待ちに待った赤ちゃんにようやく出会うことができたのに、何故か気持ちが前向きになれない。
それは、もしかしたらマタニティブルーかもしれません。
「マタニティブルー」や「産後うつ」のことを知って適切な対処をしましょう。
マタニティブルーとは?
1.マタニティブルーの原因
マタニティブルーとは、本来、お産後まもない「産褥期」の女性が、精神的に不安定になる症状のことをさしています。
しかし、一般的には、妊娠中から産後にかけて情緒不安定になることを「マタニティブルー」と呼ぶことが多くなっています。
マタニティブルーの原因はホルモンバランス変化によるものと考えられています。
妊娠を契機として、女性ホルモンが通常よりも多く分泌され、また反対に出産後には分泌されていた女性ホルモンが減少してしまうのです。
こうした、ホルモンバランスの急激な変化が自律神経系に作用して情緒が不安定になるのです。
ホルモンによる影響に加えて、妊娠中であれば「つわり」や「出産への不安」、産後であれば「体力低下」や「授乳による不眠」や「育児への不安」などが重なることで症状がより強く顕れることがあります。
2.マタニティブルーの主な症状
マタニティブルーの症状は、産後2,3日頃から3週間の間に顕れます。
主な症状を下記に紹介しますので、もし該当する症状があれば、マタニティブルーの可能性があります。
3.マタニティブルーへの対処
時を待つ
まず、マタニティブルーは決して珍しい障害ではありません。
あらわれる症状や程度には個人差がありますが、産褥期の女性の約半数は経験すると考えられています。
ホルモンバランスの変化に伴って症状が顕れる一過性の障害であり、多くの場合3~10日程度で自然に解消されます。
したがって、お産後1か月頃までには解消されることが多いのです。
無理をせずに育児や家事はやってもらう
自然に治ることを前提として、育児や家事を頑張り過ることは問題です。
マタニティブルーの女性に過度なストレスがかかれば、後で説明する「産後うつ」に移行するリスクが高まるからです。
産後の入院中であれば、助産師さんに体や心の不安について素直に伝えれば、配慮をしてもらえるでしょう。
例えば、赤ちゃんを同室で面倒を見ることにこだわらず、気分が良くなければ、助産師さんにお世話を頼むこともできるのです。
また、退院後であれば、夫に休暇をとってもらう、実家の母親を呼ぶなどして、家事全般をお願いし、育児も手伝ってもらうとよいでしょう。
赤ちゃんを預けた、お世話をお願いしたからと言って「ダメな母親」と思う必要は全くにありません。
ママは出産という大仕事をしたばかりなのですから、肉体的にも精神的にも疲れやすいのはむしろ普通のことです。
家族や友人とコミュニケーションをとる
また、時間をとって夫や出産を経験している友人と話をすることも気分転換になります。
特に、夫はこれから一緒に赤ちゃんを育てていく大切なパートナーですから、よく話し合ってママの気持ちを受けてもらいましょう。
産後うつとは?
産後うつは、マタニティブルーと同じような症状ではありますが、日常生活に支障をきたすほど活動レベルが低下し、2週間を超えても解消されない状態をさします。
例えば、
などの症状があれば、マタニティブルーではなく産後うつが疑われるため、早期に医療機関を受診しましょう。
状態によっては薬による治療が必要な場合もあります。
また、産婦の10%程度が産後うつになる考えられています。
中でも、精神科の既往歴がある、マタニティブルーになっている、1人で赤ちゃんを育てている、などの場合には発症するリスクが高まるとされており、より注意が必要です。
もし、赤ちゃんの1か月健診の時期になっても、精神的に不安定な症状があれば、赤ちゃんの様子を見てもらうだけでなく、ママ自身の不調についても相談するようにしましょう。
また、自治体で実施している助産師による新生児(乳児)訪問の際にも不安なことがあれば包み隠さず全て話すようにしましょう。
例えば、「どうしても赤ちゃんが好きになれない」などの気持ちは伝えることをためらってしまうかもしれません。
しかし、新生児訪問は、生活環境を含めてママの状態を知り、必要があれば適切なサポートすることも目的の1つになっているので、安心して話しましょう。
<参考・出典>
母性看護学各論
うつ病等の精神疾患合併妊産婦の診療と支援について
家庭の医学
メルクマニュアルプロフェッショナル版
初めての妊娠・出産
はじめての妊娠出産百科