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2歳の子を持つ親の最大の苦痛は「イヤイヤ期」に入った子供の相手ではないでしょうか?
ちょっと親が手を出そうとすると「イヤイヤ」、自分の思い通りにできないと「イヤイヤ」
体が大きくなり、運動能力も上がっているため、追いかけて、抱っこして、なだめるのも一苦労です。
そんなイヤイヤ期を乗り切るための子育て術について書いてみたいと思います。
イヤイヤ期は何故あるのか?
1.自我が大きくなる
自我が大きくなると、「自分のもの」「自分の場所」という意識が強くなります。
すると、何でも「じぶん、じぶん」といって、自分でやりたがったり、他人のものを横取りするようになります。
こうした行為に対して、大人は手を出したり、叱ることになります。
しかし、2歳の子供は、自我を制御する力が弱いため、大人に対して「イヤイヤ」と反抗します。
2.イメージと体の発達にギャップがある
2歳になると、おままごとなどの「ごっこ遊び」を始めると思います。
これは、目の前には存在しないものを頭の中で想像して遊んでいるのです。
イメージする力は成長によって新たに獲得した能力です。
なので、2歳の子供は、「こうしたい!」というイメージを持つことができます。
しかし、体の発達が十分でないため、イメージしたことが、必ずしも実現できるとは限りません。
例えば、「自分でお着替えするイメージがあるけれど、どうしてもボタンが留められない。」
こんな時に、癇癪(かんしゃく)を起こしてしまうのです。
3.自己中心的である
イメージすることができるようになったとは言え、まだまだ未発達の段階です。
具体的には「相手の立場に立って想像する」ということがまだできません。
「自分がこうしたい!」と思って行動することが、他人にどんな影響を及ぼすのか想像できないのです。
だから「イヤイヤ」と自分勝手に行動してしまうのです。
イヤイヤ期の教科書的な対処法
毎日、イヤイヤをぶつけられる親は本当にたいへんです。
夜になって寝てくれると、本当にほっとします。
イヤイヤの子供に対してどう対処したらいいのでしょうか?
まずは、一般的に良く言われている「対処法」を紹介します。
1.子供を尊重し、やりたいようにやらせてみる
2歳は自我が芽生え、好奇心もますます旺盛になります。
何でも「ダメ」「ダメ」と言って、新しいことに挑戦したいという気持ちを否定することは極力避けましょう。
何でもやってみること通じて、新しい能力を獲得することができるのです。
また、「やさせてくれた」ということは、「親が自分を受け入れてくれた」という想いにつながり、安心感を生みます。
しかし、現実は・・・
「やりたいようにやらせてみる」
とても大事なことだと思います。
本当はそうしてあげたいと、心から思っています。
でも現実として、共働きが当たり前になった現在の夫婦には、時間がありません。
限られた時間の範囲でしか、やらせてあげることができません。
2.子供の「できない」を受けとめる
イライラは、自分のやりたいイメージと、それを実現させるための体の成長が追いついていないというギャップから生じます。
だから、できない子供の心を受けとめて、勇気づける言葉を掛けましょう。
しかし、現実は・・・
例えば、イヤイヤ期の子供を育てていたcawaiku編集部のスタッフはこんな経験をしています。
『できない、えーーん』
「大丈夫だよ。もう少しでできるようになるよ、今回はママが手伝ってあげようね」
『じぶんでやるのー、えーん』
「それじゃ、ママが見ててあげるからガンバろっか?」
『グスン、できない、えーんえーん』
「だから、ママが今回は手伝うから」
『じぶんでやるのー』
多くの親は、このように何度も子供の気持ちを受けとめていることでしょう。
抱っこもして、慰めています。
でも、毎回、同じところで躓いて、そのたびに「イヤイヤ」されるのですから、本当に疲れるでしょう。
3.いけないことは、しっかり叱る
叱るポイントは次のようなものです。
叱るのは本当に大事です。
ダメなことは、ダメとしっかり分からせないと、いつか大きなトラブルになります。
しかし、現実は・・・
では、2歳を叱ってみると、実際にはどうなるのでしょうか?
(子供と目を合わてながら)「こらっ、食べ物を投げてはいけない!」
「ママが作ったんだよ、すごく悲しいよ。」
「床に落ちたらもう食べれないし、ママが床を掃除しないといけなくなるの」
『えへへへー』
「笑わない!食べ物は大事にしないとダメ!」
子供はニヤニヤしながら、今度は、食べ残した、から揚げを『ぽいっ』
「だから、たった今、ダメって叱ったでしょ・・・。」
こんなことが毎日起きるのです。
叱るのは大事だけど、毎日毎日、もう本当に疲れたと思っているママ・パパはたくさんいることでしょう。
以上のような教科書的な対処法は確かにどれも大切ではあるけれども、日々のめまぐるしい生活の中では、もっと即効性のある対処法がほしいところです。
すぐに使える「イヤイヤ期」の裏ワザ的対処法
それでは、教科書的でない、より実践的なイヤイヤ対処法をご紹介します。
わかりやすく説明するために、1日に何度も行う生活習慣「手洗い・うがい」を具体例にしたいと思います。
「手洗い・うがい」は次のような過程で行うとします。
2.軽く水で洗う
3.石鹸をつける
4.手をごしごしする
5.水で流す
6.コップに水を入れる
7.水を口に入れる
8.水を吐く
9.6~8を3回繰り返す
10.手を拭く
2歳の絶賛イヤイヤ期の子供は、10個の過程の全てでイヤイヤする可能性がありますよね?
例えば、「そもそも手を洗うための踏み台にすら乗ってくれない」とか。
乗せようとすると「イヤイヤ」といって、走って逃げ回るので、仕方なく子供を捕まえて踏み台に乗せようとするも、泣きながら暴れられてしまう・・・。
そのたびに、「やりたくないよね」と子供の気持ちを受け止めたり、叱ったりといった対応ができるでしょうか?
「手洗い・うがい」だけでも毎日3~4回ありますから、なかなか難しいと思います。
そこで、こんな方法を実践していました。
1.子供の「やってみたい!」0.5歩先に提案する
この方法は、そもそも子供がイヤイヤしないようにするための方法です。
イヤイヤは、第一に「自分がやりたい!」ことを、親が勝手にとめたり、やり方を否定されたときに、よく発症します。
なので、基本的に子供にやらせます。
しかし、見守るだけだとちっとも先に進まないため、子供の隣にぴったりと親がくっついて、子供が「やってみたい!」と思うことを0.5歩先に促すのです。
具体的にはこうです。
「2.水で軽く洗う」ことを子供にやらせると、どんどん水遊びにのめり込んでいきます。
そんな時に、「ダメ」とか「早く石鹸つけなさい」と言ってはいけません。
そうではなく、水で手を洗い流し始めて、遊び始める兆候が見えたら、すかさず親の手を差し出して、
「はい、パパの手に石鹸つけてくれる?じゃあ自分の手にもつけてね」
と言って、それとなく次に移行するように促すのです。
「パパに石鹸つけるの私がやる!」みたいな感じで、水遊びを忘れて移行してくれます。
ただし、子供の心の中で、水で手を洗う時間が短すぎる状態で、次の行為を促すと、やっぱりイヤイヤします。
なので「0.5歩」だけ先に行くということが重要なのです。
例えば、手洗いが終わって、うがいに移行するときに、本人に任せていると、コップに水を入れては捨てて、入れては捨てて・・・と、何度も繰り返して、一向に水を口に入れようとしません。
そこで手洗いが終わった瞬間に
「はい、パパのコップにお水入れて!はい、〇〇ちゃんのコップにも水を入れて!せーの!ぶくぶくーー!」
と言って、一緒にうがいをすると、上手に次の行為に移れます。
つまり、子供の「やってみたい」という気持ちを、切れ目なく先んじて提供することで、子供の気持ちを尊重しながらも、大人が誘導したい方向に進めることができるのです。
ただ、言うほど簡単ではありません。
この方法を実現させるために必要なのは「観察力」です。
子供の動きを細かいところまで「じーっ」と見つめて、遊びが始まりそうな0.5歩手前で、次の「やってみたい」を提供するという一流ホテルマン並みの観察力を鍛えなければいけません。
実際には、毎日、子供の行為を注意深く観察していれば、自然に身についてくるはずです。
2.全てを遊びに持って行け!
これも、そもそも子供がイヤイヤしないようにするための方法です。
結局のところ楽しければ、子供は自ら進んでやってくれます。
でも、楽しいだけだと、次の行為に移ってくれないので、「子供の0.5歩先に!」と組み合わせることが必要です。
具体的には、ご飯を食べ終わって、手洗い・うがいに行くとします。
でも、洗面所の踏み台に乗ろうとしません。
そんな時は、「ごちそうさま」をして洗面所に行く際に、例えば「3,2,1じゃーんぷ」と言って椅子から降ろして、「おててを洗いにお散歩だー」といって、手を繋いで歌を歌いながら洗面所に移動します。
石鹸を手に付けさせるときも、「さあ〇〇選手、石鹸を落とさずに手に付けられるかな??」といった感じで、1個1個の動作を遊びにしてしまいます。
お水の「くちゅくちゅぺ」でも、「お水をペーしたら、びよよん星人があらわれるよー」と言って、実際に『ぶくぶく、ぺー』をしたら、「びよよーーーん」とやってあげます。
このように、1つ1つの動作に遊びをくっつけることでイヤイヤせずにその動作で必要なことができるようになります。
ただし、遊びが楽しいと「もういっかい!」「もういっかい!」と言われてしまい、次の行為に移れなくなります。
そこで、「もういっかい!」と言われる前に、「子供の0.5歩先に」次の遊びを提供してください。
何度も繰り返してやっていくうちに、大人も子供も慣れて、テンポが良くなります。
すると、5分かかっていた「手洗い・うがい」が1分もかからずに素早くできるようになるのです。
ただし、実践するには、子供をよく観察しつつも、次々と遊びを提供してくという、高い集中力が必要になります。
少しでもタイミングがずれると「イヤイヤ」が始まるので要注意です。