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谷川晃一さんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
谷川晃一はどんな人?
1938年東京生まれ。画家、エッセイイスト、美術評論家。攻玉社高等学校卒業。独学で絵を学ぶ。絵本「かずあそび ウラパン・オコサ」(童心社)で2000年に日本絵本賞受賞。
谷川晃一さんは、絵本作家としてよりも、むしろ画家として知られている作家です。
絵画制作と平行して、美術評論の文筆活動もしており数々の本が出版されています。
伊豆高原に在住で、伊豆高原アートフェスティバル(現在は、伊豆高原五月祭に名前が変更)にて長年、運営委員長を務めていました。
谷川晃一さんの描く絵本は、話しが特に展開しない作品が多いのですが、楽しいイラストと独特の発想で、不思議と子どもたちを惹きつける魅力をもっています。
谷川晃一のおすすめ絵本
1.【童心社】かずあそび ウラパン・オコサ
【あらすじ】サルやライオンなど様々な動物が登場し、「1」と「2」の数字だけで数あそびをします。
何語か分からない「ウラパン・オコサ」の変わったタイトルにまず子ども達は興味津々です。
最初のページをめくると、左にさるが1ぴき、右にバナナが2本。
1の数字はウラパンで、2はオコサだと説明してあります。
この説明だけだと子どもによっては、意味がよく分からないかもしれません。
「指1本で数えられるとウラパンで、指2本で数えられるとオコサだよ」と追加説明してあげます。
途中、しまうまが3頭、家が6軒と数が増えるので、読んでいる大人が混乱してきます。
5歳以上の子どもならば、ウラパンとオコサを大人が間違えるとしっかり指摘してくれます。
画家として知られる谷川晃一さんの描くカラフルな絵を見ているだけで楽しい気分になれる絵本です。
親子でリラックスして、ウラパンなのかオコサなのか数えてみましょう。
2. 【偕成社】へんしーん
【あらすじ】ページの上は「頭」、下は「顔」に分かれています。上下のページを組み合わせて色んな顔を作ります。例えば、上のページは冠で、下のページが女の子の顔を組み合わせるとお姫さまに変身します。
この作品は、日本図書館協会選定図の1冊に選ばれています。
色々な顔の組み合わせに子ども達は大喜びです。
ページをめくれるようになる1歳半ぐらいのお子さんでも楽しめる絵本だと思います。
いろいろな顔の表情の変化が分かるようになってくる2,3歳ごろからは、ページの上下を組み合わせて変な顔を作るのに夢中になるでしょう。
どの上下の組み合わせでもおもしろく変身するので、子どもたちは大笑いします。
言葉の意味が分かってくる、年中さん以降は、ページの上と下の言葉を組み合わせて、言葉遊びも楽しむでしょう。
例えば、ページの上にひらがなで「へん」と書かれていて、下のページには「しーん」と書かれています。
ストーリー展開がない絵本ですが、年齢ごとにいろいろな読み方があり、長く楽しめる絵本です。
3.【福音館書店】こりゃなんだうた
【あらすじ】コックさんにカメラマンなど、いろいろな仕事をする人たちが紹介されますが、誰1人ちゃんときちんと仕事をしていません。
こちらの作品も他の作品と同様に谷川晃一さん独特のナンセンスな絵本です。
いろいろな仕事をする職人さんが登場しますが、どの人もきちんと仕事をしていません。
その矛盾に親子で大笑いさせられます。
例えば、コックさんは料理を作らずに、フライパンでテニスをしています。
大工さんは家を作ったのはいいのですが、できた家はさかさまになっています。
たいてい、子どもたちはおのページで大笑いします。
いろいろな職人が登場するため、どういう人がどういう仕事をしているのか理解している年中さん以降におすすめの絵本です。
読みきかせ時に親子で思いっきり笑いたいときに読みたい1冊です。
4.【毎日新聞社】バスがきました
【あらすじ】バスに乗っている、一風変わったお客さん達が停留所で乗り換えて、それぞれの行き先へ向います。例えば、小坊主は山寺前の停留所で降りますが、リフトに乗り換えて、山寺へ行きます。
バスに乗っているお客さんは、小坊主、魔女、インディアンなど。
それぞれ行く目的地も様々で、山寺や火星などです。
バスが停留所に着き、不思議なお客さん達が目的地に行くために乗り換えをするためにバスを降りて行きます。
絵を見ているだけでワクワクした気分にさせてくれる絵本です。
谷川晃一さんの描く奇想天外な発想と楽しいイラストで、ページをめくるたびに「え?」と驚かされます。
全体的に文はリズミカルですが、年少さんにはちょっと難しい言葉もあります。
易しい言葉で言い直して読んであげるといいと思います。
乗り物好き、特にバス好きな子どもが大喜びする絵本です。
5.【童心社】サカサあそび オカのカオ
【あらすじ】タイトル「オカのカオ」のように上から読んでも下から読んでも同じ逆さ言葉と逆さ絵が次々に表れます。絵本を上下逆さにして見てみたら・・・。
タイトルだけを読むとよく意味が分かりませんが、表紙の絵を見ると納得できます。
左右ページで絵の顔が逆さになっています。
例えば、「ダルマはマルダ」と左ページに縦書きで書かれていてダルマの絵が描かれています。
右ページには、逆さになったダルマと同じ文が逆さに書かれています。
逆さになっても、どちらも絵になっているので不思議です。
子どもから「絵本を逆さにしてみて」と頼まれるでしょう。
頭の固い大人は文の意味と絵の関係を頭で考えようとします。
逆さになったダルマが丸く見えないので、大人は納得できないかもしれません。
一方で、頭の柔らかい子どもは、文の意味よりも絵を見て直感的に感じます。
大人と子どもの絵の感じ方の違いにハッと気がつかされる貴重な1冊です。