知っておきたい母乳育児の9つの利点

赤ちゃんやママにとって母乳で育てることのメリットについて基本を分かりやすく解説します。

赤ちゃんにとっての母乳のメリット

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1.母乳成分が消化吸収されやすい

母乳は生後半年頃までの赤ちゃんが発育するためのすべての栄養素が含まれている優れた食品です。

それだけでなく、消化器官の未熟な赤ちゃんでも消化吸収しやすい成分でできています。

例えば母乳には脂肪分解酵素が含まれているため、母乳中の脂肪をスムーズに分解して、消化吸収を助けてくれます。

2.様々な感染症から守ってくれる

母乳は、お母さんの血液から生産されます。

お母さんの血液には、様々な細菌やウィルスに対する抗体(免疫)が含まれています。

これらの抗体は、胎児の時は臍の緒を通じて、出産後は母乳を通じて、赤ちゃんに移行し、病気に対する抵抗力を与えています。

特に初乳には、「IgA」(免疫グロブリンA)といわれる成分が多く含まれており、これは呼吸器や消化器を感染症から守ってくれる効果があります。

また、母乳に含まれる糖分であるオリゴ糖も、腸内のビフィズス菌を増やし、感染症への抵抗力を高めてくれます。

また、感染症に罹りにくくなるだけでなく、罹った場合にも肺炎や髄膜炎など重症化するリスクを下げてくれます。

3.安全である

母乳には赤ちゃんの害となる病原菌を含んでいません。

また、直接、おっぱいから飲むため、酸敗したもの、腐敗したものを飲む危険がありません。

一方、粉ミルクは適切に管理と調乳をすることによって、細菌が混入しないように気を付ける必要があります。

4.肥満になりにくい

海外の研究結果では、母乳で育った子供と乳ミルクで育った子供を比べると、母乳で育った子供のほうが過体重(太り気味)になりにくく、また、肥満が主な原因となる生活習慣病の「2型糖尿病」も母乳で育った子供のほうが4割程度もり患しにくくなるという報告もあります。

母乳は赤ちゃんの哺乳量に合わせて最適な量だけ生産されるため、粉ミルクのように飲みすぎてしまうこともありません。

5.歯並びがよくなる

おっぱいは、哺乳瓶の乳首と比較して、しっかりと吸う必要があるため、上あごなど顔全体の筋肉(口腔周囲筋)をたくさん使います。

これにより、食事(離乳食)に移行するための咀嚼力が付きやすいとされています。

さらに、口腔周囲筋が発達することにより歯並びもよくなると言われています。

6.乳幼児突然死症候群(SIDS)が少ない

現在のところSIDSになった乳幼児の中で、母乳で育児されている赤ちゃんは、ミルクで育児されている赤ちゃんと比較して発症率が低いと言われています。

ただし、母乳がSIDSを予防するという医学的な根拠はなく、「うつ伏せ寝」や「家族の喫煙」も予防方法のひとつとしてあげられます。

親にとっての母乳のメリット

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7.産後の回復が早くなる

赤ちゃんに乳首を吸ってもらって刺激を受けることで、脳の下垂体と言う場所から「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。

このホルモンは、子宮を収縮する働きがあり、出産時に大きくなった子宮を元の大きさに戻す手助けをしてくれます。

また、子宮の収縮によって出血も減少します。

これにより産後の回復が早まります。

8.すぐにあげられる

ミルクの場合、熱湯を作り、粉をほ乳瓶に入れて、お湯で溶かし、適温に冷ましてから授乳します。

哺乳したあとも、哺乳瓶を丁寧に消毒する必要があります。

それに比べると母乳は、前後にガーゼで清潔にして、母乳パットを交換するだけなので、手間いらずです。

特に、夜間の授乳では、眠い中、起きてミルクを作るのは辛いものです。

しかも、その間、赤ちゃんは泣き続けています。

9.経済的である

もし、粉ミルクだけで育児をしたとすると、2,000円くらいの大缶(800g強)であれば、新生児なら10日程度で消費します。

成長すればさらに消費量が増えるため、生後3ヶ月頃からミルク代は月に1万円を超えるようになります。

これに対して母乳は無料なので、卒乳するまでの費用を比較すると、軽く5万円以上の差が出てきます。

母乳にはメリットが多いがこだわり過ぎない

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このように、母乳は赤ちゃんにとってもママにとっても多くのメリットがあります。

しかし、粉ミルクも年々進化しており、母乳にかなり近い成分構成になっていて、栄養面では母乳と遜色ありません。

「完全母乳で育てたい」というママの気持ちは、赤ちゃんを愛するが故の素晴らしい考えです。

しかし、思うように母乳の分泌が増えない、赤ちゃんの体重が増加しないなどの状況があれば、助産師や保健師などに相談してミルクも同時に使うことも検討しましょう。

完全母乳で育児することを諦める必要はありませんが、赤ちゃんの発育状況を専門家に冷静に判断してもらい、一時的に混合栄養にすることも大切です。

たとえ混合栄養だとしても、ママの愛情は赤ちゃんに十分伝わると思います。


(参考出典)
雪印ビーンスターク株式会社「母乳調査」
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド2019年改定版」
医学書院「新看護学・母子看護」
南山堂「母乳育児学」

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