新生児の体重が増えない3つの理由と対処法

赤ちゃんの育児に関する悩みで、非常に多いのが「体重が増えない」という問題です。

なぜ体重が増えないのか、どんな対処法があるのか解説します。

体重の増えない赤ちゃんが「体重増加不良」とされる目安

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新生児は生後4日目頃までは「生理的体重減少」により体重が減少しますが、哺乳量の増加によって生後7~10日頃までに出生時の体重まで回復します。

その後は生後30日目までに、標準的な新生児であれば男の子も女の子も平均して体重が1日30g以上増えていきます。

生後1か月検診で1日平均の体重増加量が25g以下だと医師の判断により授乳指導が行われることがあります。

しかし、体重増加量が1日25g以下、20g以下など、〇〇g以下であれば直ちに「体重増加不良」と診断されるわけではありません。

ママの授乳方法や乳汁分泌の不足が原因で体重増加が緩やかになるだけでなく、そもそも遺伝的にゆっくり育つ赤ちゃんであったりと、単なる個人差である可能性も考えられるからです。

仮に生後1か月の体重増加が平均より少ない場合でも、適切な授乳指導を受ければ、ほとんどの場合は、成長曲線の範囲内で緩やかに成長していきます。

「体重増加不良」として病的な原因も含めて慎重に経過を見ていく必要がある赤ちゃんとは、例えば3パーセンタイル以下(*)の体重で推移している赤ちゃんや、順調に増えていた赤ちゃんの体重が急に増えなくなって、短い間に50パーセンタイルから10パーセンタイルまで下がってしまった場合などです。

そのほか、赤ちゃんの全身状態を見たうえで医師が「体重増加不良」かどうか総合的に判断します。

(*)厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査」で示させる赤ちゃんの体重分布を示しています。例えば、日齢30日で男の子が3.0kg以下、女の子が2.9kg以下だと3パーセンタイル以下の体重となります。

体重が増えない原因と対処法

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新生児が生理的体重減少から回復する生後2週間を過ぎても体重が思うように増えない場合はどのような原因が考えられるのでしょうか?

一般的な理由と対処法を紹介します。

なお、医師や助産師などの専門家でないと、原因の特定は難しいため、決して自己判断せず、出産した病院の助産師などに相談しましょう。

1.母乳の不足によるもの

赤ちゃんの哺乳能力に問題がない場合、体重が増えない第一の原因として母乳不足が挙げられます。

母乳の分泌量は、赤ちゃんに吸われて空になると増産され、反対に母乳が充満して張っている状態が続くと減産される仕組みになっています。

体重増加につれて赤ちゃんが母乳を飲む量が増えれば、本来、自然に分泌量が増えていくのです。

しかし、適切な授乳ができていない場合、母乳不足になることがあります。

例えば以下のような理由が考えられます。

授乳時の抱き方や乳首の含ませ方に問題がある

赤ちゃんが乳首を含むときには、乳輪全体が覆われるようなイメージで深く含ませる必要があるのですが、抱き方や含ませるときのタイミングが適切でないことがあります。

正しく乳首を含ませないと、上手に母乳を飲むことができません。

授乳回数が少ない

新生児期は2~3時間に1回のペースで頻回に授乳することが望ましいのですが、ママが母乳を欲しがっている赤ちゃんのサインに気づかなかったり、兄姉の世話に追われて授乳が後回しになるなどの理由で、授乳回数が少ないことがあります。

また、乳首のトラブル(乳頭痛)などによって授乳回数を控えることも母乳が増えない原因になります。

哺乳が難しい乳首の形状である

陥没乳首や扁平乳首などの場合は、赤ちゃんが上手に吸うことができないこともあります。

何らかの理由で乳汁分泌不全である

ごく稀なケースですが、母乳を分泌する能力に問題が生じていることもあります。

例えば、過去に乳房の手術をしたことがある場合などです。

対処法

まずは、何が原因で母乳不足になっているのか判断するため、早めに母乳外来などで助産師によるカウンセリングと授乳指導を受けるのが確実です。

ママが1人で赤ちゃんを育てる重圧に耐えることがないように、専門家に適切なアドバイスをしてもらいましょう。

2.赤ちゃんの成長ペースによるもの

ママの母乳を分泌する能力が十分に備わっているにもかかわらず、赤ちゃんの生活リズムや哺乳能力によって、1回に飲む量が少なかったり、飲む回数が少ないため、体重の増加がゆっくりになるケースもあります。

通常、新生児であれば2~3時間ごとに起きて、1日10~12回程度はおっぱいを飲むのですが、中には4時間以上まとまって眠り、1日6~7回程度しか飲まない赤ちゃんもいます。

対処法

赤ちゃんの体重増加に合わせて母乳の分泌量を増やす基本は、1回の授乳で母乳が空になるまでしっかり飲ませることと、母乳で乳房が張っている状態が続かないように3時間以内を目安に授乳を繰り返すことです。

1回の授乳量が少なければ授乳回数を頻回にする、寝ている場合には起こして授乳するなどの対処が必要です。

ただし、体重増加が平均より少ない場合でも、顔色が良く、元気であれば、赤ちゃんのペースを尊重して授乳してもよいと判断されることもあります。

3.その他の理由

・妊娠37週前の早産で生まれた
・2500g未満(低体重児)で生まれた
・先天性の疾患が疑われる

早産や低体重児の場合、消化吸収機能が未発達であったり、おっぱいを吸う力も弱いなどの理由で、母乳だけでは十分な栄養が摂取できず体重の増加が緩やかになることがあります。

また、先天的な疾患には、妊娠中や出産直後にわかる疾患もあれば、体重があまり増えないことに着目して後から気づく潜在的な疾患もあります。

対処法

これらの理由で体重が増えない場合には、医師や助産師による継続的な指導が欠かせません。

人工栄養の利用も含めて、赤ちゃんの状態にあった授乳方法を選択して、発育を促すようにします。

なお、母乳には免疫物質が含まれていて、感染症の予防にもなるため、直接の哺乳ができない場合には、搾乳をして哺乳瓶で母乳を飲ませるなどの指導を受けることもあります。

※育児コラムの参考文献はこちらです。

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