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角野栄子さんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
角野栄子はどんな人?
1935年、東京都生まれ。早稲田大学教育学部英語英文科を卒業。「魔女の宅急便」で野間児童文芸賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト賞受賞。「おおどろぼうブラブラ氏」で産経児童出版文化賞大賞、「ズボン船長さんの話」で旺文社児童文学賞、路傍の石文学賞、「トンネルの森1945」で産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞など、多数。
角野栄子さんは児童文学と絵本の作家で、大人気アニメ「魔女の宅急便」の作者としても有名です。
自転車をこぐ「ギルリギルリ」といった効果音や、作品に関連付けている登場人物のネーミングに、角野さんのセンスが溢れています。
絵本「びっくりさんちの三つ子ちゃん」の三つ子の名前が「アーちゃん」「レーちゃん」「マーちゃん」だなんて、可愛らしくて、思わず笑顔になってしまいます。
家出のワクワク感や、ボール遊びをやめるときの名残惜しさ、将来は何にでもなれそうな希望といった、子供の頃ならではの感情を、ふと思い出させてくれるような作品ばかりです。
是非、子供の頃に戻ったような高揚感で、角野栄子さんの絵本を読んであげてください。
きっと子供たちに絵本の魅力が伝わるでしょう。
角野栄子のおすすめ絵本
1.【そうえん社】じてんしゃギルリギルリ





【年齢】3歳頃から
【あらすじ】ピンクちゃんが、新品の自転車で散歩をしていると、ぶた、お花、トンネル坊や、太陽までもが「ぼくもいれて」次々にお散歩の仲間に加わっていく。
この作品の魅力は、自転車をこぐ時にでる「ギルリギルリ」という効果音です。
お散歩の楽しさと相まって、子供たちのワクワクした気持ちを盛り上げ、自然と絵本の世界に引き込まれるでしょう。
景色がころころと切り替わり、暗いトンネルを急いで抜けたり、坂を下ったりするシーンなどが登場します。
ゆったりした雰囲気でありながら、自転車ならではのちょっとしたスピード感がうまく表現されています。
普段の自転車でのお出かけを、より楽しくしてくれる絵本です。
2.【あかね書房】ケンケンとびのけんちゃん





【年齢】4歳頃から
【あらすじ】ケンケンピョーンと飛んで、どこかに行き、何かに変身して帰ってくるけんちゃん。赤ちゃんや縄跳び世界チャンピオンやサーカスの団長になったりして、お母さんを驚かせたり、喜ばせたりする。
子供が持つ夢や、やりたいことへの希望には際限がありませんね。
この作品に出てくるけんちゃんも、同じです。
時には、赤ちゃんになって甘えたり、犬になってやりたい放題したり。
しかしそれは、すべてお母さんの気を惹くための行動なのですね。
そんなけんちゃんと、自分の子供が重なる部分があり、読んでいて楽しいです。
読みながら、「○○くんは、何になって帰ってくるかな」と、問いかけてみてください。
そして、その答えを一緒に喜んであげると、子供たちの心は安心して、ますます希望に満ち溢れるでしょう。
3.【あすなろ書房】あたしいえでしたことあるよ





【年齢】4歳頃から
【あらすじ】「あたし」は、ママに怒られるたびに、大事なうさちゃんとタオルケットを持って、飼い犬の家や、物置に家出をする。
親に叱られて、すねている気分から、ちょっとした事がきっかけで楽しい気分に変わり、ケロリとして帰ってくるという、子供特有の心情の変化を、実によく表現している作品です。
家出から帰ってきた「あたし」は、「楽しかった?」と聞くママに、「もちろん もちろん」と得意になって答えます。
そんなやり取りが、可愛らしく、くすっと笑ってしまいます。
小さい子供は「家出」という言葉をまだ知らないかもしれません。
このお話を聞いて、「家出」をどんな風に解釈するのか、とても楽しくなる作品です。
4.【童心社】びっくりさんちのみつごちゃん




【年齢】2歳頃から
【あらすじ】みつごちゃんたちが留守番をしていると、猫の三つ子ちゃん、さぼてんの三つ子ちゃん、お星さまの三つ子ちゃんと、色々な三つ子ちゃんが次々とやってきて、一緒に暮らすことになる。
びっくりさんちの三つ子ちゃんの名前は、「アーちゃん、レーちゃん、マーちゃん」です。
アレマ!とびっくりしてしまう、作者のネーミングセンスに脱帽です。
やってくるみつごちゃんは、それぞれお土産を持ってきてくれるのですが、白いおばけの三つ子ちゃんの登場シーンでは、一番のびっくりが待っています。
なんと、オバケ特有のシルエットは実は洋服で、脱いでそれをお土産としてプレゼントしてくれるのですが、その下に同じものを何枚も着ているというのです!
お星さまのお土産「星の飴」が口の中に飛んでくるシーンでは、子供の口にもポーンと飴を入れてあげる仕草をしてみてください。
口の中に広がる、お星さまの飴の味を想像する子供たちの表情は、とても朗らかで心が和みます。
5.【文渓堂】さあ、なげますよ





【年齢】4歳頃から
【あらすじ】ボール投げの名人ノビくんが、おばあさんにボール投げを教えます。最初はうまくいきませんが、やがてボール投げが上手になり、2人は心を通わせます。
子供たちにはお馴染みの、ボール投げのお話です。
おばあさんはノビくんに教わってボール投げをするのですが、ボールではなく靴を投げてしまったり、はたまた自分が飛んで行ってしまったりと、練習中のおばあさんの姿がコミカルで、子供たちの笑いを誘います。
ボール投げが上手になったおばあさんと、なげっこをしながら家路につくノビ君の名残惜しい気持ちが、夕焼けの情景と相まって、しんみりした気分になります。
でも、「このつぎが、たのしみ!」というおばあさんの最後の一言で、一気にワクワクした雰囲気に変えてくれます。