赤ちゃん・幼児の飲み物である「フォローアップミルク」の特徴をわかりやすく説明します。
通常の粉ミルクとの違いを理解したうえで、上手に使い分けをしましょう。
フォローアップミルクとは?
フォローアップミルクとは牛乳を主原料とした粉ミルクのことで、乳幼児が食事から摂取しにくい鉄分やDHAなどの栄養素が付加されている飲み物です。
現在、日本国内で販売されているフォローアップミルクと呼ばれている商品は以下の6つです。
商品名 | メーカー名 | 適用年齢 |
---|---|---|
ぐんぐん | 和光堂 | 9ヶ月頃~ |
ステップ | 明治 | 1歳~ |
チルミル | 森永乳業 | 1歳~(9ヶ月頃からも可) |
つよいこ | 雪印ビーンスターク | 9ヶ月頃~ |
たっち | 雪印メグミルク | 9ヶ月頃~ |
アイクレオのフォローアップミルク | グリコ | 1歳~ |
フォローアップミルクの各商品は生後9か月の赤ちゃん、もしくは1歳以上の幼児から飲めるようになります。
通常の粉ミルクとフォローアップミルクの比較
新生児から飲める通常の粉ミルクとフォローアップミルクとの違いについて解説します。
1.栄養成分の比較
まず、栄養素の違いについて和光堂の「はいはい」「ぐんぐん」を事例に比較していきます。
他の商品でも基本的な栄養成分の構成はほとんど一緒です。
ぐんぐん・・・生後9ヶ月から使用できるフォローアップミルク
栄養成分 | はいはい | ぐんぐん |
---|---|---|
熱量 | 518kcal | 474kcal |
たんぱく質 | 11.2g | 14.3g |
脂質 | 27.8kg | 20.0g |
炭水化物 | 56.2g | 59.5g |
ビタミンB6 | 0.3mg | 0.6mg |
ビオチン | 10μg | 20μg |
カリウム | 480mg | 750mg |
カルシウム | 380mg | 720mg |
リン | 210mg | 400mg |
亜鉛 | 3.0mg | – |
銅 | 0.32mg | – |
イノシトール | 75mg | – |
アラキドン酸 | 40mg | – |
カルニチン | 15mg | – |
シスチン | 190mg | – |
タウリン | 25mg | – |
ラクトフェリン | 90mg | – |
β-ラクトグロブリン | 0.2~0.8g | – |
※粉状で100g当たりの含有量
※栄養成分は多数あるため、熱量(カロリー)と三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)の成分は約2倍以上の差があるものだけを表示しています。
通常の粉ミルクとフォローアップミルクを比べると、まず、通常の粉ミルクのほうが配合されている栄養成分が豊富であることがわかります。
通常の粉ミルクもフォローアップミルクも牛乳を主原料としているのですが、通常の粉ミルクはより母乳の栄養成分に近づけるため、母乳には含まれていて牛乳には含まれていない栄養成分を人工的に付加しているからです。
ラクトフェリンなど初乳に多く含まれる成分を付加することで生後0カ月の新生児も母乳とほぼ同等の栄養を摂取することができるのです。
これは食べ物を摂取できない人間の赤ちゃんにとってはママの母乳が最高の栄養であるという考えに基づいています。
一方でカルシウムを始めとしていくつかの栄養成分ではフォローアップミルクのほうが多く含まれています。
2.値段の比較
では続いて、通常の粉ミルクとフォローアップミルクの値段の比較をします。
メーカー | 通常 | フォローアップ |
---|---|---|
和光堂 (はいはい、ぐんぐん) | 229円 | 184円 |
明治 (ほほえみ、ステップ) | 338円 | 260円 |
森永 (はぐくみ、ちるみる) | 304円 | 225円 |
ビーンスターク (すこやかM1、つよいこ) | 308円 | 232円 |
メグミルク (ぴゅあ、たっち) | 202円 | 204円 |
アイクレオ (バランスミルク、フォローアップミルク) | 374円 | 293円 |
※amazonの大缶1個の値段を参照(価格は変動している可能性があります。)
このように雪印メグミルクのぴゅあとたっち以外は、フォローアップミルクの方が安くなっています。
だいたい100g当たり40~80円の違いがあるため、大缶の約800gでは320~640円もの差になります。
3.生後9カ月以降の赤ちゃんにはどちらの飲ませるべき?
原則として通常の粉ミルクは1歳になるまで(生後11か月目)を目安に使用し、それ以降はフォローアップミルク(または牛乳)を飲ませます。
しかし、「ぐんぐん」「つよいこ」「たっち」の3商品については9カ月から使用することができるとしています。
それはなぜでしょうか?
まず、生後9カ月は離乳食が1日3回になる時期で、個人差はありますが1日に必要な栄養の半分以上を離乳食から摂取できるようになる頃です。
それまでの母乳(粉ミルク)を中心の食生活と異なり、離乳食からたんぱく質を始めとした栄養素が摂取しやすくなるのですが、一方でカルシムや鉄などはこれらを多く含んでいる食品を意識的に取り入れないと不足しやすくなると言われています。
そこで、通常の粉ミルクよりも鉄やカルシウムを強化したフォローアップミルクを使って、不足しがちな栄養を補う意味があるのです。
とは言え、完全に通常のミルクからフォローアップミルクに切り替える必要はありません。
通常の粉ミルクとフォローアップミルクを併用しても構わないのです。
1歳になるまでの生後11か月目までは1日5回の授乳が必要ですが、例えば、食後の授乳だけはフォローアップミルクを使って鉄やカルシウムを補っても良いでしょう。
両方のミルクを併用する際は、使用期限にも注意しましょう。
パッケージを開封すると1か月以内に消費する必要があるからです。(商品によって異なる可能性があるためパッケージの記載事項をよく確認しましょう。)
なお、完全母乳で育てている赤ちゃんは1歳未満であえてフォローアップミルクを使う必要はありません。
母乳は、栄養面だけではなく、ママの肌に触れること自体にも意味があるからです。