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2005年に発行されて以降、育児本のベストセラーとして今もなお読まれ続けている「子育てハッピーアドバイス」を、実際に2人の子供を持つ親の目線で紹介します。
子育てハッピーアドバイスがママやパパに支持される理由
1.問題を抱える子供たちを見てきた著者だけにリアリティがある
著者である明橋大二さんは、精神科医として児童相談所や学校現場で様々な問題を抱える子供達やその親のカウンセリングをされている方です。
「子育てハッピーアドバイス」は、0歳から高校生まで年齢を問わず、子育てに悩んでいるママ・パパ向けに書けた育児書で、その根底には次のような基本哲学が貫かれています。
不登校、引きこもり、キレる子供、少年非行、少年犯罪など、現代のいろいろな子供の問題が、しつけ不足で起きているケースはむしろ少ない。逆に、しつけすぎ(体罰、厳しすぎるしつけ)から起きるケースが多いのです。
~『子育てハッピーアドバイス』子供のしつけ方より~
「自分は生きていていいのか」という不安が子供にあると、困った行動や症状があらわれるようになるので、親に「大切にされている」「必要とされている」と感じて自己評価が高まることが重要であるとしています。
そのため親ができることは、厳しくしつけることではなく、抱っこをする、話を聞いてあげる、頑張りを認めてあげるなど、子供の心を満たしてあげることだと説いています。
2.母親の気持ちに寄り添っている
「子育てハッピーアドバイス」は安心して友達にすすめることができる育児本です。
その最大の理由は、子供と母親の人権を何よりも大切にすべきという信念を感じることができるからです。
例えば、子供をどうしても愛することのできないと母親に向けた、次のような一文があります。
子どもに愛情を注げないなんて、親失格ではないか、などど自分を責める必要はありません。適切なサポートを得て親御さんが安定すれば、必ず子どもへの気持ちも育ってきます。
~『子育てハッピーアドバイス』赤ちゃんならば、スキンシップより~
母親が安心して子育てをするためには、保育所をはじめとした行政サービスや専門家による相談体制などの社会的な資源が不可欠であり、悩んでいる母親を決して孤立させてはいけないという強い想いが垣間見えます。
3.子供の気持ちがわかりやすい
実際に子育てをしてみると、親であっても子供の気持ちはわからないことばかりだと痛感させられます。
例えば、3歳の娘はご飯で食欲が落ちてくると、食べ物をいじって遊びだすため、何度も怒られています。
同じことをすれば怒られるとわかっているはずなのに、どうして繰り返すのか全く理解できなかったのですが、『子育てハッピーアドバイス』を読むと、これは親に甘えたい心の表れなのだと気づくことができました。
出されたご飯は好きではなかったかもしれないし、保育園で1日過ごして疲れているし、それでも子供なりに頑張って食べたのに、一方的に怒ってしまったことで反抗的な態度を繰り返しているのではないかと思えるようになりました。
少しでも食べたことを認めてあげて、食べるのを手伝ってあげることで、落ち着いてご飯を食べることができるようになってきました。
子育てハッピーアドバイスの役立つ子育て術
子育てハッピーアドバイスには、子供自身の自己評価が高くなる「なるほど!」と思える接し方がたくさん書かれています。
その中でも特に「なるほど!」と感じた3つを紹介します。
1.子供は言うことをきかないもの
子育てをしていると、ついイライラして子供にキレてしまうことが多々あります。
考えてみると、キレてしまう原因は、親が子供に対して持っている期待や望みが裏切られてしまうからにほかありません。
しかし、「子育てハッピーアドバイス」では、そもそも子供は親の言うことを聞かないのが現実であり、むしろそれは自立の表れであるとしています。
確かに「子供ってこんなもんだよね」と思えば、キレることなく多少は冷静に対応できます。
とは言え、「こんなもの」が何度も重なってキレてしまうこともありますが・・・。
2.十歳までは甘えさせる
何だかんだ言っても自分の子供は本当に可愛いものです。
そのため「ちょっと甘やかしすぎだったかな」と反省することも多々あります。
例えば、3歳の娘が着替えを面倒くさがって「着せてよー」と駄々をこねて甘えてくることがあります。
「自分でやりなさい」と言っても、娘はしつこく食い下がるタイプで親が根負けしてやってあげてしまうのです。
しかし、「子育てハッピーアドバイス」では甘えとは愛情を求めることであり、甘えが満たされると子供は親に愛されていると感じることができるとしています。
言われてみると、結局やってあげたほうが娘の気持ちは落ち着きますし、反対に親が手を貸して嫌がられることも同じくらい多いので、甘えさせたからといって必ずしも子供の自立を阻害することには繋がらないことがわかります。
ちなみに「甘えさせる」のはよいことでも、「甘やかす」のはしてはいけないこととして、両者の違いをわかりやすく本書の中で説明してくれています。
3.妻をねぎらう
子育ては、子供も大切だけど、何といってもその子供を支える母親が大切です。
今では、母親と父親が一緒に子育てをすることが当たり前という考えが広まりましたが、現実には、まだまだ母親に子育てを頼り切っているのが実情です。
「子育てハッピーアドバイス」では、そんな父親ができる子育ての具体例を「初級」「中級」「上級」の3つのレベルに分けて説明しています。
初級が妻の話を聞きてその苦労をねぎらうことで、上級が家事・育児の分担をすることとしています。
これは仕事で忙しい父親が使える時間から逆算して、このようなアドバイスになっていると思われますが、実際に子育てをすると、むしろ家事育児の分担が初級で、妻をねぎらうことが上級であると痛感します。
家事・育児の分担はやり方さえ覚えれば、あとは時間を使ってこなせばよいだけです。
しかし、母親の育児の苦労に寄り添うことは、一番近くにいる夫であれば簡単にできるように思えて、実は非常に難しいのです。
男である夫は、妻の話が終わるまでじっと聞くことがとても苦手で、ついつい上から目線でアドバイスをしてしまうものなのです。
それが妻の気分を害していることも気づかずに・・・。
この他にも深くて役に立つ子育て情報がたくさん書かれていますので、興味があればぜひ夫婦で読んでみてください。
子育てハッピーアドバイス