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赤ちゃん、特に新生児の体温調節について解説します。
赤ちゃんの体温は上がったり、下がったり忙しいものです。
体温が高いと「暑いのかな?」と心配になり、低いと「寒いのかな?」と心配になることがありますので基本的な知識を知っておきましょう。
体温調節が上手にできない6つの理由
なぜ、赤ちゃんは体温の上下動が激しいのでしょうか?
まずは、その理由を知るところからはじめましょう。
1.体温調節中枢が未熟である
そもそも体温は、脳の中にある「体温調節中枢」によって一定に保たれています。
しかし、赤ちゃんの脳はまだまだ未熟です。
そのため、「体温調節中枢」による「体温を一定に保つための指令」を上手に体に伝えることができないのです。
2.基礎代謝が大きい
基礎代謝とは、安静のときに使われるエネルギー量(熱量,カロリー)のことです。
新生児は、体が小さいにも関わらず、生命維持のために必要とする1日のエネルギー量が多いのです。
体重1kgに対して消費される代謝量は、20歳の
そのため、体温を上げるための熱量は十分ではなく体温が安定しないのです。
3.皮膚面積が大きい
赤ちゃんは、体内の水分の割合が多く、身長が低い割に皮膚の面積が広いため、体の表面から水分と共に熱が逃げやすいとされます。
4.皮下脂肪が少ない
赤ちゃんは、皮下脂肪も筋肉も少ないため、やはり体の熱が逃げやすいとされています。
5.発汗が上手にできない
人間は、暑い時に発汗量を増やし、寒い時に発汗量を減らすことで、体温を一定に保ちます。
赤ちゃんは汗の量を上手に調整することができません。
6.皮膚血管の反応が鈍い
人間の血管は、体温の上下に合わせて次のような反応をします。
体温が下がる ⇒ 血管を狭めて、血流量を下げ、体温を上げようとする
赤ちゃんは、このような体温に対する血管の反応が鈍いため体温が上手に調整ができません。
赤ちゃんの体温を調節する方法
体温調節が苦手な赤ちゃんに代わって、親が体温調節の手助けする必要があります。
その基本的な方法について紹介します。
1.まずは体温を正しく測ろう
赤ちゃんは、ちょっとした環境の変化で、すぐに体温が上下します。
そのため正しく体温を測って、本来の「平熱」を知る必要があります。
体温を正しく測定するポイントは、以下の3点です。
正しい体温の計測方法については、こちらの記事もご覧ください。
2.赤ちゃんの平均体温
赤ちゃんの平熱時の平均体温は36.5~37.0度です。
しかし、環境や生活状況によっても刻々と上下します。
平均体温よりも多少高かったり、低かったりしても、「食欲がない」、「元気がない」などその他の異変がなければ、特に心配する必要はありません。
体温調節をして、赤ちゃんが快適に過ごせるようにしてあげましょう。
3.室内の気温・湿度を調節する
年間を通して、室温は20度以上(できれば25度前後)、湿度は50%以上にしましょう。
この気温と湿度は感染症の予防にも効果的です。
4.新生児の服は大人よりも1枚多くする
生後2か月目までは、動きが少ない上に、体重も少ないため、周りの気温に影響されて体温が下がってしまいます。
そのため、この時期は、大人が快適と感じる服装よりも1枚多く着せることが基本です。
一方で、あまり厚着をさせると、服の中に熱が蓄積して、体温が上昇してしまうので注意しましょう。
なお、生後3か月目以降は、大人と同じか1枚薄着にします。
5.体温が低い時は、帽子や靴下を着せる
体の熱は、手足や頭からも逃げていきます。
もし、体温が36度前後と低くて心配であれば、毛糸の帽子や靴下を着せましょう。
この他、湯たんぽを使うなども有効です。
6.体温調節には時間がかかることも
体温は、脳の中にある「体温調整中枢」から指令を出して調節されます。
しかし、赤ちゃんの「体温調整中枢」は未発達であるため、上手に指令を伝えることができません。
そのため、服装や室温を調節しても、体温が思うように上がったり、下がったりしないことはよくあります。
月齢が進んでいけば、次第に体温調節ができるようになります。
病院に行った方がいい体温
生後3カ月未満の赤ちゃんの発熱や低体温には重大な病気が潜んでいる可能性があります。
体温が35.5度未満または37.5度以上の場合には早めに医療機関を受診しましょう。
(参考書籍)
母子衛生研究会「母子健康手帳 副読本」
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」
メルクマニュアル医学百科