ロタウィルスワクチンの接種時期、効果、副反応(副作用)と、併せてロタウィルスが原因となる病気について解説します。
ロタウィルスとは?
感染経路
ロタウィルスは感染力の強いウィルスです。
12月~5月に流行し、2~4月がピークとなります。
ロタウィルスが含まれた便や嘔吐物を処理するために、指で触れてしまい、その指から口へと感染します。
2歳までをピークとして、5歳までのほぼ全ての乳幼児が感染します。
症状
ロタウィルスにより感染性胃腸炎が発症します。
主な症状は、嘔吐、下痢、発熱です。
嘔吐を激しく繰り返すため、脱水症状になりやすい病気です。
また、下痢が白色または薄黄色になります。
嘔吐は12時間程度、下痢は3~4日程度続きます。
特効薬がないため、整腸剤などの対処療法がおこなわれます。
予防接種を受けると感染したとしても軽症で済みます。
重症化した場合
例えば、次の病気に発展する恐れがあります。
脳炎・脳症になると、体の麻痺などの後遺症が残ることがあります。
予防接種の記事一覧 インフルエンザ菌b型(ヒブ、Hib) ・ 肺炎球菌(PCV13) ・ B型肝炎(HBV) ・ DPT-IPV(四種混合) ・ ロタウィルス ・ BCG(結核) ・ 麻しん、風しん(MR) ・ 水痘 ・ おたふくかぜ ・ インフルエンザ ・ 日本脳炎 |
ロタテックとロタリックスの違い
ロタウィルスワクチンは「ロタテック」と「ロタリックス」という2つのワクチンがあります。
製造している製薬会社がそれぞれ異なります。
実は、ロタウィルスには、複数の型があります。
「ロタテック」はこのうち1つの型(G1)だけに対応したワクチンです。
2回接種で、ロタウィルスによる感染症の65%を予防することができます。
一方、「ロタリックス」は5つの型(G1、G2、G3、G4、P8)に効果があります。
3回接種で、ロタウィルスによる感染症の90%を予防することができます。
予防接種が頻繁にあるので、2回接種のロタテックの方が親としては助かるのですが、カバー率が低いという問題があります。
しかし、実態としては、ロタテックでもG1以外の型の免疫も作られるため、効果としては、どちらのワクチンも差がないと言われています。
かかりつけの医師と相談して、どちらを接種するか決めましょう。
接種時期
ロタウィルスワクチンは任意接種です。
ワクチンは「ロタテック」と「ロタリックス」の2つがあり、どちらか一方を接種(内服)します。
ロタテック
合計3回
1回目:生後2か月
2回目:生後3か月(1回目から4週間以上あける)
3回目:生後4か月(1回目から4週間以上あける)
ロタリックス
合計2回
1回目:生後2か月
2回目:生後3か月(1回目から4週間以上あける)
※なお、全ての予防接種についてスケジュールを知りたい場合は、こちらの記事で確認してください。
https://cawaiku.com/child/sick/vaccination-schedule-1541
同時接種できるワクチン
定期接種
1回目以降:
インフルエンザ菌b型(Hib,ヒブ)、肺炎球菌(PCV13)、B型肝炎(HBV)
2回目以降:DPT-IPV(4種混合)
費用
任意接種のため一部の自治体を除いて公費負担はありません。
費用は医療機関によって異なりますが、ロタテック、ロタリックスのいずれの場合も、規定の回数(2回または3回)を接種すると3万円前後になります。
ワクチンの「効果」と「副反応」
効果
ロタウィルスによる入院が必要な脱水症状、脳炎・脳症などの重症化するリスクを90%以上軽減します。
副反応(副作用)
ワクチンを製造している製薬会社の臨床試験によると次のような副反応があるとしています。
【ロタテック(MSD株式会社)】
副反応の発現率は14.5%。
主な症状は、下痢、嘔吐、胃腸炎、発熱です。
【ロタリックス】
副反応の発現率は不明です。
最も多い副反応は、易刺激性で7.3%の発現率です。
この他、下痢、鼻漏(鼻水)の副反応も数%発現しています。
また、厚生労働省に報告されている重篤な副反応としては、ロタテック、ロタリックスともに、接種人数に対して0.01%程度です。
具体的な症状は以下の通りです。
【ロタテック】
腸重積症:腸が重なって激しい腹痛や嘔吐、血便が顕れる
【ロタリックス】
痙攣、発熱、下痢、血便、嘔吐
(参考出典)
厚生労働省「肺炎球菌感染症」
日本小児科学会「予防接種スケジュール」
「ロタテック」医薬品インタビューフォーム
「ロタリックス」医薬品インタビューフォーム
雑司ヶ谷赤ちゃん・こどもクリニック
みやたけクリニック