赤ちゃんに、「くしゃみ」と「鼻水」が同時にたくさん出るとアレルギー性鼻炎ではないかと考える親は多いのではないでしょうか?
特に、両親が鼻炎持ちだと心配になりますよね。
そこで「くしゃみ」と「鼻水」が同時に起きる原因について解説します。
赤ちゃんの「くしゃみ」と「鼻水」の原因
1.アレルギー性鼻炎の可能性は低い
親のどちらかにアレルギー性疾患があると、子供も30%の確率で発症するという研究結果があるそうです。
厚生労働省の報告によると、花粉症だけでも、国民の約30%が発症しており、アレルギー性鼻炎全体では、約40%もの発症率であるというデータがあります。
生まれたばかりの赤ちゃんが、「くしゃみ」をして「鼻水」がでていると、自分のアレルギー性鼻炎が遺伝したのではないかと心配する両親も多いのではないでしょうか?
アレルギー性鼻炎には、原因物質の違いにより「季節性」、「通年性」の2種類があります。
0~4歳のそれぞれの発症率を見ると、季節性(スギ)の鼻炎が3%、通年性(ダニ)の鼻炎が4%となっています。
つまり、乳幼児の発症率は、非常に低いのです。
しかし、近年、季節性・通年性ともに発症患者が低年齢化してきており、季節性で2歳頃から、通年性では0歳から発症するという事例があります。
そうであるにしても、0歳の赤ちゃんがアレルギー性鼻炎になる確率は1%にも満たない極めて稀なケースだと言えます。
もちろん100%発症しないとは言い切れないため、換気や掃除はこまめに行い、ダニやハウスダストなどの通年性のアレルギー原因物質が少ない環境で育児をすることを心がけましょう。
2.感染症である可能性が高い
「くしゃみ」「鼻水」が同時に出てしまう原因がアレルギー性鼻炎でないとしたら、一体何が原因でしょうか?
可能性としては「風邪」が疑われます。
「くしゃみ」「鼻水」「咳」は、典型的な風邪の初期症状です。
ところで、赤ちゃんは、胎内にいる時に母親から免疫(抗体)をもらい、また、出産後も母乳から免疫をもらえるため、風邪はひかないと思っていませんでしょうか?
確かに、胎内で母親から獲得する「IgG」という免疫は幅広い病気に対抗しますが、決して万能ではなく、一度にたくさんのウィルスや細菌に曝(さら)されれば、感染症を発症します。
そして生後3か月以降は「IgG」が減少し、ウィルスや細菌に対抗するための免疫力はむしろ大人と比べると弱いため、風邪にかかりやすくなります。
そもそも「くしゃみ」「鼻水」「咳」という現象は、鼻や喉の粘膜に付着したウィルスや細菌を撃退するための「生体防御反応」のひとつでもあります。
もし、これらの症状が1日中続いている、または、37.5度以上の発熱を伴っている場合には、「風邪」を疑ってみましょう。
「風邪」と言えども、体の発達が未熟な赤ちゃんの場合は、肺炎などに発展して重症化しやすいため、気になる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
<参考出典>
メルクマニュアル医学百科
厚生労働省
日本呼吸器学会
科学技術振興機構
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」