新生児期の赤ちゃんにおける体と動きの特徴について解説します。
新生児の体の仕組みを知ることで、いっそう赤ちゃんへの愛情と育児への理解が進むでしょう。
新生児とは
WHO(世界保健機構)では、新生児を生後28日未満(誕生してから4週間まで)の赤ちゃんであるとしています。
それ以降は、1歳になるまでの期間を「乳児」と読んでいます。
新生児の中でも、最初の1週間(生後7日未満)は「早期新生児期」と呼ばれ、母親のお腹の中とは全く異なる環境に適応していく期間とされ、胎外で起きる様々な刺激によって体の異常が現れやすく、特に注意深いケアが必要とされています。
「早期新生児期」は、基本的に産後の入院中にあたるため、院内で適切な看護が行われます。
不安なことがあれば医師・助産師に相談しましょう。
新生児の体の特徴
1.新生児の体格
37週~42週未満で生まれた新生児の体格はおおむね以下の通りです。
体重:3kg前後(2500~3500g)
頭囲:約33cm
胸囲:約32cm
体重については、生後2~4日で3~10%減少します。これは哺乳量に比べて排泄する量が多いために起きる「生理的体重減少」と呼ばれる現象です。
2.新生児の体温・呼吸・血圧
新生児の基礎的な生理は以下の通りです。
呼吸:1分間に35~50回
脈拍:1分間に120~140回
血圧:最高60~80、最低50~60
新生児は体温が高く、呼吸・脈拍は早く、血圧は低いという特徴があります。
成長に伴って体温が低くなり、呼吸・脈拍はゆっくりになり、血圧は上がっていきます。
3.新生児の各器官
目
20~30cmの距離で焦点が合い、その距離であれば、ぼんやりと輪郭を見ることができます。特に人の顔に対してはよく反応し、中でも「目」については、それ以外の部分との区別がついています。
耳
音や声の聞き分けができます。低い音より高い音に反応しやすく、特に母親の声によく反応します。お腹の中にいるときから聞いているためです。
鼻
臭いを感じることができます。母乳の臭いを嗅ぎ分けることができ、不快な臭いには嫌がることがあります。
肌の色
生理的黄疸と言って、生後2日~2週間程度まで、肌が黄色がかった色になります。
頭
頭頂部には頭がい骨の隙間があり柔らかいです。髪の毛の生え方は個人差が大きく、全体的に生えている赤ちゃんもいれば、あまり生えてない赤ちゃんもいます。
新生児の動きの特徴
新生児は、「原始反射」によって体を動かします。原始反射はより高度な運動機能の発達に伴って3~5か月頃には見られなくなります。
主な原始反射を紹介します。
口唇探索反射
母乳を飲むための反射で、手などを唇に近づけると口を開けます。
吸てつ反射
同じく母乳を飲むための反射で、口の中に指や乳首を入れると唇を動かして吸い付こうとします。
把握反射
手、足に指を近づけると握りしめます。
原始歩行反射
体を持ち上げて、立たせようとすると、歩くように足を動かします。
生理的微笑
お腹が一杯になった時、眠りに入った時に、微笑んでいるような表情をします。
共鳴動作
大人が口の開け閉めをすると同じような動きをします。
モロー反射
大きな音を聞いた時、裸にされた時、両手を離された時など、ビックリしたように両手を上げます。その後、抱っこを求めるように体を丸めます。
非対称性緊張性けい反射
赤ちゃんが仰向けになった時の基本姿勢は、正面から見て両腕で「W字」、両足で「M字」の体勢をとります。
そして、顔が横に向いた場合は、向いた側の手と足を少し伸ばします。
引き起こし反応
仰向けの姿勢から両手を持って体をゆっくり引き上げると、頭を起こそうとします。