国内で粉ミルクを販売している「明治」「森永乳業」「和光堂」「ビーンスターク」「メグミルク」「グリコ」の6社の商品の値段と栄養成分を比較紹介します。
新生児用の粉ミルク比較【値段・栄養成分】
1.値段の比較
価格は2020年2月19日にamazonで調査したものです。「大缶」の価格を用いて比較しております。
商品名 | メーカー | 値段 | 容量 | 外出用 |
---|---|---|---|---|
ほほえみ | 明治 | 2519円 | 800g | キューブ |
はぐくみ | 森永乳業 | 2489円 | 810g | スティック |
E赤ちゃん | 森永乳業 | 2985円 | 800g | スティック |
はいはい | 和光堂 | 2018円 | 810g | スティック |
すこやかM1 | 雪印ビーンスターク | 2309円 | 800g | スティック |
ぴゅあ | 雪印メグミルク | 1952円 | 820g | スティック |
アイクレオの バランスミルク | グリコ | 2880円 | 800g | スティック |
2.栄養成分の比較
粉ミルクをは国が定めた成分組成の基準範囲で製造した商品でなければ販売が許可されないため、どのメーカーの粉ミルクであっても基本的な成分に違いはありません。
カロリー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン(A,B1,B2,B6,B12,C,D,E,葉酸など)、ミネラル(ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など)、その他(α-リノレン酸、リノール酸、イノシトールなど)
さらに、全てのメーカーは許可基準には含まれていない栄養成分も配合して、より母乳に近づける努力をしています。
そこで、許可基準には含まれていない栄養成分に絞って比較していきます。
なお、「なし」とあるのは、成分表に表示されていないことを意味しています。
これらの栄養成分は表示義務がないため、含まれていても単に表示していないだけの可能性があります。
商品名 | ラクトフェリン | ラクトアドヘリン | DHA | アラキドン酸 | オリゴ糖 | ヌクレチド | シアル酸 | スフィンゴエミリン | コリン |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ほほえみ | なし | 20~50mg | 100mg | 67mg | 2.0g* | 14mg | なし | なし | なし |
はぐくみ | 80mg | なし | 70mg | 35mg | 500mg | 8mg | なし | 50mg | 80mg |
E赤ちゃん | 50mg | なし | 70mg | 35mg | 500mg | 8mg | なし | 50mg | 60mg |
はいはい | 90ml | なし | 80mg | 40mg | 2.3g | 8mg | なし | なし | なし |
すこやかM1 | なし | なし | 70mg | なし | 2.5g** | 12.5mg | 193mg | 62mg | 70mg |
ぴゅあ | なし | 10~55mg | 70mg | なし | 2g | 6mg | なし | なし | なし |
アイクレオのバランスミルク | なし | なし | なし | なし | 0.5g | 20mg | なし | 40mg | 50mg |
*フラクトオリゴ糖、**ガラクトシルラクトース
その他の特記事項としては、「E赤ちゃん」はたんぱく質にペプチドを採用、「はいはい」はβ-ラクトグロブリンを低減、すこやかM1はガングリオシドとオステオポンチンが含まれています。
オステオポンチについてはすこやかM1にのみ配合されています。(2019年3月時点でのメーカー発表より)
聞きなれない栄養素ばかりですので、以下に主な機能を紹介します。
母乳の初乳にも含まれる成分で、ウィルス等の感染に対する免疫力を補う効果があると考えられています。
ラクトフェリンと同じ糖たんぱく質の一種で、血管などを形成する際に役立っていると考えられています。
脳や神経、網膜の発達に寄与していると考えられています。
脳や神経、網膜の発達に寄与していると考えられています。
ガラクトオリゴ糖は母乳の初乳にも含まれる成分で、腸内のビフィズス菌を増やすと考えられています。
ガラクトシルラクトースはガラクトオリゴ糖の主成分です。
また、フラクトオリゴ糖も同じ作用があると考えられていますが、母乳には含まれていません。
核酸(DNA、RNA)の基本成分であり、これらの合成に寄与していると考えられています。
母乳の初乳に多く含まれる成分で、ウィルス等の感染に対する免疫力を補う効果があると考えられています。
人間の細胞膜や神経組織に広く存在している成分で、これらの生成に関与していると考えられています。
脳や細胞膜の形成に寄与している成分であると考えられてます。
シアル酸を形成する成分の1つ
母乳に含まれるたんぱく質の1つ。病原体に対する免疫機能があると考えられている。
粉ミルクは牛乳を主原料としているのですが、牛乳のたんぱく質は人間の赤ちゃんにとって消化されにくく、牛乳アレルギーを発症する原因のひとつと考えられています。
ペプチドは牛乳のたんぱく質を酵素分解してより消化吸収が良い形状に製造したもので、牛乳アレルギーになりにくい物質であると考えられていました。
しかし、酵素分解してもアレルゲンは残ることからアレルギー予防効果は証明されていません。
ペプチドよりもさらにたんぱく質を小さくした牛乳アレルギー児用の加水分解乳でさえも、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」において「最近では、(アレルギー予防の)効果がないとする報告が多い。」と記載されていることから、ペプチドミルクのアレルギー予防効果は「ない」と考えたほうがよいでしょう。
母乳には含まれていない牛乳由来のたんぱく質のひとつで牛乳アレルギーの原因にもなる物質の1つです。
おすすめの新生児用粉ミルクはどれ?
1.値段で選ぶなら
先ほど説明してように粉ミルクの基本的な成分についてはメーカーによって違いがありません。
したがって、粉ミルクを選ぶ一番簡単な方法は値段です。
値段が安いのは「はいはい」と「ぴゅあ」です。
内容量が異なるため100g当たりの値段に直すと、「はいはい」は228円、「ぴゅあ」が234円ですので、「はいはい」に軍配が上がります。
はいはい810g
2.機能性で選ぶなら
先ほど栄養成分の比較をしましたが、粉ミルクにはたくさんの栄養素が含まれているため、栄養の良し悪しで選ぶことは非常に難しいと言えます。
そこで、栄養ではなく機能性に注目して選ぶ方法が考えられます。
他の粉ミルクと違って明らかに機能性がことなるのが、森永乳業の「E赤ちゃん」です。
たんぱく質には、牛乳アレルギーになりにくいペプチドだけを使っています。
和光堂の「はいはい」も、β-ラクトグロブリンというアレルゲンを低減させる処理をしているのですが、実はアレルギーの原因となる牛乳由来のたんぱく質にはβ-ラクトグロブリンだけでなくガゼインという成分もあります。
むしろガゼインのほうが牛乳に多く含まれており、アレルゲンとなるのもガゼインの方が割合が高いとされています。
したがって、すべてのたんぱく質を消化吸収しやすいペプチドにしている「E赤ちゃん」のほうがアレルギーに対する機能性が高いと考えられるため、アレルギーを気にしているママ・パパは「E赤ちゃん」を選んだほうがよいでしょう。
ただし、先にも述べたように「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では、ペプチドミルクのアレルギー予防効果について「最近では、効果がないとする報告が多い。」としていますので過度な期待は禁物です。
3.便利さで選ぶなら
粉ミルクはどれも大差のない商品なのですが、利便性のとても高い商品が2つだけあります。
それは明治「ほほえみキューブ」と森永乳業「はぐくみ」です。
「ほほえみキューブ」は外出用の粉ミルクです。
他の商品はスティックを採用しているのですが、ほほえみは唯一キューブを採用しています。
スティックの欠点は、1度に作る量が細かく調整できないため飲む量が少ない新生児の場合は、使いきれずに無駄にしてしまうことが多いのです。
しかし、「ほほえみキューブ」だと20g単位に小分けにして使うことができ、開封後も1週間保存ができるので、とても利便性が高いのです。
また「はぐくみ」はエコらくパックという詰め替えパッケージが存在し、大きな缶と違って軽くてゴミの処分も簡単です。
同じ森永乳業の「E赤ちゃん」にもエコらくパックがあります。
4.産院と同じものがいい
どんな値段であれ機能性であれ、一番大切なのは赤ちゃんがミルクを飲んでくれることです。
メーカーによって若干、味の違いがあり、まれに生まれて初めて飲んだ病院の粉ミルクの味に慣れてしまって、他の商品を嫌がることもあります。
病院で何を使っているかを聞いて、同じものを選ぶのを1つの方法です。
アイクレオのバランスミルクは際立った機能がないのにも関わらず、突出して値段が高いのですが、実は多くの病院で採用されている粉ミルクでもあるため、退院後もそのまま飲ませるケースが多いと推測されます。