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男の子の初節句に揃える「五月人形(鎧・兜)」と「鯉のぼり」は誰が買うべきなのか解説します。
五月の節句飾りを買う人は誰?
男の子の節句飾りには「大将飾り」「鎧飾り」「兜飾り」「武者人形」「鯉のぼり」「武者幟」の6種類あり、それぞれ買ってあげるべき人は異なっています。
大将飾り
1.五月人形(鎧兜・大将人形)は祖父母が買う
まず、節句飾りを買う人は誰かと言う問いに正解はありません。
地域によっても異なりますし、同じ地域であってもそれぞれの家ごとに慣習は異なっているからです。
一方で、初節句のお祝いとして、男の子・女の子いずれあっても母親の実家から節句飾りを贈るとする慣習が全国的に見られていました。
ただし男の子の節句飾りについては、屋内に飾る「鎧・兜」と屋外に飾る「鯉のぼり」の2種類をそろえるため、両方とも母親の実家から贈ってもらうということは基本的にありません。
もともと端午の節句飾りは、江戸時代の武家が模造の「武具」と、どの家かを示すために家紋の入った「幟旗」を玄関前に飾り始めたことが始まりとされています。
つまり、節句飾りの主役は鎧飾り(兜飾り)となるため、母親の実家からは鎧飾り(兜飾り)を贈ってもらうとよいでしょう。
また、人形が甲冑を着ている「大将飾り」も鎧飾りから派生した飾りであるため、いずれかひとつを初節句の際に用意するとよいでしょう。
2.武者人形はおじ・おばが買う
五月人形の中でも武者人形と呼ばれる人形には「金太郎」以外にも、牛若丸、神天、鍾馗など様々な種類があります。
これらも「武具」の飾りから派生して生まれたものです。
しかし、現在では五月人形として鎧飾り(兜飾り)を飾ることが一般的になっているため、武者人形は脇役の扱いになっています。
それため、それほど高くない武者人形であれば、初節句のお祝いとして、日頃から親しくしているおじ・おばなどの親戚から贈ることが多くなっています。
もっとも初節句のお祝いとしては、人形ではなくご祝儀(現金)を包むことが大半です。
また、初節句のお祝いとしてではなく、成長してから節句のプレゼントとして武者人形を買ってあげることもよくありました。
この場合は、両親・祖父母・おじ・おば問わず買ってあげるとよいでしょう。
3.鯉のぼり、武者幟は両親が買う?
端午の節句のもうひとつの主役は鯉のぼりです。
母親の実家が鎧飾り(兜飾り)を贈ってくれた場合には、鯉のぼりは両親自身が購入します。
ただし、父方の祖父母からご祝儀をもらうことになるため、実質的には父親の実家に買ってもらったと言えるでしょう。
ところで鯉のぼりは、玄関前に武具と一緒に立てていた家紋入りの幟旗(のぼりばた)から派生したものです。
幟旗はやがて武者などの派手な絵が描かれるようになり、その中でも、鯉が滝を登って龍になるという故事にちなんで、立身出世の象徴として鯉が盛んに描かれるようになったものです。
つまり、鯉のぼりも武者幟も元は同じものです。
幟旗は立派な鎧飾りがどの家のものなのかを示すためのものでから、そう考えると母親の実家に贈ってもらうのは少し筋違いと言えるかもしれません。
最近の五月人形・鯉のぼりの購入事情
最近は過去の習わしにとらわれず自由な考え方で初節句の飾りを準備することが増えています。
今どきの事情をいくつか紹介します。
1.飾りではなくご祝儀をもらう
初節句のお祝いとして五月人形や鯉のぼりを贈ってもらうのではなく、両親が気に入ったものをネットなどで購入することも増えています。
今の両親世代はインターネットで納得いくまで情報を集めて購入することが当り前になっているため、情報量の少ない祖父母に購入に任せることは難しくなっています。
そこで、お祝いとして兜飾りや鯉のぼりではなく、始めから現金をご祝儀としてもらい、それで気に入ったものを両親が買いに行くことが一般的になっています。
2.父親のお下がり
もともと五月人形は、子供の身代わりとなって災いから守ってくれるという意味があったため、本来は生涯一人の人が持ち続けることが前提でした。
しかし、五月人形や鯉のぼりは高額な商品でもあるため、高品質なものであれば親から子に受け継がせるケースも見られるようになりました。
ちょうどバブル時期に生まれた両親が多いため、祖父母からかなり高価な五月人形や鯉のぼりを買ってもらっている家が多いからかもしれません。
五月人形(鎧・兜)は父親の実家から持ってきて、鯉のぼりだけを購入する、またその反対などもあるようです。
3.そもそも購入しない
昔と違って、子供が病気などで亡くなることが少なくなっているためか、初節句のような伝統的な通過儀礼についてはそれほど重視しない家庭も増えています。
さらに、都市部に住む人が増えて、五月人形や鯉のぼりの飾り場所や仕舞い場所にも困るような状況もあるため、あえて買わないケースも増えています。
その場合は、写真スタジオで金太郎や武者の衣装をレンタルして記念写真することで、初節句の記念にします。