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小風さちさんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
小風さちはどんな人?
1955年、東京都生まれ。白百合女子大学仏文科卒業。1977年から、10年間のイギリス滞在を経て、絵本作家になる。長篇ファンタジー「ゆびぬき小路の秘密」で、野間児童文芸新人賞受賞。作品に、「わにわに」シリーズなどがある。
小風さちさんは絵本作家です。
「わにわに」シリーズで人気を博している作家さんです。
文章量は少ないながらも、その絶妙な言葉選びによって、子供達の心が惹きつけられる作品が数多くあります。
さらに「わに」のゴツゴツした鱗の様子を版画で表現している山口マオさん、乗り物絵本の第一人者である山本忠敬さん、豊かな色彩と独特のタッチで描く長新太さんなどが、小風さんの言葉の世界を大いに盛り上げてくれています。
小風さんと、素敵な絵描さんたちの織りなす楽しい絵本たちを、ぜひ味わってみてください。
小風さちおすすめ絵本
1.【福音館書店】わにわにのおおけが
【年齢】2歳頃から
【あらすじ】わにわには、夢中で工作をしていたら、ハサミで指を切ってしまう。しかし、自分で治療をし、工作を続け、段ボールで携帯電話を仕上げる。
小風さんの人気作である「わにわに」シリーズからの中の1冊です。
笑っているのか、泣いているのか、怒っているのか、絶妙な表情のわにわにが魅力です。
夢中になって工作をしているわにわには、指をハサミで切ってしまいます。
薬を塗り、治療をするのですが、「だいじょうぶかな?」と自分の治療の甘さを不安に感じ、どんどん包帯を巻いていきます。
包帯でぐるぐる巻きの大きな指を見て、「よーしよし」と満足そうなわにわに。
聞いている子供たちは「巻きすぎだよー!」と思わずツッコミが入るでしょう。
そんな愉快なわにわにを子供たちはきっと大好きになるでしょう。
2.【福音館書店】とべ!ちいさいプロペラき
【年齢】3歳頃から
【あらすじ】小さなプロペラ機が、自身の機体の小ささに心細さを感じながらも、待ちに待った初飛行を楽しむ。
飛行機好きの子供には、とても人気の作品です。
乗り物絵本の第一人者である山本忠敬さんの絵が、空を飛ぶ高揚感を盛り上げています。
小さなプロペラ機は、格納庫や滑走路にいる自分よりもはるかに大きい他の飛行機を見て、楽しみだった初飛行への自信を喪失してしまいます。
しかし、ジェット機やパイロットに励まされ、勇気を出して初飛行を成功させます。
人間は、空を飛ぶ事はできませんが、子供たちはこの絵本を読んで、飛び立つ瞬間はどんな感覚だろうか、空からは何が見えるのだろうと想像力を働かせ、広い空の旅を疑似体験することでしょう。
読み聞かせをするときは、離陸前の「ブルンブルルン」というプロペラの音を勢いよく読むことで、離陸した瞬間のドキドキ感が伝わるでしょう。
ぜひ子供たちと、広い空へ飛び立ってみましょう。
3.【福音館書店】よ・だ・れ
【年齢】0歳頃から
【あらすじ】赤ちゃんのあーちゃんは、笑ったり、怒ったり、泣いたり。そのたびによだれがたくさん出る。気付くと、歯がはえていた。
赤ちゃんの、歯が生えてくる時期に見られる、よだれのお話です。
あーちゃんは、笑っても、泣いても、いつもよだれがたくさん出ます。
よだれをたっぷり口に含んだ様子を「るーるーるー」や「れろれろれろ」といった、耳に残る独特の音で表現しています。
絵本を聞いている赤ちゃんはおもしろい音が大好きなので、興味深々で絵本に見入るでしょう。
また、赤ちゃんのいるお兄ちゃん、お姉ちゃんにも、おすすめです。
「どうして赤ちゃんは、こんなによだれが出るのだろう?」と不思議に思っていたり、「汚いな」と感じているようなら、ぜひこの絵本を読んであげてください。
赤ちゃんのよだれのことを知って、ますます下の子への愛情が深くなるでしょう。
4.【福音館書店】あむ
【年齢】4歳頃から
【あらすじ】犬のあむが、自分を置いて海へ出掛けてしまった飼い主のかっちゃんを探しに行く。海の匂いを頼りに追いかけて、かっちゃんを探し当て、無事に海へたどり着く。
犬のあむは、飼い主のかっちゃんが大好きです。
ですから、自分を置いて出掛けてしまった時は、とても淋しい気持ちになりました。
一緒に連れて行ってほしい気持ち一心で、首輪を外してしまい、かっちゃんを追いかけるため道路に出るのです。
途中で、遮断機のおりている踏切を渡ろうとする場面にヒヤリとします。
しかし、不意に「うごくな」とかっちゃんの声が聞こえた気がしたあむは、踏みとどまり、難を逃れます。
犬を飼っている家庭であれば、あむと、かっちゃんの名前を、ペットと子供の名前に置き換えて読むと、さらにお話を身近に感じる事ができるかもしれません。
ペットと飼い主の不思議な強い絆を感じる作品です。
5.【福音館書店】トーマスのもくば
【年齢】3歳頃から
【あらすじ】幼稚園の木馬が大好きでいつも独り占めしているトーマスの顔が、突然馬に変わってしまう。馬になりきって気丈に一日を過ごすが、お母さんが馬の顔になった自分をどう思うか不安になる。しかし、迎えに来たお母さんは、ちゃんと分かってくれた。
トーマスは幼稚園の木馬が大好きで、次々に「乗りたい」とやってくる友達を「だめだめ、ぼくのもの」と、突き放してしまいます。
そんなトーマスに、大変な事が起きました。
なんと、顔が馬になってしまったのです。
このシーンは、お話を聞く子供たちも、トーマス同様に衝撃を受けます。
トーマスは、突然の出来事に戸惑い、冷やかされながらも、その気持ちを打ち消すように、馬になりきって一日を過ごすのでした。
しかし、馬に変わった自分にも気づいてくれたお母さんに促され、顔を洗うと、いつものトーマスに戻ります。
お話の最後には、トーマスも子供たちも、ホッとします。
顔が変わってしまうという不思議な事がつまったお話です。
「どうしてトーマスの顔は馬になったんだろうね?」と問いかけてみましょう。
「意地悪したから」や「独り占めしだから」など、子供は自分なりの見解から、良心への気づきを得ることができるでしょう。