目次
子育て中のママ・パパ向けに子供の食事に関する基本知識をご紹介します。
今回は幼児の偏食について原因や対処法について解説していきます。
2歳から5歳頃の偏食は当たり前
1.偏食はすぐには直らない
偏食で困っているパパ・ママはとてもたくさんいます。
厚生労働省が公表している「幼児栄養調査結果(平成27年度)」によれば、2歳から5歳までの偏食の割合は次のようになっています。
2歳 | 32.1% |
---|---|
3歳 | 30.6% |
4歳 | 32.9% |
5歳 | 28.5% |
幼児期の子供を持つ保護者で「偏食」に悩む割合は約3割となっており、年齢が上がってもさほど変化がありません。
例えば「遊び食べ」であれば、同調査で「41.8%(2歳)→27.4%(3歳)→23.2%(4歳)→14.4%(5歳)」と年齢とともに着実に低くなるのと比べると、偏食はとても直しにくい食習慣であることがお分かりいただけるでしょう。
なお、「3割」という数字は、あくまで「困っている」割合ですので、困るほどのレベルではなかったり、子供の偏食を困った習慣であると考えない人もいるはずですので、実際に偏食のある子どもの割合は5割前後になるのではないかと思われます。
2.原因は身心の未成熟
子供が偏食をしてしまう原因は大きく2つ考えられます。
まず、咀嚼する力が弱く、喉が狭くて飲み込む力も弱いため硬いものや大きいものは苦手であることが多いです。
第二次性徴が始まる小学校高学年になると顎の筋力が十分に発達し、永久歯も生えそろって大人と遜色のないくらいまで食べる力が備わってきます。
また、「苦味」「酸味」などの味は防御反応として本来的に好まれない上に、幼児期は自己中心的で自制心が未発達であるため、どうしても好きな物ばかり食べてしまうものです。
「苦手なものであっても我慢して食べる」という自制心は7歳から12歳頃にかけて徐々に高まってきます。
要するに2歳から5歳頃の幼児は体も心も未発達の段階であるため、むしろ偏食は当たり前であると言えるのです。
3.「偏食=発達障害」ではない
ところで、「野菜を全く食べない」「耐水化物しか食べない」などのひどい偏食があるために「発達障害」を疑う保護者もいるようです。
しかし、偏食と発達障害に直接的な因果関係はありません。
「発達障害」はDMS-5の分類で「自閉スペクトラム障害」「注意欠陥・多動性障害」「学習障害」の3つがあります。
まず、「注意欠陥・多動性障害」「学習障害」の特徴はそもそも偏食とは全く異なります。
また「自閉スペクトラム障害」についても「異常なこだわり」が見られるという特徴で偏食との関連が気になるかもしれませんが、「自閉スペクトラム障害」は日常的なコミュニケーションにおける障害も見られるため、食事だけでなく生活全般から判断する必要があります。
子供の生活全般を見て何か不安を感じるようであれば、かかりつけの小児科などで相談するとよいでしょう。
幼児期の偏食対策
子供の偏食に対して親はどのように対応すべきなのでしょうか?
子供が嫌いな食べ物と言えば、何と言っても野菜です。
野菜を食べてもらう具体的な方法についていくつかご紹介します。
1.気が付かないようにする
一番簡単な方法は、嫌いな食材が入っていると気がつかれないように料理をすることです。
例えばハンバーグやオムライスなど子供が好きな料理に細かく刻んだピーマンやニンジンなどを入れたりする方法です。
素材の見た目も味も分からないので「苦手を克服する」ということにはなりませんが、栄養バランスが気になるママ・パパにとっては一番おすすめの方法です。
2.好きな調味料を使う
そうではなく、苦手なものに真正面からチャレンジして欲しいということであれば、味付けを工夫する方法があります。
子供は何よりも食べなれた味を好みます。
「ケチャップ味」や「甘しょうゆ味」など、食べなれた子どもの好きな味で食べてもらいましょう。
例えば生のトマトに「ケチャップ」をかけるという大人には理解できない組み合わせであっても、子供は好きなケチャップが付いているだけで「食べてみようかな」という気持ちになることがあります。
「なに味がいい?」と子供に聞いて、要望に沿うのひとつの方法です。
3.苦手なものはごく少量でもいい
先ほど説明したように、そもそも偏食は一時的なもので、成長すれば次第に直っていきます。
そのため「偏食をなおすため」という理由で無理に食べさせる必要はありません。
例えば、ピーマンが苦手であれば、ほんのひとかけらでも食べられれば良しとしましょう。
そして、口に入れて飲み込むことができたら、いっぱい褒めてあげて下さい。
食べた量がどんなに少なくても、子供が頑張ったことについては積極的に認めてあげる姿勢を大切にしましょう。すると次も頑張ってみようという気持ちになっていきます。
いずれにしても幼児期の偏食はなかなか直りませんので、無理強いはせずに、食事を楽しむことを一番大切にしてください。