「認定こども園」とは?~親が知りたい保育園・幼稚園との7つの違い~

「認定こども園」は幼稚園と保育所が一体になった施設のことですが、保育園や幼稚園とは何がどう違うのでしょうか?

保護者が知りたいポイントをわかりやすく解説します。

「認定こども園」とはどんな施設なのか?

1.どんな家庭の子供も入園できる

保育園は共働き家庭が利用する施設、幼稚園は専業主婦のいる家庭が利用する施設というイメージがありますよね?

実際、保育園は、福祉施設であるため「保育に欠ける乳幼児」、すなわち共働きやひとり親の家庭の子供にしか入園資格がありません。

また、幼稚園は、入園に特別な要件はなく、小学校就学前の3歳以上の子供であれば基本的に誰でも入園することができるのですが、預かり時間が短いためママもパパもフルタイムで働いていると預けにくいのが実情です。

しかし、「認定こども園」は保育に欠ける・欠けないに関わらず誰にでも入園資格があり、保育所のように朝から夕方遅くまで開園しているので、共働き家庭の子供も預けることができます。

ただし、3歳未満の子供については「保育に欠ける乳幼児」でないと入園できません。(別にプレスクールなどで保育に欠けない子供を受け入れている園もあります)

なお、保育園・幼稚園と同じで各こども園には定員がありますので、希望者が多いと入園できないことがあります。

2.家庭の状況に合わせて保育時間が異なる

多くの認定こども園において、3歳以上の子供たちは、9時から14時頃までは幼稚園のようにクラスで集団生活をします。

教育内容は園によって様々ですが、工作や運動をクラス全員で取り組んだり、自由に遊んだりします。

そして、共働きの家庭などその後も預ける必要があれば、保育所のように保育士に預かってもらうことができます。

3.市区町村を通じて申込む必要がある

親から見ると長時間預けられる幼稚園というイメージですが、決定的に違うのは申込方法です。

まず、認定こども園に入園するためには、子供ごとに「保育の必要性」を市区町村に審査してもらって、「1号認定」「2号認定」「3号認定」のいずれかの認定証を交付してもらう必要があります。

「3号認定」は3歳未満の保育に欠ける子供に交付されます。

3歳以上については、保育に欠ける子供が「2号認定」、欠けない子供が「1号認定」となります。

「2号認定」になれば、保育所と同じように8時間以上預けることができます。

「1号認定」は4時間程度の保育時間となりますが、園の独自のサービスとして別途有料で預かり保育をしてくれるこども園もあります。

2号と3号に該当すると思われる子供は、市区町村で入園の申請手続きを行い、1号認定(4時間保育)を希望する子供は直接こども園に申請手続きを行います。

すなわち、1号認定は、こども園を通じて自治体が審査をして認定証を交付します。

1号認定2号認定3号認定
年齢3歳以上3歳以上3歳未満
保育時間4時間8時間以上8時間以上
手続きこども園市区町村市区町村

以上が原則ですが、自治体によっては申請方法が異なっているケースもあります。

4.料金は「年収」と「認定」で決まる

こども園の料金は保育所と同じように自治体ごとに決められています。

料金は前年度の年収によって決定され、0円から数万円になります。

また、「1号認定」は「2号認定」よりも保育時間が短いため料金は安くなります。

ただし、3歳以上については2019年10月からは無償化されるため年収による料金差は実質なくなります。

5.給食があるとは限らない

教育の充実した保育園というイメージを持つ保護者もいると思いますが、保育園との一番の違いは、給食がない「こども園」もあるということです。

保育園もこども園も原則として給食の提供が義務となっているのですが、一部のこども園では実質的に裁量の余地があるため、給食に対応していないことがあるのです。

また、給食が提供されるこども園であっても、3歳以上児の場合は、保育園のように園内の調理室で作った給食ではなく、外部業者が作った食事を搬入しているケースもあります。

もともと幼稚園は保育園と違って園内に調理室を設ける義務がないため、幼稚園からこども園に移行したような園の場合は、調理室がないことも多く、お弁当持参や外部搬入の給食とするケースがあるのです。

そのため入園希望を出す前に、必ず見学するなどして給食がどうなっているかしっかり確認しましょう。

6.二種類の資格を持つ先生がいる

原則として、保育園の先生は保育士の資格を持ち、幼稚園の先生は幼稚園教諭の資格を有しています。

では、こども園の先生はどうでしょうか?

こども園の形態によって異なるのですが、基本的に3歳未満の子供を見る先生は保育士の資格を持ち、3歳以上の子供を見る先生は保育士と幼稚園教諭の両方の資格を持つことが求められています。

(こども園の形態については、後に詳細を説明します。)

保育士と教諭の違いを一概に説明するのは難しいのですが、保育士は、0歳児から個々の発達に合わせて、食事や排せつ、コミュニケーションなど自立した生活習慣ができるように導くことを得意としていて、教諭は3歳以上児の知育や運動の教育を得意としているとイメージされます。

こども園では、その両方の資格を持っている先生がいると言うことになります。

7.教育内容が充実している?

こども園では、先生が2つの資格を持っていますから、保育園と幼稚園のいいとこどりをした充実の保育と教育が受けられるのではないかと期待したくなります。

確かに、こども園は「質の高い」幼児教育と「質の高い」保育を一元的に提供する理想的な施設として、今後、保育園や幼稚園がこども園に移行していくことが期待されています。

しかし、教育内容については、全てのこども園が統一的なカリキュラムで教育を行っているわけではなく、それぞれが独自性のある教育を行っています。

自主活動が充実している園、音楽が充実している園、体育が充実している園、自然体験が充実している園など千差万別ですので、家庭の方針や子供の個性に合った教育内容を行っているこども園に入園させることが大切です。

英語やプログラミングなど今どきの教育に目が行きがちですが、子供に対する先生の接し方、子供同士のトラブルに対する対応の仕方など、人格形成の基礎となる部分についても目が行き届いているかどうかがより重要なポイントです。

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