せなけいこさんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
せなけいこはどんな人?
1932年東京で生まれ。お茶の水女子大付属高校を卒業後、武井武雄の弟子となる。絵本作家になると決意したが、仕事がなく銀行員やコピーライターをしていた経歴も。1969年発行の「にんじん」でデビューし、1970年「いやだいやだの絵本」でサンケイ児童文学賞を受賞する。1964年に結成された日本児童出版美術家連盟の会員で、2011年に第50回日本児童文芸家協会児童文化功労賞を受賞。
せなけいこさんは、ベレー帽が印象的で長年愛されている絵本作家さんです。
貼り絵で製作された絵本が特徴で、2~3種類のはさみや手を使い分けて紙をちぎっているそうです。
「おばけ」「うさぎ」「人物」などの貼り絵は、シンプルな造形であるため、絵本を一度でも読んだことがある人なら、せなさんの描かれた絵だと分かるでしょう。
「いやだいやだの絵本」シリーズ、「おばけのえほん」シリーズなどがあり、ロングセラーを記録しています。
マグカップや洋服などの関連グッツも発売されていて、インパクトがありつつも、かわいいと思う商品ばかりです。
絵本のアイデアは、子育て経験や日常生活の中で生まれ、時にはせなさん自身もモデルとなることがあるそうです。
子ども目線に立った絵本の内容なので、多くの人に読まれています。
せなけいこのおすすめ絵本
1.【福音館書店】もじゃもじゃ
【あらすじ】犬や毛糸など、もじゃもじゃしたものが登場し、すっきりした姿に変身します。
「いやだいやだの絵本」シリーズの4作品のうちの1つです。
絵本の表紙はせなさんの娘さんがモデルとなったルルちゃん。
絵本を開くと毛糸のような茶色のキャラクターが、にっこりとした顔で「もじゃ もじゃは なあに?」問いかけてきます。
家の中にある様々なもじゃもじゃしたものが登場して、切り絵ならではの質感を感じさせるため、手でそっと触りたくなるでしょう。
そして、もじゃもじゃしたものは、ハサミでチョキチョキされてスッキリします。
すっきりとしたものたちの様子はどこか誇らしげ。もじゃもじゃ頭だったルルちゃんもかわいい姿に。
きっと女の子なら「私もチョキチョキしたい!ルルちゃんみたいになりたい!」と思うかもしれません。
真四角の小さなサイズの絵本と、短いお話なので0歳からおすすめです。
2.【絵本館】きれいなはこ
【あらすじ】きれいな箱をねこさんといぬさんが取り合い始めると、箱の中からおばけが出てきます。
「あーんあんの絵本」シリーズの4作品のうちの1つです。
小さな子ども同士に起こる喧嘩の風景が、ねこさんといぬさんに置き換えられて描かれています。
「これは自分のものだ!」と主張し、相手に手を出してしまう。言葉でうまく伝えられない子ども同士ではよくあることです。
ねこさんといぬさんがケンカをしているときれいな箱の中から「ケンカするのはだれだ?」とおばけが登場します。
おばけの呪文によって、ねこさんの爪は長く、いぬさんの口は大きくなってしまいます。
「これじゃあ みんなと あそべない」と悲しむ、ねこさんといぬさん。
お友達に痛いことをすると、お友達と遊べなくなってしまうことを教えるのに役立つ絵本です。
3.【童心社】ゆうれいのたまご
【あらすじ】変なたまごが3つ落ちています。冷たいたまごから出てきたのはゆうれいでした。
「おばけえほん」シリーズの1冊です。
コミカルな表情のキャラクター達が繰り広げる不思議な世界に、最後まで読みたくなる絵本です。
現実世界では卵から動物や昆虫が生まれてきますが、「ゆうれいのたまご」では驚くキャラクターが産まれてきます。
3つのたまごのうち2つはから産れたものは、産れるとすぐに家を飛び出してしまいますが、3つ目のたまごから産まれた「ゆうれい」だけは泣いて帰ってくるのです。
大人が読むと摩訶不思議な世界観ですが、子どもは先入観は無いのでスッと受け入れられるのです。
4.【ポプラ社】めがねうさぎ
【あらすじ】うさこはたいせつな眼鏡を失くしてしまい、夜に山まで探しに行きます。そこで、おばけに出会います。
山の中で失くした眼鏡を探しているうさこの前に、おばけが現れて脅かそうとします。しかし、眼鏡がなくて目がよく見えないうさこは驚きません。
そこで、おばけは驚いて欲しいがために眼鏡を一緒に探してあげるのです。
表紙に描かれた生き生きとしたおばけの表情は、怖がらすこともできず、眼鏡もなかなか見つからないために、どんどん困った表情へ変化します。
おばけを親切な人と思い込んでいるマイペースなうさこと、驚いてもらうためにうさこのめがねを必死に探すおばけ。
2人の気持ちのギャップが面白くて、くすっと笑ってしまうことでしょう。
この絵本は、「めがねは楽しい」という想いを込めて、小学校2年生の息子さんをモデルにして制作された作品だそうです。
めがねをかけたうさこは「めがねうさぎ」と友達から呼ばれるなど、子供時代にはよくあるシチュエーションが描かれているので、眼鏡をかけている子供だったら、きっとうさこに親近感が持てるでしょう。
5.【ポプラ社】はーくしょい
【あらすじ】ルルちゃんが風邪をひき、治すためにお医者さんの所へ行きます。
子どもがくしゃみをするとママは心配になり、上着を着せたり、マスクを着用させたりしますよね。でも嫌がるのが子どもです。
ルルちゃんも同じで上着を着ると怒ったような顔です。ルルちゃんを想うママの行動と、自我が芽生えて嫌がるルルちゃんの行動に共感できます。
絵本に登場するお医者さんは、せなさんのかかりつけ医をモデルにしたようで、とても優しそうな笑顔の人が描かれています。
「お医者さんは怖くない人。」「病院へ行けばお医者さんが風邪を治してくれる」と絵本を読むことで、子どもにも理解できるでしょう。
イヤイヤ期の子どもにおすすめの絵本です。