1歳、2歳の幼児が必要とする昼寝時間と、お昼寝をする時間帯について解説します。
統計データに基づいて、どれだけお昼寝をさせればよいのかという疑問にお答えします。
お昼寝時間
まずは、社団法人日本小児保健協会が「平成12年度幼児健康度調査報告書」で公表しているこちらのデータをご覧ください。
昼寝時間 | 1歳 | 1歳半 | 2歳 | 3歳 | 4歳 | 5-6歳 |
---|---|---|---|---|---|---|
しない | 1.1% | 1.6% | 7.4% | 24.9% | 47.0% | 64.0% |
1時間 | 10.8% | 10.1% | 14.2% | 17.9% | 15.6% | 14.1% |
2時間 | 55.9% | 64.5% | 59.9% | 48.2% | 31.8% | 19.2% |
3時間 | 25.8% | 21.3% | 17.2% | 7.2% | 3.8% | 1.2% |
子供は1歳を過ぎると次第にお昼寝の時間が少なくなり4歳になると半数がお昼寝をしなくなるということがわかります。
成長に伴って日中に活動するための体力がつきお昼寝をしなくても過ごせるようになってきます。
それでは、年齢別の睡眠リズムについて見ていきましょう。
1歳~1歳3か月未満
0歳の赤ちゃんは、月齢10カ月頃まで日中に2回以上のお昼寝をします。
そして1歳を過ぎると1日に1回だけのお昼寝となり、その時間は2~3時間です。
夜は10時間以上寝るため、1日の睡眠時間は合計で12~14時間程度になります。
なお、1歳を過ぎていても朝早く起きるなどの生活リズムであれば、1~2時間のお昼寝を1日2回する子供もいます。
1歳3か月~1歳6か月未満
1歳3か月頃は離乳食が完了し、1人であんよもできるようになる時期です。
そのため日中は公園などの屋外で過ごすことが多くなり運動量も増えてきます。
睡眠時間については昼・夜ともに大きく変化しませんが、外遊びによる刺激や興奮によって睡眠リズムが変化することもあります。
いつもより早い時間帯にお昼寝するようになったり、反対に体力がついてお昼寝の時間帯が遅くなることもあります。
1歳6か月~2歳未満
1歳6か月頃は自我が芽生え始める時期です。
親がお昼寝を促しても「ないない」と言って拒否する子供もいます。
また4時間近くお昼寝をしていた子供は、この頃には3時間以内の昼寝になります。
夜も含めた1日の睡眠時間はやはり12~14時間ですが、昼寝の時間が短くなった分だけ1日の睡眠時間は減ります。
2歳
2歳頃からお昼寝をしない子供の割合が増えてきます。
いわいるイヤイヤ期に入り、「眠たくても遊びたい!」という欲求が強いため、親がいくら昼寝を促しても断固として拒否することもあります。
お昼寝をした場合にも2時間以内で起きるようになります。
一方で、夜の睡眠時間は10時間程度と変化がありません。
そのため1日の睡眠時間は11~13時間と減少します。
3歳
3歳になるとお昼をしないでも過ごせる子供が25%近くまで増えます。
実に4人に1人がお昼寝をしなくなるのです。
だからと言って、お昼寝しなくても良いということではありません。
一方で夜の睡眠時間は大きく変化しないため、1日の睡眠時間は10~13時間となります。
昼寝をするかしないかで1日の睡眠時間に個人差がでてきます。
お昼寝の時間帯
1歳
1歳になったばかりで、まだ1日に2回お昼寝をする子供であれば午前9~12頃と夕方3~6時頃の時間帯に睡眠をします。
しかし、成長に伴って体力がついてくると夕方4時以降のお昼寝は、夜の睡眠時間に影響を与えるので、夜更かしが始まってしまうことがあります。
もし夜更かしをするようになったら、1日1回のお昼寝のリズムに変えていきましょう。
午前中は寝ないでしっかり遊び、お昼ご飯を少し早めに食べて12時までには完了するようにします。
そして12時過ぎから2~3時間程お昼寝をします。
一般的に保育園でもこのような生活リズムでお昼寝を促しています。
2歳
2歳になるとお昼寝しない子供もできてきますが、基本的にまだこの時期はお昼寝が必要です。
お昼寝の時間帯は1歳の時と同じく昼食後に2時間を目安とします。
○時~○時までお昼寝するべきという決まりはありませんが、できるだけ毎日同じ生活リズムで過ごす方が、食欲や夜の睡眠に影響がでにくいと言えます。
体力がついて夜更かしをする子供も増えてくるので、できれば3時頃までにお昼寝を済ませましょう。
それでも夜更かしして困るという場合には、お昼寝の時間を短くします。
1歳・2歳は何時間お昼寝をすればいい?
1歳・2歳が必要とするお昼寝の時間は、個人差があるので正解はありません。
例えば、同じ公園で遊ばせていても、ずっと走り回る子供もいれば、じーっと座って植物などを観察する子供もいます。
それぞれ生活リズムや体の大きさ、運動量に違いがあるので、何時間寝れば適切ということは言えないのです。
また、睡眠は時間だけでなく「質」も重要です。
睡眠中は「成長ホルモン」と呼ばれる骨や筋肉の成長を促す物質が分泌されます。
「成長ホルモン」は疲労を回復する効果もあるため、遊び・勉強への集中力や持続力が増します。
この「成長ホルモン」は寝入り始めた直後の「ノンレム睡眠(深い眠り)」時に多く分泌されることが知られています。
昼も夜も関係なく寝初めの時に分泌されるので、成長期の子供にとっては昼寝も重要であると考えられています。
睡眠時間に正解はありませんが、1~2歳の昼と夜を合わせた平均睡眠時間は12時間ですので、できるだけ同水準の時間を確保するように努めましょう。
<参考出典>
日本小児科学会「子どもの睡眠に関する提言」
社団法人日本小児保健協会「平成12年度幼児健康度調査報告書」
東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター「保育所保育指針改定に対する意見書」