乳児や幼児が予防接種をした場合、副反応(副作用)が出ることは珍しくありません。
副反応のことを知ったうえで、予防接種を受けましょう。
重篤な副反応が顕れる確率
予防接種を受けて「重篤な副反応」があった場合、医療機関には、厚生労働省に状況を報告する義務があります。
「重篤な副反応」の具体的な症状としては、アナフィラキシー、痙攣(けいれん)、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM) などがあります。
これら「重篤な副反応」の中でも頻度が多いのは、ワクチンの成分に対して強いアレルギー反応が顕れる「アナフィラキシー」です。
「アナフィラキシー」は、接種後30分以内に、発疹や嘔吐、呼吸困難などいずれかの症状が顕れます。
その後、血圧が急激に下がり、意識障害がでて、治療が遅れれば死に至ることもあります。
接種後30分以内は病院の近くにいる必要があるのはこのためです。
「アナフィラキシー」は、全てのワクチンで発生する可能性があります。
特にアトピーや喘息、食品アレルギーなどのアレルギー症状を持つ乳幼児は、接種前に医師に必ず報告し、相談しましょう。
では、こうした「重篤な副反応」が顕れる確率ですが、小学校就学前までに接種することができるワクチン11種類について厚労省への報告件数から算出すると「0.001%に満たない」という状況です。
つまり、生命の危険や障害が残るような「重篤な副反応」は、10万人に1人いるか、いないかという確率で発生します。
副反応が出た場合の救済制度
予防接種を受けて副反応が出た場合、「予防接種健康被害救済制度」によって市町村から年金や一時金などの「給付金」を受け取ることができます。
予防接種の中でも、任意接種となっている「ロタウィルス」と「おたふくかぜ」については、「医薬品医療機器総合機構」が運営している「医薬品副作用被害救済制度」から給付金が受け取れます。
なお、同じく任意接種である「インフルエンザ」は「予防接種健康被害救済制度」の対象となっています。
どちらの制度でも、副作用の治療のためにかかった医療費は全額給付されます。
また、重い障害になった場合は、年金(子供の場合は養育費)が支給され、死亡した場合には一時金と葬祭費が支給されます。
「予防接種健康被害救済制度」に比べると「医薬品副作用被害救済制度」は、年金・一時金の支給額が少ないという違いがあります。
厚生労働省「予防接種健康被害救済制度」
医薬品医療機器総合機構「医薬品副作用被害救済制度」
副反応がある確率が高い予防接種
これまで見てきたように、重篤な副反応は極めて稀です。
しかし、注射部位が、赤くなる、腫れる、痛い、というような軽い副反応は、かなりの頻繁で発生します。
実際にどの程度の割合で副反応が顕れるかまとめました。
カッコ内はワクチンの商品名です。
1つの病気に対し、複数の商品があるため、異なる商品であれば、別の結果となります。
「使用調査」は、実際にワクチンが使用された実績を調査した結果に基づくものです。
臨床試験と比べて低い値がでることがほとんどです。
それぞれの予防接種でどんな副反応症状が出ているか、各ワクチンの記事で確認してください。
予防接種の記事一覧 インフルエンザ菌b型(ヒブ、Hib) ・ 肺炎球菌(PCV13) ・ B型肝炎(HBV) ・ DPT-IPV(四種混合) ・ ロタウィルス ・ BCG(結核) ・ 麻しん、風しん(MR) ・ 水痘 ・ おたふくかぜ ・ インフルエンザ ・ 日本脳炎 |
発熱の副反応がでる可能性が高い予防接種
予防接種により発熱した場合は、副反応としては全身症状であり、決して軽症ではないため、必ず医療機関を受診するようにしましょう。
副反応として発熱がでる可能性がある予防接種を紹介します。