赤ちゃんがいる家庭における、冬の季節の風邪予防対策について紹介します。
赤ちゃんのいる家庭での風邪予防
1.新生児は風邪をひかない?
新生児は胎内にいるときにお母さんからもらった免疫(抗体)に守られているから「風邪をひかない」という話を聞いたことがあるママも多いことでしょう。
確かに、新生児は「IgG」という免疫を胎児の時に獲得して生まれてきます。
しかも、「IgG」の濃度は大人のものと変わらないか、それ以上の割合であるとされています。
免疫には5つの種類があることが知られていて、その中でも「IgG」は、幅広い病気に対して最も活発に働いてくれる免疫とされています。
「新生児が風邪をひかない」と言われるのは、こうした理由があるのです。
ただし、免疫があるから「絶対に風邪をひかない」わけではありません。
免疫を十分に獲得している大人が風邪をひいてしまうように、新生児であっても、大量のウィルスや細菌に曝(さら)されれば、感染してしまうことはあります。
また、お母さんからもらった「IgG」は生後3か月を過ぎると急激に減少します。
その後、何度もウィルスや細菌に感染することで、子供自身の体の中で「IgG」が生産され増えていきます。
しかし、子供が5~6歳になったとしても、生後3か月までの「IgG」の濃度と比べれば、まだ7,8割にすぎません。
2.赤ちゃんはどこで風邪をひくの?
まず、行動範囲や交際範囲が限られる新生児の場合は、家族から感染症をもらってしまう可能性があります。
風邪を引いた家族が赤ちゃんのお世話をしたときなどに、たくさんのウィルスが口や鼻に入り込んで感染してしまうのです。
そのため風邪をひいたしまった家族はマスクを常時着用して、新生児と接触する場合には、必ず手洗いをする必要があります。
また、スーパーなど不特定多数の人が集まるような場所に外出した際には、飛沫感染や接触感染をする恐れがあるため、帰宅したら手洗いをするようにします。
赤ちゃんの場合はうがいができないので、できれば人混みを避けましょう。
なお、保育園に通っている赤ちゃんの場合は、風邪をひいたお友達と同じおもちゃを触ったりすることが避けられないため、感染しやすいと言えます。
3.冬は加湿・保温をこころがける
冬は、赤ちゃんにとっても感染症にかかりやすい時期でもあります。
その理由は、風邪が流行し、赤ちゃんをお世話する家族が感染してしまう可能性が高いことがひとつに上げられます。
二つ目には、赤ちゃんが過ごしている部屋も、ウィルスの生存しやすい環境になっていることが挙げられます。
ウィルスは、部屋の温度と湿度が低いと、長期間生存し続けます。
しかし、部屋の温度を20度以上、湿度を50%以上にすることで、6時間以内にほとんどのウィルスが死滅します。(インフルエンザの場合)
(出典)東京都感染症情報センター
従って、特に冬場は、帰宅した家族の手洗いとうがい、部屋の加湿をしっかり行いましょう。
<参考出典>
メルクマニュアル医学百科
保育所における感染症対策ガイドライン
母子衛生研究会「母子健康手帳 副読本」
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」