良し。しかし、いつも威張るジェームズとは遊ばないことを決意したのですが、やっぱり会いたくなります。
本当は大好きなお友達なのに、ついついケンカして後悔するという心温まる絵本です。
短く分かりやすい文章で構成されているため3歳頃から読み聞かせができますが、友達のことが気になってくる4~5歳頃の子供に特におすすめです。
ジョンとジェームズはお互いに「もう遊ばない」とケンカしますが、最後は仲直りします。
「なんで嫌いになっちゃったのかな?」「なんで仲直りしたのかな?」と親子で話し合うことで、相手の気持ちを想像する良い機会になるでしょう。
また、「だいきらいさ」とか「さいなら」といった言葉遣いがユニークで楽しいので、読み終わったらつい真似したくなります。
もし、気に入って真似をするようになってしまったら、「本当に『だいきらい』なんて友達に言ったらどう思うかな?」と言って考えさせてみるのも良いでしょう。