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1歳半頃から、親や兄弟(姉妹)、友達を「叩く」という行動がよく見られるようになります。
なぜ叩いてしまうのかその原因を解説すると共に、叩いてしまう子供への叱り方(しつけ)についても紹介します。
子供が人を叩く原因とは?
1.気持ちを伝えることができないから
1歳半から3歳頃の子供が人を叩いてしまう原因はいたってシンプルです。
それは「自分の気持ちをわかってくれない」と感じているからです。
例えば、お外から帰ってきらお手洗いをする必要がありますが、子供は手洗いよりもおもちゃで遊びたいものです。
なので「外から帰ったら手を洗うんでしょう?」と親が注意しても、全くやろうとせず遊び始めてしまいます。
親もイライラして「早くしなさい!」と怒るのですが、まだ遊びを続けます。
仕方なく子供の手を引っ張って洗面所に向かいますが、子供は反抗して親を叩いてしまいます。
これは「手洗いしたくない、遊びたいの!」という気持ちが叩くという行動に繋がっているのです。
兄弟や友達を叩くのも、多くの場合、おもちゃを貸してくれなかったり、貸してあげたくなくて、「僕が使いたいの!」という気持ちの表れとして叩くという行動につながります。
つまり、自分の「こうしたい」という欲求が邪魔されたと感じているのです。
2.「わがまま」ではなく「自立」の一歩
1歳半頃から3歳頃にみられるこのような行動は、親から見ると子供の「わがまま」に見えるでしょう。
俗に「イヤイヤ期」ともいわれ、「しつけ」される前の未熟な状態であると親は考えてしまうかもしれません。
確かにこの頃の子供の自己中心的な行動は「わがまま」に見えるかもしれませんが、実際には、親ではなく自分の意志(自我)や考えに従って行動するようになったと言う成長の証ともいえる行動なのです。
人間をはじめとした動物は、親のほうが先に死んでしまうのですから、ずっと親にお世話になったまま生きていくことはできません。
自分で考えて行動できる力を獲得して、親から「自立」する必要があるのです。
その意味で「こうしたい、ああしたい」という子供の意欲は自立への第一歩と言えるのです。
3.言葉が出るようになれば叩くことが少なくなる
思い通りにならずに「叩いてしまう」という行動は一時的に見られる状態です。
特に1歳半から3歳頃は言葉が未熟であるため、自分の気持ちを相手に伝えることができず、「叩く」という行為を頻繁に用いてしまっているのです。
もし、おもちゃを貸してくれない友達にたいして「なんで、貸してくれないの?もうたくさん遊んだでしょ!このおもちゃは皆のものなんだからね!」と言うことができて、要求を通すことができれば、叩く必要はなくなるのです。
もちろん、こういったからと言って相手が自分の要求を受け入れてくれるとは限りませんが、むしゃくしゃした思いを言葉で表現できれば、それだけで気持ちが整理されて叩くという行動を抑制することができるようになります。
個人差はありますが、4歳頃になると相手を叩く代わりに「ママなんてきらい」「先生に言いつけてやる」という捨て台詞をいって、しぶしぶ相手の要求を受け入れるという行動に変わってきます。
態度や言い方はまだまだ子供ですが、覚えた言葉を使ってイライラした自分の気持ちと折り合いを付けているのです。
叩く子供への叱り方(しつけ)
では、叩く子供に対してはどのような「躾(しつけ)」をしていけば良いのでしょうか?
1.子供を叩くのは逆効果
まず、絶対にやってはいけないことは、子供を叩くことです。
確かに一生懸命に面倒をみている親の言うことを聞かないばかりか、叩いて反抗する子供に強い憤りを感じる気持ちはよくわかります。
我を忘れてとっさに手が出てしまったという経験は、多くのママ・パパがしてることでしょう。
しかし、子供を叩くことは2つの意味で絶対にしてはいけません。
まず1つ目は、「叩いてはいけない」ということを教えるべきなのに、親が叩いてしまっては、「気に入らないことがあれば、叩いていいんだ」と子供が思ってしまう可能性があり逆効果だからです。
2つ目は、叩いて一時的に言うことも聞かせたとしても、子供は未熟であるためまたすぐに言うことを聞かない状況に直面します。
すると、また叩いて躾をしようとして、だんだん叩くことが常態化してしまうのです。
親にとっては躾のため仕方なく体罰を与えているのかもしれませんが、常態化した体罰は虐待であり、子供の心に一生消えない傷が残る可能性もあるのです。
思わず手が出てしまうことは子供に一番深く関わっているがゆえに起きることでもあります。
だから、もし子供に手を上げてしまったら、子供に「ごめんね。もう2度と叩かないよ」と謝罪して、もう絶対に叩かないと自分の心に誓ってください。
2.言葉で諭す
では、子供が親を叩いたらどうしたらいいのでしょうか?
叩かれてイラっとするとは思いますが、まずは、「こんなに自我が強くなってきた。成長したんだな。」と冷静になりましょう。
そして、子供の目を見て「叩いてはいけないよ」としっかり伝えます。
もちろん1度伝えたくらいでは叩くのはやめません。
何度も何度も言い続けるしかありません。
なぜなら、叩かないようにするためには、自分の気持ちを言葉で表現できるようになるまでに成長する必要があるからです。
なお、親からみると十分にお話ができるようになっている子供でも、癇癪を起して叩いてしまうことはあります。
だいたい2歳後半から4歳になる前の時期です。
この時期は、基本的な日常会話ができるレベルに達していますが、まだ自分の気持ちを上手に表現することは難しい段階です。
自分の気持ちを客観的に見ることができて初めて言葉にすることができます。それは高度な能力なので、まだ先になります。
3.子供の気持ちを代弁する
「叩くことはいけない」ということを教えるとともに、言葉で気持ちを伝えられるように、親は子供の気持ちを代弁してあげましょう。
「もっと遊びたかったのね」「お手洗いヤダね」「貸してほしかったのね」と言った具合です。
もちろん、このように気持ちは代弁できたとしても、「お手洗いしたくない」などの子供の欲求に答えるわけにはいかないので、気持ちを代弁しつつも「手洗いしたら遊ぼうね」と諭します。
つまり「諭す」ことで社会(家庭)のルールを教えて、「代弁」することとで気持ちを表現するための言葉を教えるのです。
いくつか事例を紹介します。
「叩いてはいけないよ。まだ遊びたいんだよね。『まだ使ってる』とか『あとで』って言ってごらん。」
・おもちゃを貸してほしくて叩いた
「あれで遊びたかったの?叩いてはいけないよ。『かして』って言ってごらん」
・野菜を食べさせようとしたら叩いた
「叩いていいの?ダメでしょ。食べたくない時は『いらない』っていうだよ。でも、野菜は大事だから食べないといけないよ」
4.抱きしめたり、泣き真似をする
諭したり、代弁できるに越したことはありませんが、毎日のことなので冷静に対応できないことも多々あります。
強い口調で叱りつけてしまうこともあるでしょう。
そんな時は、叩いてきた子供をぎゅっと抱きしめたり、「いたいよー、えーん、えーん」と泣き真似をすることで子供も親も気持ちを落ち着けましょう。
子供は少しずつ成長していますから、必ず叩かずに言葉で思いを伝えられる日がやってきます。
「言うことを聞かせよう」と思うのではなく、「言うべきことは言って、あとは待とう」という心持ちが大切です。