赤ちゃんが緑色のうんちをしたら病気なのでしょうか?
便の色と病気の関係について解説します。
うんちの色は「ビリルビン」の影響
離乳食が始まる前の赤ちゃんは白い母乳やミルクしか飲みません。
他に飲んだとしても、白湯や麦茶くらいでしょう。
それなのに、何故、赤ちゃんのうんちは、「黄色」や「茶色」、時には「緑」などの色で排泄されるのでしょうか?
その理由は、「ビリルビン」という体内の物質が関係しています。
1.ビリルビンは血液から作られる
血を赤くしている「赤血球」には寿命があります。
通常は120日です。
赤血球は寿命がくると脾臓に運ばれて壊されます。
この時、赤血球が分離し、その一部が「ビリルビン」として生成されます。
「ビリルビン」は黄色の色素を持っています。
生成された「ビリルビン」は血管を通って肝臓に運ばれたあと、少しずつ性質を変えながら胆汁、小腸、大腸に移動して、便として排泄されます。
また、一部は腎臓に移動して尿として排泄されます。
つまり、便や尿の色が黄色っぽいのは、このビリルビンの色素が影響しているためです。
ちなみに、赤ちゃんが胎内にいた時に作られた赤血球の寿命は短いとされています。
そのため、新生児は生後数日で「ビリルビン」が大量に生産されて血液中のビリルビン量が増えたために、皮膚が黄色くなる「黄疸」が顕れるのです。
2.緑色のうんちでも問題ないか?
「ビリルビン」は、肝臓から大腸に至る間に、「酸素(さんそ)」や「酵素(こうそ)」の影響を受けて、性質(物質)が変化していきます。
この「酸素」と「酵素」に影響を受けた具合によって、「茶色」になったり「緑」になったりします。
「緑」の便は、酸化した便の色です。
授乳後にゲップが上手くできず、腸に入り込んで酸化を促進することもあれば、便が腸の中に長く滞留したために酸化することもあります。
また、消化器官にある酵素の働きは、生活環境によって変わることもあるので、何かのきっかけで酸化が進んで、便が緑になることがあります。
便が緑色になる原因はその時々で違う要因があると思いますが、いずれにしても健康に問題がある便の色ではありません。
また、緑色の便に加えて、さらに下痢気味だと心配になるかもしれません。
緑色の便も、下痢も、赤ちゃんにとっては珍しいことではありませんが、他に顔色が悪い、熱がある、元気がないなど、赤ちゃんの様子をしっかり観察し、気になることがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。
問題のある便の色は?
普段と違う色のうんちが出た場合には医療機関を受診しましょう。
以下はうんちの色ごとに考えられる代表的な病気を紹介してます。
1.白
まず、通常の色のうんちの中に白いつぶつぶが少し混じっていることがありますが、それは消化できない母乳やミルクの脂肪分の塊です。
気を付けたい白い便は、「白っぽく水のような下痢」です。
これは「ロタウイルス」に感染して胃腸炎になっている可能性があります。
また、うんち全体が白かったり、白っぽい黄色の場合も注意が必要です。
「胆道閉鎖症」といって胆道が閉鎖されているために肝臓で作られた胆汁が貯まってしまう病気である可能性があります。
母子手帳にうんちの色から「胆道閉鎖症」をチェックする色カードがありますので、色が薄いを感じたら確認してみましょう。
2.赤
苺ジャムのような赤い便が出た場合は、「腸重積症」の可能性があります。
「腸重積症」は生後3~6か月の乳児が発症することが多い病気です。
小腸の一部が、大腸に入り込んで、腸が重なる病気です。
腸が締め付けられて出血し「血便」が出ます。
血便の前に、激しく体をよじって泣くことを繰り返す症状があります。
また、赤い下痢の場合には食中毒が疑われます。
食中毒は細菌性腸炎と呼ばれ、嘔吐や発熱の症状も伴います。
なお、下痢や便秘のために直腸や肛門に傷がついて鮮血が混じることもあります。
3.黒
「タール便」と呼ばれる「炭」のような便が出た場合は、血便とおなじく、消化器官のどこかが出血して、便が黒くなっている可能性があります。
黒い色は血が酸化した色です。
胃や胃に近い腸の一部で出血すると酸化して黒い便がでます。
(参考出典)
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」
せきぐち小児科