目次
産後クライシスを原因とした離婚が増加しています。
家庭崩壊の危機を回避するために夫婦がとるべき「10か条」の行動規範を紹介します。
まずは基本!産後クライシスは何故おきる?
1.イクメン神話とのギャップ
夫が積極的に子育てに参加することは当たり前!
という意識が、現代のママにはありますよね?
同じように思っているパパもたくさんいます。
しかし、現実にはママが理想とする「イクメン」の姿と現実の夫の姿には大きなギャップがあります。
よくあるギャップはこの2つです。
⇒【現実】 頼んだことしかやらない、できない
⇒【現実】 ママへの興味、関心が薄れたのか話を聞いてくれない上に、心無い一言を言われる
思い描いていた理想のイクメンパパには程遠く、四六時中イライラが募るようになります。
子供ができると生活環境は一変するのがあたりまえです。
今までの延長ではなく、一度、夫婦の役割や接し方をリセットして、関係を再構築する必要があります。
2.自分の時間が持てない
出産前は、素敵なカフェにいって夫婦2人でのんびりできていたことでしょう。
また、好きな趣味の時間が持てたかもしれません。
しかし、子供が生まれると、育休中のママでさえも、育児や家事に追われ、休憩すらとれません。
同じようにパパも仕事に追われて、休日も育児と家事に追われて自分の時間がとれません。
自分の時間が無くなると心の余裕もなくなり、ちょっとしたことで口げんかに発展します。
3.育児が思い通りにいかない
「親はなくとも子は育つ」と言いますが、子育ては本来、それほど難しいものではありません。
しかし、昨今はテレビ・雑誌・インターネットなど情報が氾濫し、特に初産婦さんの場合「理想の子育て」があるかのような錯覚に陥ってしまいます。
例えば「完全母乳」は、母親の義務だと感じているママも多いのではないでしょうか?
また、赤ちゃんが泣き止まない、寝てくれないなどにより、日々、責め立てられているような気持ちで過ごしているかもしれません。
その結果、ママ自身の心が追い詰められてしまうのです。
そんなママの訴えに対して、パパもそれほど真剣に受け止めず、根拠のない適当な返事をするだけだど、かえってパパに対する不信感・絶望感を募らせてしまいます。
産後クライシスにさせない夫婦の10か条
1.退院直後からパパは5日以上の休暇をとる
子供が生まれたら、パパもママも実践の中で子育てのやり方を覚える必要があります。
さらに家庭の生活リズムは赤ちゃん中心にかわるため、家事の分担も変える必要があります。
パパが仕事をしながら、なんとなく育児や家事を覚えてもらい、分担をかえていこうとしても、うまくいかないことがあります。
そして、その間はママに大きな負担がかかります。
そこで、パパは、ママと赤ちゃんが退院したら、その日からも土日を含め最低5日間は連続した休みをとるようにしましょう。
もし、まだ連休を取っていないのであれば、すぐにとりましょう。
そして、その連休中に、パパがやるべき育児と家事を完璧に覚えて、夫婦の分担をはっきり決めるようにしましょう。
パパがどういった育児・家事をやるべきかは、こちらの記事を参考にしてください。
2.困ったら専門家に相談する
特に初めての育児では、ママの悩みは尽きることがありません。
そんなとき雑誌やインターネットの情報を頼りにしがちです。
しかし、これらの情報は、一般的なモデルを想定した内容であり、個別の赤ちゃんに対応したものではありません。
そこで、助産師や保育士などの専門家に直接、悩みを相談しましょう。
生後1ヵ月健診までであれば、出産した産科の助産師さんに電話して相談します。
それ以降は、市区町村に開設されている育児相談を頼りましょう。
母子手帳を発行してもらった窓口に電話すれば、専門家につないでくれます。
ママだけでなく、パパが電話しても構いません。
育児に関するママの悩みをパパが聞いてあげることも大切ですが、さらに夫婦で専門家に相談して不安を解消していきましょう。
3.育児の協力者を見つける
かつては祖父母のいる3世代で子供の面倒を見ていました。
それが、都市化の進行により、夫婦だけで子供を育てるという無理な状況を生んでしまったのです。
夫婦だけの子育ては、時間的にも肉体的にもたいへんです。
そこで、子育てに協力してくれる人を探しましょう。
一番いいのは、ママの両親です。
それが難しければパパの両親。
たとえ、遠くに住んでいたとしても、ママの気持ちが辛くなったら、実家のお母さんを呼んで、2,3日いてもらいましょう。
自分の親ならわがままも何でも言えるので、それだけで心が安らぎます。
もし、助けてくれる祖父母がいない場合には、公的なサービスを利用しましょう。
市町村には「エンゼルヘルパー」という家事・育児を支援する公的なサービスがあります。
また、同じく「シルバー人材センター」という高齢者の経験や技能を生かして家事・育児を助けてくれるサービスもあります。
お住まいの市区町村に電話して、紹介してもらいましょう。
公的なサービスなので、利用料金も1,000~2,000円程度で済みます。
週に1回来てもらうだけでも、心に余裕ができます。
4.ケンカをしたらその日のうちに仲直りする
ケンカをしたまま、時間が過ぎていくと、次第に修復できない溝ができてしまいます。
自分は悪くないと思いがちですが、相手だって納得できないと感じているものです。
ケンカをしたらその日中に仲直りするという「ルール」を決めて、互いに歩み寄りましょう。
まずは仲直りをして、ケンカになった事柄について、冷静に話しあえる状況を作りましょう。
話し合っても解決しないかもしれませんが、相手がどう感じたのか知ることは大切です。
5.「言わなくてもわかる」ことはひとつもない
子供が生まれるまでは夫婦として仲良くやってきたのだから、「何をしてほしいか」「何をすべきか」当然わかってくれるはずと、思っていませんか?
子供が生まれた以上は、自分たちの時間を削って、子供に使う必要があります。
そうすると、知らず知らずのうちに、相手が「やってくれるもの」という根拠のない期待を抱いてしまうものです。
たとえば、ティッシュ箱の交換など、特に分担が決まっておらず、気づいた人がやるようなことは「なんで、やってくれないの?」と怒ってしまいがちです。
そして、怒られた方も「言ってくれたら、やるよ!」と反論します。
頼んでいないことは「やってくれるものだと」思い込まず、面倒でもそのたびに声に出して頼みましょう。
もし、相手が単に気づかなかったという理由でやっていなかったのであれば、一方的に怒られたと思い不信感が増幅します。
いちいち頼むのが面倒であれば、どっちが常にやるのかはっきり決めてしまいましょう。
6.分担以上のことを1日1つやってみよう
これは、どちらかと言えばパパにやってもらいたいことです。
多くの場合、ママはパパが気づいていないようなこともやっているものです。
それに対して、パパは割り振られた分担以外のことはやらず、それが終わったら自分の世界に入っていたりしませんか?
もちろん、パパの時間をすべて家族のために使えとは言いません。
しかし、パパなりに工夫して早く自分の分担が終わったのであれば、残った時間を使って、1つくらいは、ママが担当していることもやってみましょう。
「自分の担当分おわったけど、何かある?」と一言聞いてみましょう。
それだけで、ずいぶん感謝されることでしょう。
7.お互いに褒めよう
よくパパの育児参加を促すために「ほめてのばそう」的な話があります。
でも、褒められて気分がいいのはパパだけではありません。
ママだったほめられたいですよね?
一方的に褒めるだけでなく、ささいなことでもお互いに褒めましょう。
「今さら褒めるのは抵抗がある」と思うのであれば、「これから、気づいたら褒めるから、私のことも褒めて」と先に伝えてしまいましょう。
また、無理に褒めなくても「おつかれさま!」「ありがとう!」の一言でも十分です。
家庭崩壊の危機にある夫婦はその一言もなくなるものです。
8.任せた以上は相手のやり方を尊重する
夫婦と言っても所詮は別人です。
家事や育児のやり方が全く同じということはありえません。
やり方が気に入らないからと言って、一方に批難したり、やり方を押し付けたりすることはやめましょう。
どうしてもやり方を変えて欲しければ、相手の意見を聞いたうえで、変えて欲しい「理由」を伝えましょう。
そして、家族の健康にかかわるような重大な問題がないのであれば、100%自分の思い通りにならなくてもOKとしましょう。
9.手抜きの家事・育児をする
産後クライシスに至る主要因は家事・育児に追われて時間の余裕がなくなり、心の余裕をなくしてしまうからです。
「心の余裕」がないと、「相手を許す」余裕もなくなります。
すべて完璧にやる必要はありません。
夫婦で話し合って、お互い納得の上で、手抜きをしましょう。
手抜きグッズは、世の中にたくさんあります。
家事であれば、洗濯乾燥機、食洗機、自動お掃除ロボット、布団クリーナーなどです。
また、食事であれば、作り置きできるおかずを作って、2,3日同じおかずを食べたっていいのです。
毎日、違う献立を無理して作る必要はありません。
トイレ掃除や風呂掃除は、なるべくきれいに使うようにして、掃除の回数を減らしましょう。
育児であれば、母乳よりもミルクのほうが早く哺乳できます。
ミルトンを使えば消毒も簡単です。
授乳をする2~3回のうち1回をミルクに変えてみましょう。
それだけでも時間を生み出すことができます。
10.男と女の「気持ち」を忘れない
最後の10個目は精神的なお話です。
夫婦が互いに失望し、離婚に至る過程は次の通りです。
夫が家事や育児に協力的でない
↓
頼んでもやってくれない
↓
悩みや話も誠実に聞いてくれない
↓
もう一緒にいたくない
自分なりに仕事も家事も育児も頑張っているのに感謝されない
↓
感謝されないどころか、不平・不満ばかり言われる
↓
家に帰るのが辛い、仕事に集中したい、妻以外の女性が魅力的に見える
↓
もう一緒にいたくない
要するにお互いが「自分の気持ちを理解してくれない」と思っているのです。
妻は、子供ができたからこそ、夫を一番頼りにしています。
それが故に、夫にきつく言ってしまうのです。
しかし、夫はその思いに気づかず、妻の期待を超えるような協力をすることはありません。
その結果、知らず知らずのうちに妻を追い込んでしまっているのです。
反対に、夫の立場からすると、家族が増えたことで出費も家事も負担が重くなっているので、今まで以上に、仕事も家事も頑張っているつもりなのです。
そのため、妻に不満を言われることが理解できず、妻への愛情が冷めてしまうのです。
気持ちのすれ違いは、どんな夫婦にもあります。
修復できないほど亀裂が深まらないように、こうした互いの気持ちを心に留めておきましょう。
夫(妻)に対して、思い描いていたような人ではなかったと思うかもしれませんが、あなたが思っている以上に、実は相手の心も傷ついているのです。