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「生理的体重減少」が起きる理由と計算式を掲載しています。
子育て中のママにもわかりやすく解説します。
生理的体重減少とは?
赤ちゃんの体重が産後4日目頃をピークとして減少することです。
新生児の体重は4日目以降から増加に転じて、生後7~10日目までに出生時の体重まで戻ります。
生理的体重減少が起きる理由
「生理的体重減少」が起きる理由を要約すると、生後間もない赤ちゃんは、上手にミルクや水が飲めないので、尿や便、水分など体から出ていくものの量が上回ってしまう、ということです。
以下は、より詳しい解説となります。
1.尿や胎便がでるから
赤ちゃんは生まれて24時間以内に「うんち(排便)」と「おしっこ(排尿)」をします。
うんちは、赤ちゃんがお腹の中にいる時に飲み込んだ羊水や、赤ちゃんの腸内の分泌物などでできていて、「胎便」と呼ばれています。
出生直後の赤ちゃんは、仮におっぱいを飲んでいないとしても「うんち」や「おしっこ」が排出するため体重が減ってしまうのです。
2.体の水分が蒸発するから
「うんち」や「おしっこ」だけでなく、肺による呼吸や皮膚からの新陳代謝によっても水分が蒸発していきます。
これを「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」と言います。
新生児は、体の皮膚面積が大きいため、不感蒸泄も比較的多くなります。
体重1kg当たりの蒸発量はおよそ30mlで、これは大人(20ml)よりも多い値です。
新生児は寝たきりですが、それでも体表面から体内の水分がどんどん出て行ってしまうので体重が減ります。
3.水やミルクをたくさん飲めないから
赤ちゃんは生まれた時から、口でおっぱい(哺乳瓶)を吸うことができます。
これを、吸綴(きゅうてつ)反射といって、赤ちゃんが成長していくための大切な能力です。
しかし、吸いつく力はまだ弱く、不慣れであること、また胃や腸といった消化器官が十分に働いていないことなどにより、生後すぐに、たくさんの母乳を飲むことができません。
つまり、摂取できる母乳量(水分量)が少ないため体重が減ってしまうのです。
4.基礎代謝が大きいから
基礎代謝とは、安静にしていたとしても生命を維持するために必要なエネルギー量(熱量・カロリー)のことです。
新生児の体重1kg当たりの基礎代謝は、大人(20歳)と比べて2倍にもなります。
運動や体温調節など基礎代謝以外のエネルギーを考慮すると、新生児は1kg当たり1日120Kcalのエネルギーが消費されます。
通常は食べ物がエネルギーの燃料となるのですが、もし、食べ物が足りない場合には体の脂肪を燃料とします。
生後3~4日目の新生児が、授乳によって摂取できるエネルギー量は、完全母乳の場合、約90kalと言われています。
そのため、生後、数日間は、カロリー不足となり、脂肪が燃やされて体重が減ってしまうのです。
体重減少率の計算方法
生後4日頃までの体重減少は生理的なものであるため特に心配する必要はありませんが、減少率が10%を超える場合には脱水などに注意する必要があります。
減少率の計算式と標準的な減少率は以下の通りです。
1.体重減少率の計算式
例)
(出生体重3000g-現在体重2840g) ÷ 出生体重3000g × 100 = 5.3%
2.生理的体重減少による減少率
「生理的体重減少」によって、新生児の体重は、出産時から約5~10%減少すると言われています。
厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査」に基づいて、生後4日間の体重減少率を男女別に計算してみます。
日齢 | 体重 | 減少率 |
---|---|---|
0日 | 3000g | 0% |
1日 | 2890g | 3.7% |
2日 | 2840g | 5.3% |
3日 | 2840g | 5.3% |
4日 | 2880g | 4.0% |
日齢 | 体重 | 減少率 |
---|---|---|
0日 | 2940g | 0% |
1日 | 2810g | 4.4% |
2日 | 2760g | 6.1% |
3日 | 2760g | 6.1% |
4日 | 2790g | 5.1% |
表でわかるように4日目以降から体重は増加に転じます。
その後は、生後7~10日までに、出産時の体重に戻ることがほとんどです。
もし、戻らないようであれば、母乳が足りていない等の問題が考えられますので、出産した産科で相談しましょう。
(参考出典)
厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査」