新生児の発熱を予防するために親ができること

新生児の発熱の原因となる感染症の予防について解説します。

この記事には疾病の情報が一部に含まれています。当記事を参考にした自己診断は決して行わないでください。気になることがあれば、医療機関を受診することを強くお勧めします。自己診断によるトラブルは一切の責任を負いかねます。

新生児が発熱する原因

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1.新生児は病気にかかりにくい?

生後3か月位以内の乳児は、母親からもらった「lgG」という感染症を防ぐ免疫を獲得して生まれてくるため、風邪など発熱を伴う感染症になりにくいと言われています。

(なお、3か月を過ぎると母親からもらった「lgG」が急激に減少するため、突発性発疹や風邪をはじめとした発熱を伴う病気にかかりやすくなります。)

では、全く感染症にかからないかと言えば、決してそのようなことはありません。

むしろ、体の機能が未発達な新生児が感染症になると重症化しやすいため、注意が必要です。

もし、発熱の症状が、出産後しばらくしてから現れた場合、それはウィルスや細菌による感染症が疑われます。

ウィルス・細菌の感染は、主に、「妊娠・出産時」に母親から感染する場合と、「出産後」に外的な要因で感染する場合の2つがあります。

これら2つのケースを以下で説明していきます。

2.妊娠・出産時の感染による発熱

母親は誰もが体の中に様々なウィルスや菌を保有しています。

これらが、妊娠や出産を通じて赤ちゃんに感染することがあります。

こうした母子感染を防ぐために、まず妊婦健診などで、母親の体の中に梅毒やクラミジアなど母子感染リスクの高いウィルスや菌がいないか検査をします。

もし、リスクの高いウィルスや菌が見つかれば、医師の指導の下、治療を行います。

また、妊婦健診で特に問題がない場合でも、出産時に母子感染することがあります。

例えば、

  • 出産時に母親が感染症にかかって発熱をしている場合
  • 破水から出産まで24時間以上経過している場合
  • なども母子感染のリスクが高まるため、抗生物質を投与するなどして、医師の管理のもと分娩が行われます。

    3.出産後の感染による発熱

    出産後に赤ちゃんが感染する経路としては、第一に家族が考えられます。

    そもそも新生児の生活範囲は非常に限られたものであり、ほとんどの時間を両親をはじめとする家族と過ごしています。

    したがって、新生児のいる家庭では、赤ちゃんを感染症から守るために、予防的な行動をとる必要があるのです。

    以下では、出産後の感染を予防する対応方法についてまとめています。

    新生児の感染症を予防する方法

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    1.家族が感染症にかからない

    新生児の感染症は、一緒に暮らしている家族から感染する場合が考えられます。

    まずは、家族が風邪や胃腸炎などの感染症にならないことが重要です。

    そのため、帰宅後は必ず手洗い・うがいをしましょう。

    手洗いは、石鹸をつけて、手のひら、手の甲、爪の間、指の間、親指、手首を丁寧に洗い、流水でよく洗い落します。

    うがいは、1度「ぶくぶく」と口をゆすいだ後、15秒間のうがいを3回繰り返します。

    2.タオルは赤ちゃん専用にする

    ウィルス、菌を保有している家族が使ったタオルから感染することがあります。

    タオルは赤ちゃんと共有してはいけません。

    赤ちゃん専用のタオルを用意して、手や顔を拭くようにしましょう。

    3.体調不良の家族との接触を避ける

    咳、鼻水、発熱、下痢、嘔吐などの症状が1つでもあれば、できるだけ新生児との接触は避けましょう。

    どうしてもお世話が必要なときは、必ず手洗いをして、マスクを着用しましょう。

    また、授乳中の母親が、風邪やノロウィルスなどによる胃腸炎を発症した場合に、母乳を与えていいか迷うと思います。

    母乳からウィルスや細菌が赤ちゃんに感染することはありませんが、咳などによる飛沫感染、手からの接触感染の恐れはあります。

    まず、かかりつけの産婦人科などで相談して、病状や家庭の状況にあった対応方法を教えてもらいましょう。

    母親が母乳やミルクをあげる場合には、毎回、手洗いとマスク着用をして授乳しましょう。

    4.換気、掃除をこまめに行う

    咳やくしゃみ、汚物の乾燥等によって、大量のウィルスや菌が空気中に浮遊します。

    また、気温・湿度が高い夏場には、部屋の中で細菌が繁殖しやすくなります。

    定期的に窓をあけて風通しをよくしましょう。

    この際、物が多いと風通しが悪く湿気がたまりやすいため、少なくとも新生児が過ごしている部屋は、整理整頓し、こまめに掃除をしましょう。

    5.部屋の気温・湿度を一定に保つ

    気温と湿度が低いとウイルスの活動が活発になり風邪(呼吸器感染症)をひきやすくなります。

    反対に、温度・湿度が高いと細菌が繁殖して食中毒(感染性胃腸炎)になりやすくなります。

    そのため室内の気温は20~26度、湿度は50%前後保つと感染症の予防につながります。

    エアコンや加湿器を用いて、適切な気温・温度管理をしましょう。

    6.嘔吐や下痢等による汚物を適切に処理する

    ノロウィルスなど、感染力の非常に強い胃腸炎を家族が発症した時は、特に注意が必要です。

    小さな子供の兄弟が胃腸炎になると、床やベッドに嘔吐することがあります。

    汚物が付着した布や床、ドアノブなどを適切に消毒しなければ、たちまち家族中に感染が広がります。

    アルコールでは、ウィルスを消毒することができません。

    そこで、ウィルスに効果のある次亜塩素酸ナトリウムを使って消毒を行います。

    もし、赤ちゃんが過ごしている部屋で嘔吐した場合には、ただちに別の部屋に移しましょう。

    そして、次亜塩素酸ナトリウムを用いて部屋を丁寧に消毒して、30分以上換気をしましょう。

    発熱の予防法について紹介しましたが、どんなに気を付けていても、赤ちゃんが発熱してしまうことがあります。

    その場合には、早めに医療機関を受診しましょう。


    <参考出典>
    メルクマニュアル医学百科
    食品衛生協会
    保育所における感染症対策ガイドライン
    母子衛生研究会「母子健康手帳 副読本」
    医学書院「新看護学・母子看護」
    金原出版「小児看護学」
    小学館「家庭の医学大辞典」
    学研「赤ちゃんの病気全百科」
    ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」

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