目次
新生児の体調を知るためには、毎日の検温が不可欠です。
体温を正しく計って、赤ちゃんの様子をしっかり把握しましょう。
体温についての豆知識
まずは「体温」についての基本的な知識を知っておきましょう。
1.体温とは何か?
体温を計るといっても、いったいどこの体温を計ればいいのでしょうか?
例えば、手のひらで体温計を握ることでも、温度を計ることができます。
しかし、実際にそうする人は誰もいません。
なぜなら、手のひらは、周囲の気温や、直前に持っていた物の温度の影響を受けやすいため、正確な温度を計測することができないからです。
新生児に限らず、本当に知りたい体温とは、外気温の影響をあまり受けない体の内部の温度のことを指します。
これを「核心体温」と言います。
一方、外気温に影響されやすい皮膚の温度を「外郭温度」と言います。
本来、「核心体温」を計測したいのですが、現実には、体の奥深くに体温計を入れることはできません。
そこで、便宜的に脇の下や口の中など、核心体温に近いとされる場所で体温を計測しているのです。
2.実測体温と予測体温
多くの家庭では「電子体温計」を使って計測しています。
電子体温計を脇の下に入れ、1分程度待つことで、体温を計ることができます。
このようにして測る体温は「予測体温」と呼ばれています。
一方で、ガラス製の水銀体温計や電子体温計(実測式)を脇の下に入れたまま、10分程度待って計る温度を「実測体温」と呼びます。
「予測体温」は、温度の上昇傾向から実測体温を「予測」して示されるものであり、必ずしも正確とは言えません。
実際、電子体温計で測るたびに体温が違うという経験をしたことがある人は多いでしょう。
体温計の商品によっても異なりますが、実測体温と予測体温の誤差は、およそ±0.3度程度あるとされています。
そのため予測式の電子体温計でより正確に測るためには、体温計を正しく使う必要があるのです。
体温を計る準備
体温は、生活環境によって、簡単に変動します。
特に新生児は、体温を調整する中枢神経(脳の機能)が未発達であるため、ちょっとした刺激で体温が上下します。
そのため体温を計る前に以下のことに留意しましょう。
1.部屋の温度を一定にする
赤ちゃんは体重(容積)が少ないため、外気温により体温が上下します。
そのため赤ちゃんが過ごしている部屋はなるべく一定にしましょう。
目安としては室温25度前後です。
冷暖房器具を使用して、冬場なら20度以上、夏場なら28度以下に室温を保つようにしましょう。
2.着せすぎの服を脱がす
赤ちゃんは大人と比べると新陳代謝がよいため、厚着をしていると発汗による蓄熱で体温が上がりやすくなります。
服装は、夏場なら1枚、冬場なら2枚にしてから体温を計るようにしましょう。
3.授乳、沐浴、泣いた直後は避ける
おっぱいを飲んだ直後、沐浴した直後、泣いた直後は体温が上がっています。
そのため30分程度時間を置いてから計測するようにしましょう。
4.平熱を知る
体温計で計測される温度は、計る体の場所によって異なります。
個人差はありますが、一般的に高い温度で計測される順から
↓
耳(鼓膜)
↓
口
↓
わきの下
となります。
つまり、家庭で日常的に計測される「脇の下」と「耳」とでは体温が異なりますので、計測する場所での「平熱」を知り、発熱時の「温度差」で、いつもより体温が「高め」なのか「低め」なのかを判断できるようにしておきましょう。
平熱は、毎日4回程度決まった時間に体温を計測することで知ることができます。
体温の測定方法
1.脇の下(腋窩検温)
家庭で電子体温計を使う場合には、脇の下で計測するのが最も一般的です。
メリット
デメリット
測定方法
2.脇の汗をタオルでふき取ります。
3.脇のくぼみの一番奥に体温計の先端が当たるように差し込みます。
(差し込む角度:赤ちゃんの体のラインから30~45度上に傾斜した角度)
4.腕を抑えて体温計を脇にしっかりと密着させて待ちます。
もし、上手くいかなかった場合は、一度、体温計を冷やしてから、再度計測しなおしましょう。
2.耳(鼓膜検温)
耳式体温計を使う場合には耳で体温を計測します。
数秒で体温が計測できるため、子持ちのママ・パパの間で人気が急上昇しています。
鼓膜検温のメリット
特に、赤ちゃんの場合、耳の入り口から鼓膜までの距離が近いため測定しやすいという利点があります。
鼓膜検温のデメリット
測定方法
2.耳たぶを引っ張りながら、ブローブで耳の穴をピタッと塞ぐように入れます。
耳式体温計は、ブローブの挿入角度によって誤差が生じやすいため、いつも同じ姿勢にしたほうが安定して正確に計測できます。
3.口(口腔検温)
乳幼児の口に体温計を入れて測定することは避けましょう。
乳児が測定中に突然首を動かすなどで、口の中を怪我する場合があります。
なお、口腔検温は腋窩検温よりも短い時間で核心体温に近い体温を計測できるメリットがあるため、女性が基礎体温を計測する際に広く用いられています。
4.肛門(直腸検温)
家庭で直腸検温をすることはないと思いますが、病院では乳児に対する体温測定方法としてよく用いられていました。
核心体温に近い温度が測れる上に、環境温度の影響を受けにくく正確な体温測定ができるというメリットがあります。
近年は、赤外線センサーを使った耳式体温計の利便性がよいため、鼓膜検温で乳児の体温を測定する医療機関が多くなっているようです。
もし体温が高かったら
新生児が38℃以上に発熱した場合、重大な病気が潜在している可能性があります。
直ちに医療機関を受診しましょう。
また、37.5度以上の体温が計測された場合には、まず赤ちゃんの様子をしっかりと観察しましょう。
赤ちゃんに発熱以外の異変がないか確認する必要があります。
もし、以下のような状態が一つでも見られるようであれば、早めに医療機関を受診しましょう。
発熱に関してはこちらの記事も参考にしてください。
https://cawaiku.com/child/sick/newborn-fever
<参考出典>
シチズン電子体温計お客様サポート
オムロン体温計取扱説明書
テルモ体温計取扱説明書
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」