新生児の「くしゃみ」について原因と対応方法について解説します。
連発する新生児のくしゃみの原因と対処法
新生児や赤ちゃんがくしゃみをする主な原因としては、
などが考えられます。
新生児の場合は中でも血管性運動鼻炎によるくしゃみであることが多く、アレルギー性鼻炎である可能性は低くなります。
いずれにせよ親が判断することは難しいためくしゃみが続くなどの気になる症状があれば、医療機関を受診しましょう。
以下に3種類のくしゃみについて紹介します。
1.温度など環境変化による「くしゃみ」
そもそも「くしゃみ」は、風邪などの病気とは無関係に日常のちょっとした環境変化でもでます。
なぜなら、鼻の粘膜にはたくさんの神経が通っているため、外部から何らかの刺激を受けると、自律神経が反応して、くしゃみを出すのです。
くしゃみを引き起こす代表的な外部刺激は「温度」です。
暖かい部屋から寒い部屋に移動したときや、暖かいおくるみを脱がせたときなど、急に外気温が冷えると、鼻粘膜の血流が変化して、自律神経を刺激します。
新生児をはじめとする赤ちゃんは、体が小さく体温調整機能も未発達であるため、環境温度に影響を受けやすいとされています。
「温度」以外にも、「光」、「気圧」、「ストレス」などの変化でも自律神経が反応して「くしゃみ」が引き起こされることがあります。
対処法
温度など環境の急な変化によって引き起こされるくしゃみは、体が新しい環境に慣れてしまえば自然に収まります。
しかし、くしゃみが止まらないなど気になる症状があれば医療機関を受診します。
また、気温が低いにもかかわらず、薄着のまま長時間過ごしていると、風邪を引くことがあります。
そこで、「暖かい所から寒い所」に移動するときには
などの対処法が考えられます。
さらに、乾燥した季節は湿度を高めることで鼻の粘膜の保護につながります。
赤ちゃんのいる家庭では部屋の気温と湿度に気を付けましょう。
2.急性鼻炎による「くしゃみ」
急性鼻炎は風邪の一種です。
風邪の原因であるウィルスが鼻粘膜に付着した時に、ウィルスを体外に放出するための「生体防御反応」としてくしゃみをします。
赤ちゃんの周りには、多くのウィルスが存在しており、風邪の原因となるウィルスだけでも200種類以上あると言われています。
ウィルスが体に入ると必ず風邪になるわけではありませんが、体温の低下や疲れなどで免疫力が下がっていくと鼻風邪になり、鼻の粘膜が炎症を起こしてくしゃみや鼻水が出ます。
赤ちゃんの場合は、お母さんの胎内でIgGという感染から身を守る抗体(免疫グロブリン)を獲得して生まれくるため、生後3か月未満までは風邪にかかりにくいとされています。
しかし、絶対に風邪をひかないとも言い切れないため、鼻水などの症状もあれば風邪を疑いましょう。
対処法
早めに小児科を受診します。
「くしゃみ」の他にも、「発熱」「鼻水」「鼻づまり」「咳」などの症状がある場合は、風邪が疑われます。
これらの症状は、新生児の体力を奪い、細菌による2次感染等も引き起こす可能性もあります。
重症化すれば、肺炎になることもあります。
小児科を受診して、鼻を吸ってもらう、症状を緩和する薬を処方してもらうなどして、医師の指導のもとで、赤ちゃんを看病しましょう。
3.アレルギー性鼻炎による「くしゃみ」
小さな子供の場合、アレルギー性鼻炎によるくしゃみである確率は低く0~4歳でも発症率は4%程度です。
0歳であれば、さらに発症率は低くなります。
0歳児のアレルギー疾患としてはアトピー性皮膚炎などが代表的で、アレルギー性鼻炎は1歳を過ぎてから発症することがほとんどです。
ただし、近年、子供のアレルギー性鼻炎の発症率が高まっており、しかも、発症年齢が早まる傾向があります。
生後、数カ月でアレルギー性鼻炎と診断される赤ちゃんもいます。
アレルギー性鼻炎には、「通年性アレルギー性鼻炎」「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」があります。
このうちスギ花粉に代表される季節性アレルギー性鼻炎については、2歳以降に発症します。
したがって、0歳児については、通年性アレルギー性鼻炎が疑われます。
通年性アレルギー性鼻炎の原因物質は以下のものが考えられます。
これらの原因物質の中でも、「ダニアレルゲン」が大部分をしめています。
対処法
くしゃみと鼻水が慢性的に続くのであれば、医療機関を受診しましょう。
「特異的IgE抗体検査」をすることで、原因を特定することができる可能性があります。
そして、医師から原因や症状に合わせて自宅での対応について詳しく聞くようにします。
ここでは「ダニ」に対する代表的な対処法を紹介します。
【湿度を50%に保つ】
湿度が55%を超えるとダニが繁殖しやすくなります。
マンションなど気密性の高い建物は、湿度が上がりやすいためダニも発生しやすくなります。
定期的に窓を開けて換気をし、エアコンも利用して、湿度が上がりすぎないように気を付けましょう。
また、洗濯物の室内干しは、部屋の湿度をあげることにつながるので、特に春から秋にかけては、乾燥機を使うなどします。
【カーペットやぬいぐるみを使わない】
カーペットやぬいぐるみは湿気がたまりやすく、ダニが繁殖するには最適の環境です。
アレルギー性鼻炎の子供がいる場合には、なるべく使わないようにしましょう。
【布団やシーツカバーを洗う】
カーペットと同じくダニが発生しやすい環境です。
シーツカバーと同様に、布団も丸洗いできるものを選び、週に1度は洗って干しましょう。
また、シートカバーはダニを通さない素材で作られたものを選びましょう。
【マットレスや布地のソファーに掃除機をかける】
ダニの糞や死骸を掃除機で吸って除去しましょう。
【物を少なくして、部屋を清潔に保つ】
物にあふれていると、物と物の間に湿気がたまり、ダニが繁殖しやすくなります。
必要以上の物はもたず、「雑巾がけ」と「掃除機がけ」をよく行って、ダニが嫌がる環境にしましょう。
(参考書籍)
メルクマニュアル医学百科
菅家耳鼻咽喉科
鼻アレルギー診療ガイド
保育所におけるアレルギー対応ガイドライン (2019年改訂版)
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」