子供が他人の気持ちを理解して行動できるようになるのはいつから?

子育て中のママ・パパに知ってほしい幼児の心理についてご紹介します。

今回は他人の気持ちを理解できるようになる年齢について解説します。

子供はいつから他人の気持ちが理解できる?


子育てをしていると、子供を叱る場面はとても多いと思います。

特にお友達のおもちゃを奪ってしまうなど、他人に迷惑をかけるような行為については、厳しく注意していることでしょう。

しかし、何度注意しても子供はすぐに忘れてしまい同じことを繰り返します。

そんな子供の様子を見て「何度も注意しているのに何故わからないのだろうか?」「うちの子は大丈夫だろうか?」と怒りを通り越して我が子のことが心配になるママやパパもいるのではないでしょうか?

1.人の気持ちは4歳頃から少しずつ分かるようになる

結論から言うと、子供が他人の気持ちを推測できるようになるのは4歳を過ぎてからです。

より正確に言えば、「他人は自分と異なる考えを持つことがある」ことに気付き始めるのが4歳以降と考えられています。

小学校に入学する前の4~6歳頃の幼児では、「きっと〇〇(パパ、ママ、お友達など)は、こう思っているだろう」などと他人の気持ちを正確に理解する能力は十分に備わっていません。

他人の気持ちを理解するためには、親に叱られたり、友達とけんかをするなどの様々な経験の蓄積に加えて、脳そのものの年齢による成熟が必要となります。

2.「心の理論」を知っておこう。

他人の気持ちを理解するための認知の枠組みのことを、発達心理学では「心の理論」と呼んでいます。

幼児に「心の理論」が備わっているかどうかを確かめる「誤信念課題」という有名な実験があります。

それは次のような「質問」を幼児に投げかける実験です。

~質問~
A君とB君はお部屋のおもちゃで遊んでいました。

A君はお気に入りのボールで遊んでいたのですが、トイレに行きたくなったので『赤いバスケット』にそのボールを入れて部屋から出ていきました。

するとB君が『赤いバスケット』からそのボールを取り出して『青いバスケット』に入れてしまいました。

さて、何も知らずにトイレから戻ってきたA君は、どこを探すと思いますか?

実際にこの質問をお子さんしてみましょう。

「心の理論」が備わっていない3歳頃の子供にこの質問をすると「A君は『青いバスケット』を探す」と答えるでしょう。

3歳頃の子供は「私はB君がボールを青いバスケットに隠したことを知っているから、A君も同じように知っているはずだ」という思考をしてしまうからです。

「私はB君がボールを青いバスケットに隠したことを知っているけど、A君はトイレに行っててそれを知らないから『赤いバスケット』を探すだろう」と正確に考えられるようになるのは4歳以降です。

また、発達には個人差があるため4~5歳では答えられず6歳頃になって答えられるようになる子供もいます。

3.幼児期は「いうこときかない」のが当たり前

「誤信念課題」の実験からも分かるように、そもそも3歳頃の子供であれば他人の気持ちを理解すること自体が非常に難しいので、パパやママに何度叱られても同じことを繰り返してしまうのは当然のことです。

「これをやったら、〇〇(ママ・パパ・お友達など)は嫌がるよな」というように他人の気持ちを想像することができないのですから。

子供がいたずらをしたり、マナー違反の行為をすると、親はついつい語気を強めてしまいがちですが、そんな時は「幼児はまだ心の理論が十分に備わっていない」ということをぜひ思い出してください。

我が子の行為を少し冷静に受け止めることができるようになるでしょう。

もちろん「『心の理論』がないから叱ってもムダ」という意味ではありません。

なぜダメなのか理由を分かりやすい言葉で何度も伝えることは大切です。

親に叱られたという心の蓄積と身体的な脳の発達の両方があることで、社会において必要な考え方や行動が身に着くのです。

4.「自発性」を十分に発揮させてあげよう

「心の理論」が育ち始める4~6歳頃の幼児にとって、とても重要な意味を持つのが「自発性」です。

「自発性」は生涯発達心理の研究者であるエリクソンという人物が提唱した発達課題のひとつです。

子供は4歳頃までにトイレ、手洗い、着替えなど身の回りのことは一人でできるようになります。

つまり、親の手を借りずに様々なことに挑戦できる状態へと体が成長したのです。

「心の理論」を獲得していくこれからの時期は、何かの目的を達成するために他人と力を合わせて物事に取り組むことが大切になってきます。

例えば、「友達と一緒にブロックを使って一つの大きなお城を作る」など、一人ではなく他人と協力して遊びを楽しむ中で社会性を身に着けていく時期になります。

他人と何かをするときには否応なく互いの主張がぶつかります。

こうしたときに親が「それはダメ」と言って叱ったり、介入しようとするのではなく、そうした子供同士のぶつかり合いを通じて「自分と友達は違う考えを持っている」ということに気づいていきます。

むしろ親が子供の自発的な行動を無視して介入しすぎると、「その子はどう思っているか?」ではなく「ママ(パパ)はどう思っているか?」と親の顔色ばかりを窺って行動してしまうことになりかねません。

何でもしてあげる3歳頃までの接し方の延長で、親はついつい口を出してしまいがちですが、少し距離をおいて見守るくらいで丁度よいのです。

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