目次
幼児の食事に関する基礎知識をご紹介します。
今回は「食事に時間がかかる」という問題について原因や対処法を詳しく解説していきます。
子供の食事に時間がかかる原因とは?
1.食べるのに時間がかかることは統計的に明らか
まず大前提として、3歳から5歳頃の子供は食事をするのに時間がかかるのが当たり前だということを知っておいてください。
厚労省が公表している「乳幼児栄養調査結果(平成27年度)」で「子どもの食事について困っていること」を見てみると、2歳から5歳にかけて「食べるのに時間がかかる」と答えた保護者の割合がとても多いことが分かります。
2歳 | 23.3% |
---|---|
3歳 | 32.4% |
4歳 | 37.3% |
5歳 | 34.6% |
要するに3歳から5歳では3人に1人の割合で食事に時間がかかってしまっているのです。
なお、2歳児は「食事の時間」に悩む割合は比較的少ないのですが、一方で「遊び食べ」に悩む割合が40%を超えています。
「遊び食べ」をしていれば当然、食事に時間がかかっているはずなのですが、2歳の場合「遊び食べ」が目に余り過ぎて、悩みとしては認識されにくい傾向があるのかもしれません。
2.時間がかかる3大要素
では幼児期の子供が食事に時間がかかる原因について推測していきたいと思います。
ご紹介した「乳幼児栄養調査結果(平成27年度)」では「食べるのに時間がかかる」という悩み以外にも3つの大きな悩み事があります。
食べるのに時間がかかる | 32.4% |
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偏食する | 30.6% |
遊び食べをする | 27.4% |
むら食い | 27.1% |
「偏食」「遊び食べ」「むら食い」は完食までの時間に影響を及ぼす可能性のある要因です。
遊び食べをしていれば当然食事に時間がかかってしまいますし、また、苦手な食材があれば、食べたくないのでダラダラと食べがちです。
さらに「むら食い」は食べる量がまちまちと言う意味ですが、食べる量が少ない場合には食事が進まないということを意味します。
つまり、食べるのに時間がかかるのは、「嫌いなおかずがある」「他のことが気になる」「お腹が減っていない」などの複合的な要因が絡んでいると考えられるでしょう。
食事に時間がかかる悩みの対処法
それでは食事に時間がかかるという問題について、家庭ではどのように対処していけばよいのでしょうか?
1.お腹が空いている状態を作る
まず、スムーズに食事をしてもらうためには、何と言っても「お腹が空いている」状態にしておくことが必要です。
保育園や幼稚園に通っているのであれば、自宅で食事をする機会は「朝」と「夜」の2回になりますので、それぞれでお腹を空かせる基本的なポイントをご紹介します。
まず「朝食」については、起床時間と食事時間をできるだけ空けるようにすることがポイントです。
経験的にご存知かと思いますが、起きてすぐは食欲が湧かないものです。
消化酵素のアミラーゼなどは睡眠中の分泌が抑えられますので、起床直後の消化器官は食べ物を受け入れるための準備が整っていない状態であると言えるからです。
小食な子供でも起きてから飲まず食わずで1時間も過ごしていると空腹を感じて自分から「朝ごはんはまだ?」と聞いてくることでしょう。
1時間は難しいとしても、いつもより少し早めに子供を起こしてみてはいかがでしょうか?
次に「夕食」ですが、おやつの時間と量を決めることがポイントです。
糖分の入ったお菓子は血糖値を上昇させるため食欲を満たしてくれます。
そして、砂糖によって上がった血糖値はもとに戻るまで2~3時間かかります。
このことからも少なくとも夕食の3時間以上前までにはおやつタイムを終えておく必要があります。
なお、おやつは砂糖の入ったお菓子よりも、おにぎりや芋などの炭水化物のほうが血糖値の上昇と下降が緩やかになるのでおすすめです。
ただし、炭水化物は砂糖よりも消化に時間がかかるため、血糖値が元に戻るまでより多くの時間がかかります。そのため、お腹一杯になるほど食べることは控えましょう。
保育園などであれば、こうした点を考慮してメニューや量や時間を調整してくれているはずです。
それでもなかなか食が進まないのであれば、夕食前の体を動かす遊びでカロリーを消費して空腹にするのが基本です。
2.盛り付ける量を減らす
食事に時間がかかることへの対処法としては、そもそも盛り付けの量を減らすことも有効な手段のひとつです。
盛り付けた時に品数やボリュームが多いと大人からすれば美味しく見えるのですが、子供にとっては「こんなにたくさん食べられないよ」「嫌いな野菜がいっぱいある」という気持ちになっているかもしれません。
いやいや食べていると余計に時間がかかってしまうものです。
3歳前後になった子供であれば「多く感じる?少なく感じる?」と聞いてみるとよいでしょう。
「これなら食べられる」という量で盛り付けて、完食できたら「おかわり」をするというサイクルのほうが、子供も親も楽しく食事ができます。
3.食事を終えるのを気長に待つ
最初にご紹介したように「食べるのに時間がかかる」と言う悩みは3歳から5歳で最多となっていますので、解決すること自体がとても難しい問題です。
咀嚼(そしゃく)機能をはじめとして子供の体はまだまだ発達途中の段階ですから、親が色々と手を尽くしても思い通りにならないことが多々あります。
最終的には子供の成長を待つよりほかに解決手段はないとも言えるのです。
幼児期の食事で一番大切なことは「楽しく食べる」ことですので、食事が遅いからと言って無理強いせずに、子供のペースで食べ終わるのを待つことが何よりも重要です。