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チャイルドシートを着用しなくてもよい法令上の免除規定について解説します。
道路交通法では6歳未満の子供が車に乗る時、チャイルドシートを装着しなければならないとしています。
しかし、特別な事情がある場合には装着が免除されるのです。
チャイルドシートの装着が免除される7つのケース
道路交通法にはチャイルドシートの装着を免除する例外規定が書かれています。
自動車の運転者は、幼児用補助装置を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗せるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
それでは「政令で定めるやむを得ない理由」をわかりやすく紹介していきます。
なお、詳細の免除規定は国土交通省のHPをご覧ください。
国交省「道路交通法施行令の概要~チャイルドシートの使用義務が免除される場合~」
1.ケガ・病気・障害の場合
チャイルドシートを乗せることが幼児(赤ちゃん)の傷病を治療する上で適当ではないときは、装着が免除されます。
また、肢体の障害などでチャイルドシートの装着が困難な場合にも免除されます。
病気の例としては、「アトピー性皮膚炎によりチャイルドシートのベルトが当たると悪化してしまう」と言うようなケースでも免除される可能性があります。
もちろん親の自己判断ではなく医師と相談したうえ、最寄りの警察に問い合わせてみましょう。
2.チャイルドシートが設置できない車
座席にシートベルトがないなど、構造上どうやってもチャイルドシートを固定することができない場合には免除されます。
しかし、そもそも構造上の問題でチャイルドシートが設置できないような自動車に子供を乗せること自体が危険を伴います。
いくら法令上で免除されるとは言え、子供の安全を第一に考えて、チャイルドシートをしっかり装着できる車を利用するようにしましょう。
3.チャイルドシートが設置不可能な人数の幼児が乗る場合
自動車の乗車定員以内で幼児を乗せる場合、その幼児の人数分だけチャイルドシートを設置することが座席の構造上不可能な場合には、チャイルドシートが足りない幼児のみ免除されます。
車の「定員」とは大人が乗れる人数を意味します。
12歳未満の子供の場合は3人で大人2人分とみなされます。(道路運送車両の保安基準第53条)
例えば5人乗りの車で、運転者の大人1人以外に5人の子供が乗った場合も定員の範囲内となります。
しかし、この場合は子供5人分のチャイルドシートを設置することが不可能です。
助手席に1つ、後部座席に1つ乗せたら、それ以上のチャイルドシートを乗せてしまうと子供が乗れなくなってしまいます。
このような場合には、チャイルドシートに乗れない3人についてのみ装着が免除されます。
とは言うものの、チャイルドシートを装着せずに車に乗せること自体に危険が伴うため、送迎を2回に分けるなどして分散乗車をさせるようにしましょう。
4.赤ちゃんが太りすぎている時
赤ちゃんが太りすぎていて、チャイルドシートを装着できない場合には免除されます。
例えば首が座っていない赤ちゃんの場合、一般的なチャイルドシートでは後向きに設置して乗せる必要があります。
しかし、チャイルドシートには商品ごとに体重制限があり、後向きの場合は10kgや13kgで制限オーバーとなります。
首が座っておらず、上記の体重制限をオーバーする場合には、チャイルドシートが適切に使用できない可能性があるため、無理に使わなくてもよいのです。
ただし、生後3~4か月で10kgを超えるのは、極めて稀なケースです。
5.授乳やおむつ交換をする間
チャイルドシートに乗せたまま授乳やおむつ交換ができない場合には、その間だけ着用が免除されます。
この規定で、授乳やおむつ交換をしているママ・パパも非常に多いのではないでしょうか。
最も一般的に利用されるチャイルドシートの免除規定です。
ただし、チャイルドシートを着用していない時に事故が起きた場合、命に係わります。
やはり、商業施設の駐車場など安全な場所に一時停めて、授乳やおむつ替えをしたほうがよいでしょう。
6.タクシーを使う時
タクシーに乗る時、そのタクシーにチャイルドシートがない場合には着用が免除されます。
ただし、タクシー会社によっては事前に連絡をすればチャイルドシートを装着した車両を配車してくれることもあります。
病院の送迎などでタクシーを利用することが多い場合には、安全を優先してチャイルドシートを装着してくれるタクシーを呼びましょう。
7.緊急の場合
応急救護の場合でかつ緊急性のある場合に、チャイルドシートが装着されていない自動車で搬送する際に免除されます。
例えば、公共交通機関が使えない深夜に幼児が急病になって、隣人に依頼して自動車で病院に搬送してもらう場合、その車にチャイルドシートがなかったとしても、緊急性があって止むを得ない場合には着用を免除されるのです。
ただ、本当に病気で緊急を要する場合には救急車を呼ぶという手段があります。
どちらか迷う場合には「#8000(小児救急電話)」に相談してみましょう。