目次
赤ちゃんの体温が低い時、どのような原因が考えられるのか解説します。
新生児・赤ちゃんの体温の特徴
1.平均的な体温
わきの下で体温を計測した場合、赤ちゃんの平均体温は36.5~37.0度です。
大人はもちろん3歳以上の子どもと比べても赤ちゃんの平熱はやや高いと言えます。
2.出産直後は体温が下がる
赤ちゃんは、お母さんと同じくらいの体温で生まれてきます。
しかし、産まれたばかりの赤ちゃんは、体表面積が大きくて脂肪も少ないため、環境気温(外気温)に左右されやすいため、出産直後に、身体測定、全身観察、沐浴等を行っている間に体温が一旦、下がります。
そこで、生まれた直後は体温が低い場合に保温器などで赤ちゃんの体を温めます。
そして出産からおよそ6~12時間で37.0度前後に戻ります。
なお、低体重児の場合は熱の生産量が少ないこともあり、より低体温になりやすいという特徴があります。
3.体温調節が上手にできない
赤ちゃんは体温調節が下手です。
そもそも体温は、脳の中にある「体温調節中枢」が指令をだして、温度を調節していますが、「体温調節中枢」が未発達であるため、外気温に合わせて体温を上手に調整することができず、体温が下がってしまったり、逆に上がってしまったりするのです。
体温調節の働きには、個人差があるため、一度、体温が下がった後、なかなか体温が上がらない赤ちゃんもいます。
この場合、産後入院中である場合は、病院の保温器で温めてくれます。
また、退院後に、体温が低下した場合は、暖房器具を使って部屋や布団を暖めたり、厚手の布服を着せるなどすると体温が上がります。
しかし、調整が上手ではないため、暖かくした場合には、反対に体温の上がりすぎにも注意しましょう。
赤ちゃんの体温が低くなる主な原因
赤ちゃんは、体重が少ないのにもかかわらず、体表面(皮膚)面積が大きいため、周囲の環境によって、「急速」に体温が下がってしまいます。
つまり、赤ちゃんが過ごしている環境によって体温を下がってしまうのです。
では、どんな環境だと体温が下がりやすいのか代表的な事例を紹介します。
1.温度と湿度が低い
冬場は室温が低くなりがちです。
赤ちゃんの体温が低い場合は、室温は25℃~27℃程度と少し高めにします。。
また、湿度が低いと寒く感じられます。
湿度は50%を保ちましょう。
2.エアコンの風が直接当たる
特に夏場、エアコンの風が直接当たると、赤ちゃんの熱を奪ってしまいます。
エアコンの風が直接当たらないように、吹き出し口の角度や、ベッドの位置を調整しましょう。
3.窓など冷たいものの側で寝ている
同じ部屋の中でも、場所によって温度が異なります。
冬場に暖房器具を使っていても、窓の近くは外気の影響を受けて温度が低くなります。
部屋の暖かい場所に移動してあげましょう。
4.汗などの水分が皮膚に触れている
水分が蒸発するときの気化熱によって、体温が奪われます。
そのため次のような場合には体温が下がってしまいます。
赤ちゃんは汗っかきですので、こまめに服を着替えさせましょう。
また沐浴後は、素早く丁寧にタオルで水を拭きとりましょう。
新生児の体温調節の方法については、こちらの記事もご覧ください。
赤ちゃんの体温が低くなるその他の原因
1.体温を正しく測れていない
体温は、計測する場所によって温度が異なります。
通常、新生児・乳児の場合、「わきの下(腋下)」か「耳(鼓膜)」で計測します。
かつての医療機関では「肛門(直腸)」で計測することが多かったのですが、耳式体温計が発達してからは「耳」で計測する病院が増えています。
医療機関が「耳」で計測する理由のひとつとして、新生児・乳児の「わきの下」は、幼児と比べて脂肪が少なく、外気温の影響を受けやすいことが挙げられます。
つまり、本来知りたい体の内部の体温(核心体温)と比べて、低い体温が計測されてしまうからです。
したがって、もし「わきの下」で体温を計測しているのであれば、正しい方法で行うようにしましょう。
体温の測り方についてはこちらの記事をご覧ください。
2.病気による低体温
もし、体を温めても赤ちゃんの体温が平熱に戻らなかったり、体温が35.5度未満であれば、早めに医療機関を受診しましょう。
体温調節が上手にできない赤ちゃんは、感染症などの病気によって、発熱のみならず、低体温になることがあります。
稀ではありますが、敗血症や脳内出血など重大な病気により体温調節障害を引き起こしている可能性もあります。
(参考出典)
メルクマニュアル医学百科
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」