目次
2月に生まれの女の子や4月に生まれの男の子など、節句の直前に生まれた場合、初節句のお祝いはいつ実施すればよいのでしょうか?
初節句の時期を先延ばしにする場合の考え方や注意点を解説します。
初節句は先延ばしにしてもいいの?
「初節句」とは、生まれて初めて迎える節句を意味します。
赤ちゃんが無事に初めての節句を迎えられたことを身内で慶ぶ儀式です。
昔は赤ちゃんの死亡率が高かったため、成長のさまざまな節目でお祝いをしていたのですが、初節句もその一つです。
江戸時代には、季節の節目を祝う公的な祝日として5つの節句が幕府によって定められました。
その頃から、5月5日を男の子の節句として、3月3日に女の子の節句として祝うことが武家を中心に庶民の間でも定着していきました。
1月7日 | 人日 | 無病息災を願って七草粥を食べる |
3月3日 | 上巳 | ひな人形を飾り、女の子の誕生を祝う |
5月5日 | 端午 | 鎧兜を飾り、鯉のぼりを揚げて、男の子の誕生を祝う |
7月7日 | 七夕 | 笹竹に願い事を書いた短冊を結ぶ |
9月9日 | 重陽 | 長寿を願って菊酒を飲む |
さて、初節句は誕生して初めて迎える節句でお祝いすることが原則であるため、仮に3月3日や5月5日の当日に生まれたとしても初節句のお祝いをして構いません。
しかし、先に述べたように、昔は赤ちゃんが生まれても無事に育たないことが多かったため、産まれて間もない時に初節句を迎えた場合には、先延ばしにすることが一般的でした。
赤ちゃんの死亡率が低くなった現代においても、産まれた直後は母子の健康を第一に考えて、また節句の準備をする時間もないため、初節句を翌年などに先延ばしをすることが一般的です。
初節句を先延ばししてもよい赤ちゃんの誕生日
では、いつに生まれた子供が初節句を先延ばしにしてよいのでしょうか?
1.初節句の1ヵ月以内(お宮参り前)に生まれた場合
女の子:1月30日頃から3月3日生まれ
赤ちゃんが誕生すると、節目の日ごとに様々な行事が「お宮参り」もそのひとつです。
地域ごとに異なりますが、男の子は生後30~31日目、女の子は生後31~33日目に、神社に参拝して、自宅などで祝宴を催します。
お宮参りの時期に初節句が重なってしまうことを避けるため、また、お宮参りをしてはじめて世間の一員となるという考えからもあり、初節句を翌年に延ばすのです。
もちろん、先延ばしにするのは1つの考え方ですので、お宮参りの前や当日に初節句祝いをしても構いません。
ただ一般的にお宮参り前に初節句が到来した場合は翌年に繰り越します。
2.初節句の100日以内(お食い初め前)に産まれた場合
女の子:1月30日頃から3月3日生まれ
お宮参りに続いて赤ちゃんの行事として「お食い初め」があります。
生後100日目に、「一生涯食べ物に困らないように」と願って、尾頭付きの鯛などがのせられたお祝膳を家族で食べます。
現代において離乳食が始まるのは5~6カ月頃でしすが、昔は生後3か月、つまりお食い初めの直後から本当に離乳食が始まっていました。
お食い初めの前に初節句が着た場合には、赤ちゃんに節句にちなんだ縁起物を食べさせることができないため、翌年に持ち越しをするという考え方があります。
3.正月から初節句の間に産まれた(早生まれの)場合
女の子:1月1日から3月3日生まれ
「正月」も節句の一つです。
赤ちゃんが誕生して初めて正月を迎えた場合は「初正月」と言って、子供の健康を願い男の子には「破魔弓」、女の子には「羽子板」を正月飾りとともに飾ります。
この「破魔弓」と「羽子板」は、子供を災厄から守るとされているため、正月だけでなく「端午の節句」や「桃の節句」にも飾ることができます。
初節句は子供を病気から守りたいという願いが込められた行事であるため、初節句の飾りである「鎧兜」や「雛人形」とあわせて「破魔弓」や「羽子板」も飾ったほうが願いが叶うと考える家や地域もあります。
こうした地域(家)では、「破魔弓」や「羽子板」がない初節句の飾りを「片飾り」と呼んで嫌われます。
そのため、お正月以降に産まれた赤ちゃんの初節句は翌年に行うのです。
もちろんこれは一つの考え方であり、基本的には産まれて1カ月以上経過して入れば初節句のお祝いをすることが大半です。
初節句をいつの時期に延ばすか?
両家の了解も得て、初節句を先延ばしにするとしたら、いつに祝えばいいのでしょうか?
一般的な考え方を紹介します。
1.翌年の節句に祝う
「今年はできないから、初節句は来年にしよう」という最もシンプルな考え方です。
初節句を繰り越す場合、ほとんどがこのケースです。
おすすめできるのは以下の条件に当てはまるご家庭です。
節句の直前や、節句が過ぎてから人形などの飾りを買おうとしても、人気がある職人の作品はすでに売り切れてしまっていて手に入らない可能性があります。
やはり、初節句の飾りは、節句の2~3ヵ月前が一番多く市場に出回るため、じっくりと吟味して買いたい場合には、翌年にするのが最善であると言えます。
2.旧暦の節句に祝う
本来、五節句は旧暦に祝うものでした。
明治時代になって政府が暦を変更したため、節句も新暦に合わせられました。
しかし現在でも旧暦に初節句を祝う地域が残されています。
これにならって、初節句を旧暦の節句に延ばすという考え方があります。
この考え方をお勧めできる家庭は次の通りです。
旧暦の節句は約1ヵ月ほど後になるため、市場に出回る節句人形が少なくなります。
そのため沢山の人形から吟味してひとつを選ぶということが難しくなります。
あるものの中から選ぶことができるのであれば旧暦に祝うのもひとつの手です。
参考として2018年~2025年までの旧暦の節句の日取りを紹介します。
西暦 | 桃の節句 | 端午の節句 |
---|---|---|
2018年 | 4月18日 | 6月18日 |
2019年 | 4月7日 | 6月7日 |
2020年 | 3月26日 | 6月25日 |
2021年 | 4月14日 | 6月14日 |
2022年 | 4月3日 | 6月3日 |
2023年 | 4月22日 | 6月22日 |
2024年 | 4月11日 | 6月10日 |
2025年 | 3月31日 | 5月31日 |
3.数週間から2ヵ月先の吉日の週末に祝う
要するに都合のいい日に初節句のお祝いをしてしまおうという考え方です。
お勧めできる家庭は次の通りです。
形式よりも、実を重視した方法ではありますが、祝う日がいつであれ子を思う気持ちが一番大切です。
初節句を延ばすなら事前に相談を
これまで説明してきたように、初節句の時期はずらしても構いません。
実際に時期をずらす場合には、必ず家族で話し合いましょう。
夫婦で話し合うことはもちろん大切ですが、両家の祖父母にも了解を得る必要があります。
特に初節句は、親だけでなく、祖父母からお祝い金や節句人形を買ってもらうことが多いため、出産予定日が初節句の直前である場合にはしっかりと相談しましょう。
初節句を楽しみにしていた祖父母をがっかりさせてしまうことになりかねません。