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マーガレット・ワイズ・ブラウンさんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
マーガレット・ワイズ・ブラウンはどんな人?
1910年アメリカ ニューヨーク州生まれ。ヴァージニア州にあるホリンズ・カレッジ英文学学部卒業。こどもの本の編集者を経て、絵本作家になる。代表作品は、「おやすみなさい おつきさま」(評論社)、「たいせつなこと」(フレーベル館)、「おやすみなさいのほん」(福音館書店)など多数。1952年に永眠。
マーガレット・ワイズ・ブラウンさんは、シンプルで美しい文章を書くのを得意とし、たくさんの絵本画家に文を提供しました。
本名以外に3つのペンネームを使い分け、42歳で亡くなる前までに100冊以上の絵本を出版しました。
20世紀前半のアメリカ児童文学界で主流だった冒険物語やおとぎ話ではない現代的な絵本の新しい流行を作った作家です。
ブラウンさんの絵本には、言葉を話す動物や物がたくさん出てきます。
シンプルで美しい文が、登場する物や動物に人間的な魅力を与え、幼い子どもたちの心を捉えます。
代表作品「おやすみなさい おつきさま」(評論社)は、アメリカで1000万部を超えるベストセラー絵本です。
現在でも、世代を超えて読み継がれている名作でもあります。
マーガレット・ワイズ・ブラウンのおすすめ絵本
1.【評論社】おやすみなさい おつきさま
【訳】せた ていじ
【年齢】0歳から3歳
【あらすじ】子うさぎは、部屋の中と窓から見えるものの1つ1つに「おやすみなさい」を言います。
うさぎの子どもが「おやすみなさい あかいふうせん」というふうに部屋の中のもの1つ1つにおやすみを言います。
物語の展開は特にありません。
ページをめくるごとに絵本の部屋の照明が暗くなっていきます。
「おやすみ」の言葉の繰り返しが、子どもを安心させて不思議と眠くなる絵本です。
何でもまねしたい1歳半から2歳児は、うさぎの子供のように、眠る前に「おやすみ」のあいさつをして回るでしょう。
この絵本を読むときは、照明を少し落として、ゆっくり丁寧に読むことをおすすめします。
単調で同じ言葉が繰り返されるために乳幼児の夜の寝かしつけの絵本としておすすめです。
2. 【フレーベル館】たいせつなこと
【訳】うちだ ややこ
【年齢】5歳~12歳
【あらすじ】大切なものはなにかひとつひとつのものに語りかけていきます。
原題「The Important Book」は、1949年の初版以降、アメリカでは多くの人に読み継がれてきたベストセラー絵本です。
絵は、カルデコット賞受賞のレナード・ワイスガードが担当しています。
樹木希林さんの娘である内田也哉子さんの訳によって日本語版が出版されました。
優しい文と美しい絵が、小学生から大人まで読む者全員の心をつかみます。
自分という存在がしっかり表われてくる年長さんから読み聞かせができる絵本だと思います。
題からだけ判断すると、何か難しいことが書いてあるようですが、文章は意外にも簡潔明瞭です。
例えば、スプーンの説明では、「スプーンは食べるときに使うもの。でもスプーンにとって
大事なのは、それを使うと上手に食べられるということ」となっています。
最後は、「あなたにとって大切なのは」と問いがあり、「あなたがあなたであること」と締めくくられています。
子どもの成長の節目の時期や、自信をなくして落ち込んでいるときに読んであげると勇気づけられる内容です。
子どもが青年へと成長しても、手放さずに本棚のすみにそっと置いておきたい1冊です。
3.【ほるぷ出版】うさぎのおうち
【訳】松井るり子
【年齢】2歳~5歳
【あらすじ】うさぎの子どもが自分のおうちを探しまわります。
ローラ・インガルス・ワイルダー賞を受賞した画家ガース・ウィリアムズとコンビを組んだ名作絵本です。
うさぎの毛並みがふわふわとリアルに描かれいるため、思わず子どもは絵本の中のうさぎをなでなでしてしまうほどです。
お話しはうさぎの子どもが自分の家を探すだけでとてもシンプルな内容です。
どちらかというと幼児向けです。
ただ、昆虫や植物の図鑑を見るのが好きな小学生も反応してくれる絵本です。
うさぎだけではなく、背景の植物や昆虫まで写実的に描かれているからです。
キリスト教徒の国では、うさぎは春のシンボルです。お花が咲きはじめ、暖かくなってくる春に読むのにおすすめの絵本です。
4.【童話館出版】どこへいってた?
【訳】うちだ りさこ
【年齢】1歳~4歳
【あらすじ】いろいろな動物たちが出てきて、「どこへいってた?」と問いかけます。
コールデコット賞を2回受賞したバーバラ・クーニーとコンビを組んだ絵本。
ねこ、りす、もぐら、からすなど14種類の動物が各ページに出てきて、「どこへいってた?」や「なにをみてる?」などと問いかけます。
リズムのいい言葉はまるで詩のようで、読んでいる方も飽きません。
黒と白が基本の版画絵ですが、時々赤く塗ったいちごやてんとう虫が出てきます。
黒と白の世界で突然赤いいちごが出てくるので、「あ、いちご」と反応する子どもがいます。
動物に関心が出てきた小さいお子さんにおすすめです。
愛くるしい動物とリズミカルな文で子どもの興味を最初から最後まで惹きつけます。
5.【福音館書店】ちいさなもみのき
【訳】上条由美子
【年齢】4歳~9歳
【あらすじ】小さなもみの木は、毎年クリスマスになると、足の悪い男の子の家に運ばれて、一緒にクリスマスを過ごしました。
前作と同じく絵本のゴールデンコンビが組んだ作品。
違う作家の同タイトルの絵本が3冊ほどありますが、さすがゴールデンコンビが組んだだけあり、他の作品とは違う品格があります。
クリスマスの絵本といえば、プレゼントをテーマにしたものが多いですね。
この絵本は、そういう物質的なものは出てきません。
クリスマスの時だからこそ感じる温かい心の交流がテーマです。
そのため、お話しが分かってくるのは、少しずつ物事の状況が分かってくる年中さんくらいだと思います。
それよりも小さいお子さんだと、なんで足が悪いのに森のもみの木に会いたいのかが分からないと思います。
ただ、絵がとてもきれいなので、4歳前の小さなお子さんならば絵を見せるだけでいいかもしれません。
クリスマスが近くなってきた12月に親子でほっこりしたいときに読むのにおすすめの絵本です。