目次
ひな祭りに縁起を担いで食べられる様々な料理やお菓子を一覧で紹介しています。
それぞれの由来や意味はもちろん、作り方についてまで余すことなく解説しています。
ひな祭り料理の基本
1.ひな祭りとは?
「ひな祭り」とは、正式には「上巳の節句(じょうしのせっく)」と呼ばれ、「端午の節句」や「七夕の節句」と同じく、江戸時代から大切にされてきた「五節句」のひとつです。
「3月3日」は奇数の数字がならび縁起がいいとされて、この日に身の穢れを人形に移して清めることで、女性の健康と幸せを願うという行事です。
2.ひな祭り料理
「節句」と言われるだけあって、季節の重要な節目と考えられており、その時期に採れる「旬のもの」や「初もの」を食べることが一番の基本です。
「旬のもの」「初もの」といった食材は、昔から邪気を払って病気にならない縁起物と考えられてきたからです。
手の込んだ料理ではなくても、普段の料理に季節の食材を添えるだけでも、お祝いらしい賑やかな食卓になります。
それぞれの食材にどんな意味があるのか子供達に教えるのも、ひな祭りの楽しみ方のひとつです。
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ひな祭りの食事
1.蛤(はまぐり)の吸い物
由来・意味
蛤の貝殻は一対になっていて、それ以外の貝と合わないことから、「夫婦円満」や「良縁に恵まれる」食べ物として、結婚式などのお祝い事には欠かせない食材です。
二枚貝そのものが「女性」を表わすとされているので、女の子のお祝いである「ひな祭り」にも食べられるようになりました。
はまぐりを使った料理
はまぐりは2、3月に旬を迎え、他の二枚貝と比べても殻や身が大きく食べ応えがあります。
立派な貝殻を活かして、「お吸い物」にするのが定番です。
また、ちらし寿司などの「お寿司」のネタのひとつにすることもできます。
お吸い物の作り方についてはこちらの記事をご覧ください。
2.さざえのつぼ焼き
由来・意味
さざえをはじめとした「巻貝」には、願い事をかなえる力があると信じられており、関東地方を中心に、ひな祭りでもよく使われる食材です。
サザエを使った料理
サザエは3月~5月にかけて旬を迎え、3月のさざえは「初もの」になります。
サザエを使った「ひな祭り」らしい料理と言えば「ぬた(酢と味噌の和えもの)」です。
旬の野菜である「ワケギ(ネギの仲間)」を使った「ぬた」は縁起物とされお祝いの席でよく食べられています。
「ぬた」の中に、茹でたサザエを入れれば、「サザエのぬた」ができます。
しかし、サザエを食べることは滅多にないため、せっかくなら「つぼ焼き」にするのが一番簡単で、かつ美味しいです。
コンロに網を置いて、サザエを乗せるだけ。
サザエから泡が出たら醤油をさっと垂らして完成です。
ワタが苦手な場合は、焼く前に、沸騰したお湯で10分ほど茹でて、身を取り出して包丁で1cm角に刻み、再度、ワタ以外の身を殻に戻して、つぼ焼きにします。
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3.桜鯛の塩焼き
「紅白」の色は、邪気を払い縁起がよいものをされているため、お祝い事で欠かせない色使いです。
由来・意味
「紅白」の食べ物の代表が「真鯛」です。
「めでたい」という語呂の良さもあり、「ひな祭り」でもよく食べられています。
鯛を使った料理
鯛は、冬から春にかけて旬をむかえ、5月の産卵の時期を迎えると旬が終わります。
産卵前でたっぷりと脂が乗っており、色も桜のように美しため「桜鯛」と呼ばれています。
そのため、お魚屋さんで「お造り(刺身)」にしてもらうのが一番と言いたいところですが、子供がまだお刺身を食べることができないのであれば、「塩焼き」が定番です。
塩焼きの作り方は同じくこちらをご覧ください。
4.鰈(カレイ)の煮付け
由来・意味
お祝膳で食べる定番のお魚と言えば鯛ですが、実はカレイも縁起物です。
中でも「子持ちかれい」は、お腹に卵をたくさん抱えている姿から「子宝に恵まれる」として古くから、縁起物として食べられていました。
鯛が高級魚であるのに対して、カレイは大衆魚であるため、庶民にとっては鯛よりも身近な食材なのです。
カレイを使った料理
カレイは種類が多く、それぞれ旬が異なります。
ひな祭りの時期に旬を迎えるのは、「まこがれい」で、1月~3月にかけて「子持ちかれい」として流通されます。
「子持ちカレイ」の料理は、なんといっても「煮付け」が定番です。
材料(大人2人+幼児1人分)
生姜 1片
水 200cc
酒 100cc
砂糖 大さじ3
醤油 大さじ3
作り方
2.身が白くなったら、素早く取り出して、氷水に一旦投入し、キッチンペーパーで水気をとる
3.鍋で水、酒、砂糖をひと煮立ちさせたら、かれいを入れて5分煮る
4.さらに醤油をくわえて、スプーンで煮汁を掛けながら煮詰める
5.お寿司
由来・意味
お寿司は「寿」の名が付く通り、おめでたい時に食べる料理です。
お寿司自体が「縁起がいい」の訳ではなく、「縁起のいいネタ」を使っていることから、縁起を担ぐことができるとされています。
「ひな祭り」にあう縁起のいい寿司ネタには、次のようなものがあります。
お寿司の種類
家庭で作れるひな祭りらしいお寿司としては「ちらし寿司」が簡単で定番です。
また、最近では好きな食材を自分で巻いて食べる「手巻き寿司」も人気です。
ひな祭りらしい「見た目」にこだわるのであれば、「手まり寿司」もおすすめです。
手まり寿司は、小さく丸い握った酢飯にネタを乗せるだけなので、一般的な握りずしほど技量が必要ありません。
いずれにしても「酢飯」を作れば、あとは好きな具材を乗せるだけです。
「酢飯」はご飯に酢、砂糖、塩を混ぜて作りますが、配分が悩みどころ。
そんな時は市販の「すし酢」を使うと簡単です。
ご飯にかけて混ぜるだけで、本格的な「酢飯」を作ることができます。
6.白酒
由来・意味
ひな祭りには、桃の花を浮かべた白酒である「桃花酒」をお供えして飲みます。
白酒によく似たものに「甘酒」があります。
味はよく似ていますが、作り方は全く異なります。
白酒はみりんともち米、米麹で作られており、アルコールが7%も含まれています。
子供と一緒に飲むために、「白酒」でなく「甘酒」を代用することも多くなっています。
ひな祭りのお菓子
1.菱餅
由来・意味
菱餅の独特な形は「菱」という植物の実の形を模したものです。
昔の菱餅は、実際のこの「菱の実」を使って作っていたそうで、繁殖力の高い「菱」にちなんで、「子孫繁栄」を意味する縁起の良い食べ物とされてきました。
現在の菱餅は、紅、白、緑の3色を使っています。
「紅白」は邪気を払う意味があります。
緑は「蓬(よもぎ)」の色で、菱と同じく繁殖力が高いため縁起のいい食べ物です。
2.雛あられ
由来・意味
最近では、菱餅は単なる飾りで、実際には、雛あられだけを食べる家庭が多いのではないでしょうか?
実は、雛あられは、菱餅が変化したものとされています。
ひな人形を持って女の子が外に遊びに行くときに、持ち運びしやすいように菱餅から雛あられを作ったと言われています。
結局、菱餅も雛あられも同じものなので、雛あられだけ食べても十分に縁起を担ぐことができます。
3.桜餅
由来・意味
最近のひな祭りで人気のお菓子が「桜餅」。
昔からひな祭りで食べられていたわけではないので、節句にちなんだ由来もないのですが、色あざやかなピンクと、春を感じさせる桜の葉が、「桃の節句」の時期にぴったりということで、戦後になって人気が急上昇してきました。
小さな女の子がいないので節句のお祝いはしないけれど、ひな祭りの気分を味わいたくて「桜餅」だけは食べるという女性も多いのではないでしょうか?
しかし、江戸時代より以前の「上巳の節句」は大人の女性が田植えの前に穢れを払うための節句だったので、大人だけで桃の節句を楽しむことは、より本来の形に近いと言えます。