母乳を冷凍保存して、飲ませるまでの6ステップマニュアル

母乳を搾乳してから冷凍し、解凍して飲ませるまでの手順を6ステップで説明します。

完全母乳で育児をしていると、様々な場面で母乳の冷凍が必要になることがあります。

外出のため家族に預ける時、赤ちゃんが入院する時、保育所に入園する時など・・・。

母乳を冷凍保存する際、どのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか?

ステップ1 預け先に保存方法を確認

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ママが外出をしている間、パパなどに搾乳した母乳を飲ませてもらうのであれば、こちらのステップは必要ありません。

しかし、赤ちゃんが入院している医療機関や、預け先である保育所、一時預かり施設などに哺乳をお願いする場合には、事前に保存方法、受け渡し方法について確認を取る必要があります。

医療機関や保育施設によって、基準が異なるためです。

施設に確認したい項目としては次のものが挙げられます。

  • どのくらいの量が必要か?
  • 渡していい保存容器は?(保冷バックのことが多い)
  • 保存期間が何日前のものまで渡してもいいか?
  • 保存パックに記入すべき内容は何か?(名前、搾乳日、容量など)
  • 渡す時の状態(ほとんど凍っている必要があるのか、多少は溶けていてもいいのか)
  • その他、施設特有のルールはあるか?
  • 赤ちゃんは、日々成長するため、必要となる量も変化します。

    母乳が不足する場合には、ミルクで対応することになると思いますが、看護師さんや保育士さんに大体の目安を聞くようにしましょう。

    ステップ2 搾乳して保存するためのグッズを揃える

    母乳の搾乳や保存が簡単にできる便利な商品はいろいろあります。

    たまたま数時間程度、外出するだけであれば、普段使っている哺乳瓶に搾乳し、キャップをして冷蔵庫に入れればいいだけなので特別グッズを買う必要はありません。

    しかし、施設に母乳を渡す場合には、少なくとも母乳バッグは必須です。

    1.搾乳器

    搾乳器を使わずに、手で搾乳しても問題ありません。

    しかし毎日搾乳をする必要があるならば、搾乳機を使う方が格段に楽になります。

    乳腺炎や乳頭の傷などによって授乳が辛い時にも活用できるので1つ持っておくと便利です。

    ピジョン搾乳器(手動)


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    おそらく日本で最も使われている搾乳器です。

    値段が手ごろなので、まずはこれで試してみて、合わないようであれば、別の商品を検討するとよいでしょう。

    2.保存容器(バッグ、哺乳瓶)

    カネソン 母乳バッグ


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    サイズ:50ml、100ml、150ml、200ml

    ピジョンの保存バッグと、こちらのカネソンがよく使われています。

    ピジョンの方が低価格ですが、カネソンは病院で広く使われており、より母乳を入れやすい、注ぎやすい形状になっています。

    ピジョン 母乳保存用哺乳びんキャップ


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    家族に授乳をお願いする時は、移し替えの手間がかかる保存バッグよりも哺乳瓶で保存したほうが楽です。

    保存用のキャップで、瓶を密閉すれば冷凍保存ができます。

    ステップ3 搾乳する

    1.搾乳量の目安

    搾乳する量については、預ける時間と月齢、離乳食の進み具合などによって異なります。

    基本的には、預ける時間帯に飲んでいた量を基準に、少し多めに搾乳するといいでしょう。

    目安として、1日に必要な母乳(ミルク)の量を月齢別に紹介します。

    0~5か月 : 720~790ml
    6~8か月 : 860~930ml
    9~11か月 : 930~1000ml
    ※厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」に基づく
    ※離乳食が全く進んでいないことが前提の量

    6か月以降は離乳食の進み具合に合わせて徐々に減らしていきましょう。

    離乳食が順調に進んで3回食になれば11か月前後で母乳の必要はなくなります。

    なお、目安の量は、あくまで標準的な体重の場合ですので、低体重の場合などは、担当の医師・助産師さんに必要量を相談しましょう。

    2.搾乳方法

    消毒済みの容器(基本は哺乳瓶)に母乳を絞りいれてきます。

    手絞りする場合でも、搾乳器を使う場合でも、絞る前に血行を良くすると母乳が出やすくなります。

    白湯などを飲む、蒸しタオルを当てるなどをして体を温めた後、乳房全体を痛くない程度にマッサージをして血行をよくします。

    手で絞り出す場合は、単に乳頭を指で圧迫するのではなく、乳房全体から押し出すように、手のひら全体を使って上下左右まんべんなく乳房を押しながら、乳頭を指で圧迫しましょう。

    ステップ4 冷蔵・冷凍保存する

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    1.保存方法

    1.冷凍保存の場合

    搾乳した母乳を哺乳瓶から保存バッグに移し替えます。

    バッグの空気を抜いて密閉し、冷凍庫に保存します。

    入り口に近い場所ではなく、温度変化が少ない奥の方に保存しましょう。

    2.冷蔵保存の場合

    冷蔵庫に保存する場合には、哺乳瓶のままで構いません。

    倒れても母乳がこぼれないように、また乳首が他の食品に触れないように、必ずキャップをしましょう。

    保存場所は、ドアの開閉による温度変化の影響を受けにくいチルド室が適しています。

    なお、一度、口にしてしまった母乳は冷蔵庫であっても保存せずに、廃棄するようにしましょう。

    2.保存期間

    搾乳した母乳はどれくらいの期間保存できるのでしょうか?

    常温で放置された母乳には細菌が繁殖します。

    大腸菌は7~45.6度、サルモネラ菌は5~45度の時に増殖します。

    母乳は人間の体温と同じ温度であり、35度前後は細菌が最も増殖しやすい環境です。

    室温が高ければ、数時間で食中毒を引き起こす可能性があります。

    そこで下記の目安となる保存時間を厳守するようにしましょう。

    常温保存 : 1~2時間以内
    冷蔵庫 : 24時間以内
    冷凍庫 : 1~2か月以内

    冷蔵・冷凍保存する場合には5度以下であれば、細菌は繁殖しません。

    しかし、実際には、冷蔵庫も冷凍庫も頻繁に開閉して、一時的に温度が上がるので、上記の期間を目安に処分するようにしましょう。

    ステップ5 持ち運ぶ

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    冷凍した母乳を、保育所や病院などに持ち運ぶ際には温度管理がとても重要です。

    一度解凍したものは、再度、冷凍することはできないため、できるだけ母乳が解けないように運ぶ必要があります。

    母乳を保冷剤といっしょにクーラーバッグに入れて持ち運ぶのが基本です。

    移動時間が15分程度であれば、これでも十分ですが、夏場に30分以上移動するのであれば、単に保冷剤と一緒にクーラーバッグに入れただけでは心もとないです。

    そこで、母乳の保存パックより大きい保冷剤を2つ用意して、母乳を保冷剤でサンドするようにして太いゴムで留めます。

    それをビニール袋に入れたうえで、さらに新聞紙を巻いて、クーラーバッグに入れると、より保冷効果が高まります。

    また、クーラーバッグは大きいと保温効果が弱くなるため小さいものを選びましょう。

    ステップ6 解凍して、飲ませる

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    解凍方法は、次の3つがあります。

    時間がかかる順に・・・
    1.冷蔵庫で解凍する
    2.流水で解凍する
    3.湯煎する

    外出している間に、自宅で家族に哺乳してもらう場合には、外出前に必要な分だけ冷蔵庫に移して、使ってもらうといいでしょう。

    母乳が凍っている場合には、流水か湯煎で解凍します。

    湯煎する温度は40~50度です。

    ボウルに給湯機から40度前後のお湯をたっぷり注いで、母乳バッグを入れます。

    お湯の量が少ないと、母乳バッグの冷たさで、すぐにお湯が冷めてしまい、解凍に時間がかかります。

    解凍できたら哺乳瓶に移し替えて、再度、湯煎して温めます。

    解凍すると母乳が水とそれ以外の成分に分離していることがあるので、哺乳瓶でよく振ってから飲ませるようにしましょう。

    なお、温度が高すぎると、母乳に含まれる免疫や成分の一部が熱で壊れる可能性があります。

    急いでいても、電子レンジや熱湯で解凍するのは止めましょう。


    (参考出典)
    ピジョン「母乳フリーザーパック」
    HACCP「HACCPにおける最新の微生物管理について」
    日水製薬「微生物検査の基礎知識
    厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」

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