産まれたばかりの赤ちゃんのほとんど黄疸が顕れます。
「新生児黄疸」の種類を一覧で掲載しています。
病気ではない新生児黄疸
ほとんどの新生児黄疸は生理的なものであり病気ではありません。
まずは正常な新生児黄疸の種類をご紹介します。
1.生理的黄疸
黄疸とは、血中にあるビリルビンという黄色い色素が増えることで、皮膚や白目を黄色くする状態を呼びます。
新生児は、胎内で作られた血液が寿命が短いなどの要因で、一時的にビリルビンの比率が上昇してしまうために、黄疸になりやすいとされています。
通常は生後2~3日頃からビリルビン値が高くなって黄疸が顕れ、その後は生後4~6日でピークとなり、生後2週間以内に黄疸は消失します。
このような正常に推移する黄疸については「生理的黄疸」と呼ばれ異常はありません。
ただし、新生児の体重や日齢を考慮してビリルビン値が一定の基準を上回ってしまった場合には「高ビリルビン血症」と呼ばれるようになり、必要に応じて光線治療などを行います。
2.母乳性黄疸
生後4~6日を過ぎてもビリルビン値が下がらず、生後2週間以上も黄疸が続く場合で、なおかつ病気などの特定の原因がない場合には「母乳性黄疸」を判断されることがあります。
母乳性黄疸は赤ちゃんの体質などによる生理的な黄疸であるため、成長や発達に影響はありません。
病気が原因である新生児黄疸
黄疸(高ビリルビン血症)の原因は多種多様であるため、以下では代表的な病気の事例を紹介します。
1.溶血性黄疸
赤血球が短期間で大量に壊れ、過剰にビリルビンが生産されてしまうことで顕れる黄疸です。
主に、母子間血液型不適合妊娠により引き起こされます。
血液型不適合とは例えば次のような場合です。
など
赤ちゃん(胎児)の血は、胎盤を通じて、母親の体の中に入り込みます。
この際、1人目の妊娠で上記の不適合だった場合、母親の体の中には、異なる型の血液を排除するために抗体ができます。
次に、2人目を妊娠した場合に、母親にできた抗体が、胎盤を通じて赤ちゃんの体の中に入ってきます。
もし、赤ちゃんの血液が、母親からもらった抗体によって壊されてしまう血液型であれば、大量の赤血球が崩壊し、過剰なビリルビンが生成されてしまいます。
特にRh式血液型不適合では重症の「高ビリルビン血症」になることが多いとされています。
しかし、母子間血液型不適合妊娠によるリスクは、妊娠中の検査で判明するため、生後に重症化しないように、予防的な措置が行われます。
原因とされる主な病気
ABO式血液型不適合、Rh式血液型不適合、など
2.肝臓の病気による黄疸
ビリルビンは血管から肝臓に送られ「胆汁」の一部となって、腸に移行し、便や尿となって排泄されます。
しかし、感染症をはじめとした様々な病気が原因で、肝機能が低下すると、「胆汁」が排泄されなくなります。
その結果、ビリルビン値が高くなり黄疸が生じます。
感染症であれば抗生剤などを用いて根本的な治療をします。
また、新生児肝炎であれば、生後半年で黄疸が消失し、肝機能が改善されます。
原因とされる主な病気
新生児肝炎、B型肝炎など
3.胆道の病気による黄疸
何らかの理由により胆道が閉鎖してしまい、胆汁が排出されないため黄疸が顕れます。
放置すれば進行してしまうため外科手術を行います。
黄疸以外の症状として、尿が褐色になり、便が白色になることが知られています。
これは便の色の素となるビリルビンが胆汁の一部となって腸に移行できないため、便に色がつかなくなるのです。
また、腸に移行できたい胆汁は、腎臓を通じて尿として排泄されるため、尿が褐色になります。
原因とされる主な病気
胆道閉鎖症、胆道拡張症、など
4.頭部の損傷による黄疸
分娩の際に何らかの原因で頭部で内出血をして(脳内ではない)血が貯まり、治癒のするまでの間に多くの血液が壊れるために黄疸が起きやすくなります。
原因とされる主な病気
頭血種など
(参考出典)
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」
日本小児栄養消化肝臓学会
メルクマニュアル
ひらしま産婦人科
くらしげ小児科