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子供や家族が嘔吐をした場合に、どのようにして嘔吐物を処理すればいいのか詳しく解説します。
嘔吐の原因が感染性胃腸炎だった場合、間違った方法で処理すると感染を広げる恐れがあります。
正しい薬液を使って消毒しましょう。
嘔吐物の処理に適した薬剤とは?
1.次亜塩素酸ならウィルスにも効果あり
新生児など生後数か月までの赤ちゃんは、胃の形状が「とっくり型」になっているため、母乳(ミルク)が逆流して吐いてしまうことがよくあります。
しかし、何度も激しく嘔吐を繰り返す場合は、「感染性胃腸炎」の可能性があります。
「感染胃腸炎」には、大腸菌など「細菌」が原因で発症するものと、ノロウィルスなど「ウイルス」が原因で発症するものがあります。
公共施設の入り口などでよく見かける「アルコールスプレー」は、細菌には効果がありますが、ウイルスには効果がありません。
「細菌」にも「ウイルス」にも効果のある薬剤は「次亜塩素酸」が使われているものです。
一般家庭で利用されている「次亜塩素酸」の入った薬剤と言えば「ハイター」です。
まな板や布きんを「漂白」したり、キッチンやお風呂などについた頑固なカビやヌメリなど落とすのに効果的ですが、実はノロウィルスなどのウィルスを死滅させる効果もあります。
また、ノロパンチやクレベリンスプレーなど、ウィルスにも菌にも効果のある専用のスプレーを使うとより簡単に消毒できます。
11月頃からノロウィルスが流行する時期には専用スプレーを1本準備しておくと、とても心強いです。
2.ハイターを使った消毒液の作り方
ハイターを消毒で使うためには、水に混ぜて希釈をする必要があります。
危険ですので希釈する時は必ずゴム手袋を着用しましょう。
濃度 | 希釈 | 用途 |
---|---|---|
1000ppm(0.1%) | ハイターを20倍に薄める | 吐瀉物・便が直接ついた物(床など) |
200ppm(0.02%) | ハイターを100倍に薄める | ドアノブへのスプレー、衣類のつけ置き |
消毒に効果のある濃度は、1000ppm(0.1%)と200ppm(0.02%)です。
1000ppm(0.1%)のハイターは、便や吐瀉物そのものを処理する場合に用います。
また、200ppm(0.02%)は、嘔吐した場所の近くのドアノブの消毒や衣服の漬け置き消毒に用います。
1000ppmの溶液を作る場合は、ハイター(またはキッチンハイター)50mlを1リットルの水で薄めます。
キッチン泡ハイターは薄めずに1000ppmの溶液としてそのまま使えます。
200ppmを作る場合は、ハイター(またはキッチンハイター)50mlを5リットルの水で薄めます。
なお、50mlはハイターのキャップ2杯分です。
希釈したものは、スプレーボトルに入れると使い勝手がよくなります。
もし、ボトルがない場合には、主にキッチンペーパーに溶液を含ませて、吐瀉物やその周辺を消毒していきます。
3.専用スプレーの利点
専用スプレーの利点は人体への安全性が高く、空間スプレーが可能であることです。
そのため空気中に浮遊しているウィルスについても効果があります。
もちろん、ハイターのようにわざわざ希釈する必要がないため緊急を要する時に慌てずに済みます。
薬剤を使った嘔吐物の処理・消毒方法
それではハイターなどの薬剤を使った嘔吐物の処理方法を説明します。
なお、嘔吐物を処分する際には、必ず「マスク」「ゴム手袋」「エプロン」の3点セットを着用しましょう。
1.床・壁など嘔吐物が直接ついた場所
1000ppmの溶液を使って処理をします。
スプレーの場合
まず、嘔吐物とその周辺をスプレーします。
キッチンペーパーでスプレーした箇所を覆って、さらにペーパーが浸る程度にさらにスプレーします。
キッチンペーパーと汚物をゴミ袋に捨てます。
綺麗になった床にさらにスプレーをします。
使ったゴム手袋をゴミ袋に入れてしっかり密閉して完了です。
溶液の場合
まず、ゴミ袋に溶液を入れておきます。
ゴミが浸る程度の量です。
次にキッチンペーパーで吐瀉物を拭きとり、ゴミ袋の中に入れます。
さらにキッチンペーパーに溶液を染み込ませ、床を覆って10分ほど置きます。
使ったキッチンペーパーと手袋もゴミ袋に入れて密閉します。
2.シーツ・衣類など嘔吐物が直接ついた布
1000ppmと200ppmの溶液を両方とも使用します。
なお、色落ちするので、買い替え時の衣服であれば、そのままゴミ袋に入れて処分をしたほうが安全で簡単です。
まず、1000ppmのスプレーまたは溶液を、衣類についた嘔吐物に浸み込ませます。
バケツかビニール袋に200ppmの溶液を入れて、その中に衣類を入れます。
30分経過したら、洗濯機で普通にあらいます。
使用したキッチンペーパーやゴム手袋はゴミ袋に入れて密閉して捨てましょう。
3.ドアノブなど間接的に触れたと思われる場所
200ppmの溶液を使用します。
スプレーの場合
感染した人や汚物を処理した人が、触れたと思われる場所に、直接スプレーを吹き付けるだけです。
溶液の場合
200ppmの溶液に浸したキッチンペーパーを使って、消毒したい場所を拭くだけです。
(参考出典)
国立感染症研究所
保育所における感染症対策ガイドライン