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ヨシタケシンスケさんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
ヨシタケシンスケはどんな人?
1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。イラストレーターであり、絵本作家、挿絵、装画等多岐にわたり活躍し、スケッチ集などの著書もある。2013年に発表した「りんごかもしれない」で第6回MOE絵本屋さん大賞の第1位となる。2児の父でもあり、父になった戸惑いを描く「ヨチヨチ父ーとまどう日々ー」を出版した。
ヨシタケシンスケさんは絵本だけではなく、多岐にわたる活躍をしている作家さんです。
日常のさりげないヒトこまを、ヨシタケさん独自の角度で切り取ったエッセイ風のスケッチ集は、大人がくすっと楽しめるもの。
あらすじのない絵本シリーズ「りんごかもしれない」「ぼくのニセモノをつくるには」などは「発想えほん」と呼ばれ、大人が子供のころを思い出しながら読むとより感慨深いものです。
今回は幼児向けの絵本を紹介しますが、小学生くらいのお子さん向けの作品も多数あります。
子供に読み聞かせながら、大人自身が楽しくなれるような絵本をたくさん発表している作家さんです。
ヨシタケシンスケさんの世界をのぞいてみませんか。
ヨシタケシンスケのおすすめ絵本
1.【ブロンズ新社】もうぬげない
【あらすじ】着替えを一人でしようとしたけど、服が引っかかって脱げない。どうしよう。
ひとりでできる、と頑張りたい年頃の子供。「ぼくがやる」と意地っ張りになってやるけど、なかなかできないことってありますよね。
この本の男の子もそんな一人。
不器用な子を持つ親御さん、また自分が不器用だった子供や親は大笑いすること確実な絵本です。
服が引っ掛かって脱げなくなった、顔が見えないおなか丸出しの男の子の姿が、ずっと描かれます。
このままだったらどうしよう、と心配するも、このままでもいいじゃないと、大丈夫な方法を考えだす男の子。
うっすら前も見えるし、同じような子だっているかもしれない。でも、おなかが冷えて痛くなってきた…。
「このあとどうするの?」と読み手が心配してページをめくると、こちらの想像の上を跳び越すようなことが起こります。
大笑いすると大変なので、書店や図書館で読むときは気を付けてください。
2.【ブロンズ新社】りんごかもしれない
【あらすじ】学校から帰ってきた男の子が、テーブルの上に置いてあるリンゴを見て「もしかしたら、これはりんごじゃないかもしれない」と、疑問を…。想像はどんどん広がっていきます。
ヨシタケシンスケさんのデビュー作にして大ヒット絵本です。
ただりんごがそこに一つあるだけで、どうしてそんなに想像の翼が広がっていくのか不思議ですが、読むと読み手のこちらが考えるより斜め上を超えていく世界が広がります。
「発想えほん」シリーズの絵本です。あらすじはあってないようで、想像の世界を駆けだしていく男の子。
どこまでも細かく見ていけばとことん楽しめる絵本で、思春期の子供でも、読み聞かせしている大人も、にやにやゲラゲラできます。
ただのりんごがそこにあるだけではなくて、何に対しても「かもしれない」心を持っているヨシタケさんは、すごいと思います。
3.【PHP研究所】おしっこちょっぴりもれたろう
【あらすじ】いつも、パンツにおしっこがちょっぴりもれちゃう。もれたっていいじゃない、すぐかわくし。
ヨシタケさんの絵本は「ああ、分かる分かる」という話が多いですが、恥ずかしくて言えないような「おしっこ」の話です。
子供だけではなく大人でもあります、ちょっぴりもれちゃうこと。
もれたろうくんの言い分を聞いていると「そうだね、まいっか」という気分になれます。
トイレトレーニング中の小さな子供に読み聞かせしてもいいのですが、ある程度大きい小学生のほうが大喜びできるかもしれません。
おしっこがもれるという悩みから、人にはわからない些細なことを悩んでいるかもしれないと、壮大な妄想が広がるので、小さいお子さんは分かりづらいかもしれないので。
大人が読んでも、ふむふむと考えさせられます。
4.【ブロンズ新社】こねてのばして
【あらすじ】こねて、のばして、またこねて。何を作っているのかな。
ヨシタケさんの絵本は、細かいところを読み込めば読み込むほど面白いのですが、この絵本は他とは違って文字が少ない読み聞かせに適した絵本です。
「朝起きて、今日も始めます。」と始めたのは、なにかを「こねて、のばして、またこねて」。歌うように読める、リズム感のある言葉が並びます。
やわらかいものを触りたくなる、触っているだけで気持ちいい、この感覚を感じながら読み聞かせるのに最適です。
ついつい、なにかをもみもみしたくなる気分になります。
絵本の中に出てくる男の子も、こねているものに愛情をそそぎだします。
こねたものと一緒に踊ったり、一緒にぐうぐう寝てしまったり。後半ではキスしたり、抱きついたり。
ぜひ、お子さんとスキンシップをとりながら読んでいただきたい絵本です。
5.【ブロンズ新社】このあとどうしちゃおう
【あらすじ】死んだおじいちゃんが残した1冊のノート。おじいちゃんが死んだらどうなるのか、どうしてほしいのかが書いてありました。
よくある、死生観を描く絵本ではありません。悲しさでいっぱいな男の子が「ぼくも天国に行くのが楽しみになってきた!」と言わしめる世界が広がります。
おじいちゃんが残した「このあとどうしちゃおう」ノートには、おじいちゃんがなりたいもの、ピザ屋さん、クラゲ?が描かれていました。
こんなところかもしれないと想像する天国はまるでテーマパーク。
「死んだあとはきっとこういう生活をしているはずだから、みんな悲しまないでね」というメッセージを、残された家族に伝えたかったのかもしれません。
そんなノートを読んで男の子は、自分でも「このあとどうしちゃおう」ノートを作ろうとします。でもいざ書こうとするとあることに気づきます。
ヨシタケさんが描く「生きることと死ぬこと」は、まったく重たくありません。
ただし、絵本を楽しみたいなら小さい子でも大丈夫ですが、小学校高学年の子供にも笑いながら「死」について考える機会を与えられる革命的な絵本です。