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林明子さんが手掛けた絵本の中で、子供に読み聞かせをしたい選りすぐりの作品を紹介します。
林明子はどんな人?
1945年東京生まれ。横浜国立大学教育学部美術科卒業。1973年「かみひこうき」(かがくのとも 56号 福音館書店)がデビュー作品。「きょうはなんの日?」(福音館書店)で第二回絵本日本賞受賞。「おふろだいすき」でサンケイ児童出版文化賞美術賞を受賞。
林明子さんは、時代を超えて愛される数々の名作を生み出してきた絵本作家です。
大学卒業後、1973年に独立する前までは、イラストレーター真鍋博氏のもとで絵本作家になるための経験を積みました。
等身大の子供の姿を柔らかな色彩と繊細なタッチで表現している作品は、じっくりと絵をみながら読み聞かせをしたくなる魅力にあふれています。
読んでいる大人も自分が子供に戻ったような懐かしい印象を与えます。
林明子さんの作品の一部の作品は、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語などに訳され、世界中で愛されています。
林明子のおすすめ絵本
1.【福音館書店】おつきさまこんばんは
【あらすじ】夜になり、まんまるお月さまが屋根の上にゆっくりと姿を表します。途中で雲が寄ってきて、お月さまの表情もくもります。最後は、雲が立ち去り、お月さまもにっこり顔になります。
2匹の猫と雲を「黒」、暗い夜空を「青」、輝く月は「黄」といういう限られた色だけを使った作品で、そのコントラストのある色彩により、一度読むと暗い空に輝くまんまるいお月さまのイメージが頭から離れなくなります。
ページをめくるごとに、お月さまの表情がころころと変わるのが、子供にとっては楽しいようです。
お月さまが雲で隠れてしまい、再び、にこにこ顔で表れる最後のページで、子供も一緒ににっこり笑顔になります。
まんまるお月さまの愛嬌あるお顔は、どこか赤ちゃんのお顔にも似ており、我が子のように親近感がもてます。
この本は、林明子さんの赤ちゃん絵本シリーズ「くつくつあるけのほん」4冊の中の1冊です。
シンプルな文とお月様の優しい表情は、赤ちゃんの読み聞かせ絵本の定番です。
2.【福音館書店】はっぱのおうち
【年齢】2~3歳
【あらすじ】女の子がお庭で遊んでいると雨がぽつりぽつり。はっぱのおうちに雨宿りをしていると、次から次へと虫たちがやってきます。
女の子の主人公さちが、はっぱのおうちで雨宿りをする姿がとても愛らしく描かれています。
「かまきり」が入ってくるときのちょっと恐そうな顔、「もんしろちょう」を観察する顔、笑顔で「あり」に話しかける顔など、幼児が自然と向き合うときの表情がいきいきと描かれています。
読んでいる大人の方まで温かい幸せな気持ちになれる絵本です。
ページをめくる度に新しい虫のお客さんが増えるので、親子で虫さんを探しながら読むのも楽しいです。
女の子はもちろん、昆虫好きの男の子にもおすすめです。
3. 【偕成社】もりのかくれんぼう
【年齢】3歳から8歳
【あらすじ】主人公けいこは、お兄ちゃんと一緒に帰宅する途中で、森の中に迷いこんでしまいます。その森で、けいこは動物達と大好きなかくれんぼうをして遊びます。
幼児から小学生低学年まで手元に長い間置いておきたい絵本です。小学校に入り、自分で読めるようになったときにおすすめの一冊です。
ちょっと長いお話しなので、語彙が少ない幼児には、金色に輝く森の中に隠れている動物達を探し、絵探しの本として読むといいでしょう。
ページを食い入るように見ないと、探せないので大人も一緒に絵探しを楽しめます。
お話しの最後に、けいこが動物達とかくれんぼうをしていた森は、いまは団地となりもう存在しないことが分かります。
長いお話しを集中して聞けるようになってきたら、絵探しも楽しみつつ、けいこがかくれんぼうをしていた森と動物たちはどこへ行ってしまったのかと一緒に考えるのもいいでしょう。
秋の紅葉シーズンに親子で読みたい1冊です。
4.【福音館書店】こんとあき
【あらすじ】こんは、主人公あきのおばあちゃんが作ってくれたきつねのぬいぐるみ。古くなったこんを直してもらうために、2人は電車に乗り、おばあちゃんの家に行きます。
おばあちゃんの家に着くまでに2人は、たくさんのハプニングに巻き込まれてしまいます。
小さなぬいぐるみが持ち主のあきを守ろうとする姿に胸がきゅんとなります。
健気で忠実なぬいぐるみのこんと活き活きとした表情を見せる5歳のあきの名コンビ。
はらはらどきどきの冒険の様子が巧みに描かれた絵本です。
無事に2人がおばあちゃんの家に着いたときに、子供のみならず読んでいる大人も「よかったね」とほっと安心した気持ちになります。
読んでいる人を優しい気持ちにさせてくれる一冊です。
5.【ペンギン社】ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ
【年齢】2歳から5歳
【あらすじ】おばあちゃんの家に1人で歩いていく「ぼく」のお話し。「まえの道をまっすぐ」と言われた通りまっすぐ行ってもおばあちゃんの家になかなかたどりつけません。
林明子さんの絵本は、女の子が主人公のものが多いのですが、こちらは4歳ぐらいの男の子が主人公です。「ぼく」の語り口調でお話しは進みます。
「ぼく」が指示通りにまっすぐ歩き始めるところから冒険がスタートします。
文章が少ないので、子供と「これはまっすぐ行っていいと思う?」「ここがおばあちゃんのお家かな?」という風に会話をしながら読み聞かせをするといいと思います。
読み手の子供も、まるで「ぼく」と一緒になって冒険を楽しんだ気分にさせられる絵本です。
私の子供たちの一番のお気に入りのページは、おばあちゃんとチョコレートケーキをおいしそうに食べる場面です。たくさん歩き、冒険したあとは、お腹がすくのも納得です。
冒険好きな4歳から5歳児におすすめの1冊です。