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エズラ・ジャック・キーツさんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
エズラ・ジャック・キーツはどんな人?
1916年アメリカ・ニューヨーク・ブルックリン生まれ。独学で絵を勉強する。1963年「ゆきのひ」でコルデコット賞を受賞。1983年に永眠。
エズラ・ジャック・キーツさんは、アメリカ(ニューヨーク)を代表する絵本作家です。
子どもの心の内面をとらえたお話しと切り絵の技法などを使った美しい絵が世界的に評価されている作家です。
彼の多くの作品は、20か国あまりの言語に訳されて出版されています。
「はらぺこあおむし」で有名な絵本作家のエリック・カールも彼の作品からたくさんの影響を受けたそうです。
67歳で亡くなった後、エズラ・ジャック・キーツ・ファンデーションが創立されました。
ニューヨーク公共図書館が9歳以下の子どもの作品を対象にエズラ・ジャック・キーツ賞(Ezra Jack Keats Book award)を授与しています。
ニューヨークブルックリンのプロスペクト公園には彼の代表作品の主人公ピーター少年と犬のウィリーの彫刻があります。
エズラ・ジャック・キーツのおすすめ絵本
1.【偕成社】ゆきのひ
【年齢】3歳から7歳
【あらすじ】黒人のピーターが1日中、雪だるまや雪滑りなど雪とたわむれて遊びます。あまりにもうれしかったために雪の夢まで見てしまいます。
原題「The Snowy Day」がアメリカで出版されたのは1962年です。
夜明けに雪が降り積もり、子どもが大喜びで、外に出て雪と遊ぶ心情が細かく描かれている絵本です。
最初は古めかしい印象を受けるかもしれません。
でも、ページをめくると切り絵と貼り絵の技法を活かした美しい絵に虜になります。
日常の何げない読み聞かせ時間が、美術本を読んでいるような格調高い時間へと変化します。
きじまはじめさんが訳したシンプルな日本語とキーツの絵がよくマッチしています。
冬に雪が降った寒い冬の日に、親子で毛布にくるまって静かに読みたい1冊です。
本を読んだ後は、外へ出て雪で遊びたくなるので、寝る前よりも日中の読み聞かせに向いていると思います。
2. 【偕成社】ピーターのいす
【年齢】3歳から6歳
【あらすじ】少年ピーター家族に妹が加わりました。ピーターの物だったベッドやいすなどが、まだ赤ちゃんである妹の物になってしまいます。
前作「ゆきのひ」と同様に、ピーター少年が主人公です。
幼い妹に対してやきもちをやくピーターの複雑な心情をキーツの美しい絵が表現しています。
ピーターが家の外に出て家族を心配させるシーンがあります。
この場面を読むと、自分がお兄ちゃんやお姉ちゃんの子どもは共感できるところがあるようです。
「でも、よく見て、このピーターのいす。小さすぎて座れないよね?」
と親が絵本のいすを指さして子どもに聞いてみると、子どもは少し考えた後で、納得します。
新しく弟や妹が家族に加わったときに、子どもと一緒に読んでみたい作品です。
また、上の子が下の子に優しくできるようになり、少し成長した頃に読んでみるのもいいと思います。
我が子が優しいお兄ちゃんやお姉ちゃんへと少しずつ成長していった過程が思い出されるかもしれません。
3.【徳間書店】きみもこねこなの?
【年齢】2歳~5歳
【あらすじ】こいぬ1匹がこねこ達の中に遊びにきます。こいぬは「こねこ」になりきって、ねこのように過ごしはじめます。
こちらの作品は、日本で2017年に出版された比較的新しい作品です。
原題は「Kitten for a Day」で1973年に発売されています。
こねこ4匹がお皿の上に乗っている愛らしい表紙に惹かれます。
文章が少ないため、小さいお子さんでも問題なく読み聞かせできます。
身近な動物のねこやいぬに興味を持ち始める2歳ぐらいからがおすすめです。
この絵本を読むときは、子どもがねこといぬの違いを分かっている必要があります。
まだ違いがよく分かっていないようならば、絵本を読む前に親子で散歩などに出て、実際にいぬとねこを見て、違いを説明してあげるといいかもしれません。
1匹のこいぬがこねこ達の中に入り、ねこのようにミルクを飲んだり、ねこのようにイスの上を走ったりする様子に親子でくすりとなる愛らしい絵本です。
4.【偕成社】やあ、ねこくん
【年齢】3歳~6歳
【あらすじ】ピーターと友達のアーチーは2人で遊んでいます。ねこにじゃまされて2人の遊びは台無しになってしまいます。
この絵本は1970年にボストングローブ・ホーンブック賞を受賞しています。
また、全国学校図書館協議会の選定図書でもあります。
ピーターシリーズの中の1冊ですが、この作品は、ピーターの友達であるアーチーが主役です。
この作品も前回に続き、ねこが登場します。
読み終わったあと、お話しはこれだけかと残念に思ってしまう読者がいるかもしれません。
アーチーが偶然に声をかけたばかりについてきてしまったねこちゃん。
遊びを邪魔されてしまうために2人は困ってしまいますが、ねこに好かれたアーチーはちょっとうれしそうです。
文章にはない細かい子どもの心情を言葉で補って、読み聞かせをしてみてください。
ねこの絵がとてもかわいく描かれていますので、ねこ好きのお子さんにおすすめの絵本です。
5.【偕成社】ピーターのてがみ
【年齢】4歳~8歳
【あらすじ】好きな女の子、エイミーを自分の誕生会に招待したくてピーターは手紙を書きます。
この作品もキーツのピーターシリーズの1作です。
主人公ピーターは成長し、この絵本では7歳になっています。
好きな子ができたり、異性が気になりはじめたりするのは年長さんぐらいからですね。
それくらいの年齢の男の子の読み聞かせにおすすめの絵本です。
ピーターが一生懸命に書いた手紙が風に吹き飛ばされます。
そこにエイミーが現れるので、ピーターは手紙を見られないかハラハラドキドキです。
不器用な男の子の複雑な心の一面をキーツの絵が的確に表現しています。
読み聞かせの時に、息子に手紙を見られそうになったピーターがどんな気持ちだったかを聞いてみるとおもしろいと思います。
恥ずかしそうに答えてくれるかもしれませんし、無言かもしれません。
そんな反応に親はくすりと笑ってしまいます。
男の子だけでなく、手紙を書くのが好きな女の子にもおすすめの1冊です。