子供がイヤイヤ期になったら知っておきたい発達心理学の話

2歳から3歳頃の「イヤイヤ期」の子供に対して、親としてどんな対応をすべきか発達心理学の基本的な考え方を説明します。

基礎知識が分かっていれば、気持ちにも余裕がうまれ冷静に対応できるようになるかもしれません。

発達心理学で2歳頃はどんな状態とされているのか?


発達心理学では2歳~3歳頃までの「イヤイヤ期」のことを「第一次反抗期」と呼びます。

この時期の幼児はどのような発達状態なのでしょうか?

1.自己制御できない

2歳頃になると、自分と他人が違う存在であることが認識できるようになっています。

これを「自我」と呼びます。

また体の成長に伴ってできることも少しずつ増えてくるために、自分の中にある欲求を表現できるようになってきます。

2歳前後の子供が「じぶん!じぶん!」と言って、親の手を借りずに自分でやろうとすることは自我のあらわれであり、自立に欠かせない成長過程のひとつです。

しかし、まだこの時期の子供は「自己制御」ができません。

自己制御とは、「やりたい!」という自己実現と、「我慢しよう」という自己抑制のバランスをとることですが、2~3歳の子供はまだ自己抑制ができない段階です。

2.自己中心的

ピアジェと言う心理学者が、2歳から7歳までの子供の認知(考え方やモノの見方)について、「自己中心的」な特徴をもつ発達段階であるとしています。

ここで言う「自己中心的」というのは、「わがまま」という意味ではありません。

イヤイヤ期の子供の態度を見ると、「なんて、わがままなんだ!」と思ってしまいがちですが、そうではありません。

この時期の子供は、自分と他人は違う『存在』であるとは分かっていますが、自分と他人は違う『考え』を持っているとまでは理解できていない段階なのです。

例えば、子供が「あれやりたい!」と考えた時に、親は「それは危ない」「それをやらせる時間がない」と、子供と異なる考えを持つことがあります。

しかし、子供は「ママは自分と違うことを考えている」とは思わず、むしろ「ママも同じ考えのはずだ」というような自己中心的な認知状態なのです。

4歳を過ぎると他人は自分と異なる考えを持っていることが分かり始めて、「これをやりたいけど、ママはダメって言うかもしれない」と少しずつ考えられるようになっていきます。

3.課題は自発性と罪悪感

エリクソンという心理学者は人間の一生を8つの段階に分けて、それぞれの段階に乗り越えるべき『課題』があると考えました。

イヤイヤ期は、エリクソンの分類では「幼児前期(1~3歳)」と「幼児後期(3~6歳)」に該当します。

まず、幼児前期は、手洗い、うがい、お着替え、排泄など、基本的な生活を身に着ける「自律性」が発達上の課題となります。

そして、幼児後期は、自分がやりたいと思うことを実現する「自発性」が発達上の課題となります。

幼児期に自分の主張が家族に受け入れられると、その後、親のいない集団生活においても積極性を発揮できるようになるとされています。

しかし、自己主張は全て受け入れられるわけではなく、むしろ自己主張した結果、親に叱られてしまったという「罪悪感」を伴うことがあります。

叱られてばかりで「自発性」を発揮できず、叱られるかもしれないという「罪悪感」ばかりが強くなってしまうと、その後の性格形成にも影響を及ぼすと考えられています。

イヤイヤ期の子供にはどんな対応をすればよいのか?


ここまで2~3歳ことの子供の発達状態について見てきましたが、それを踏まえてどんな対応が望ましいのか説明していきます。

ただし、実際の子育てでは常にこのような対応をとることは難しいでしょう。

知識として頭の片隅に置いておいて、子育ての最中に「あれでよかったのか?」と悩んだときに何かヒントになるかもしれません。

1.できるだけやらせてあげる

イヤイヤ期の子供は、体の発達が未熟なこともあり「箸で食べたい」「ハサミで切りたい」など欲求があっても実現できないことがあります。

親から見て「まだ難しいだろう」と思うようなことでも、本人がやりたいのであれば、「まだ無理だよ」「危ないよ」と言って拒絶するのではなく、危なくないように見守りながら、できるだけやらせてあげるようにします。

子供の欲求を積極的に叶えてあげることで、「もっとやりたい」という積極性が育まれて、自立につながっていきます。

2.やろうとしたことを肯定する

子供の希望を叶えてやらせてみても、上手くできないことが多いでしょう。

そんな時に親は「まだ早いよ」「だから無理だって言ったろう」と言うような否定的な言動をするのではなく、「頑張ったね」「もう少し大きくなったらきっとできるよ」と肯定的に励ますようにします。

「これをやってみたい」という気持ちよりも、「挑戦したけど失敗した」「挑戦したけど叱られた」というような恥や罪悪感の気持ちがあまりに強くなりすぎると、やりたいことも我慢しすぎてしまう消極的な性格になる可能性も否定できません。

3.子供の欲求を受け止める

2~3歳の子供は他人(親、きょうだい、友達など)の気持ちを理解することはまだできません。

だからこそ、自分が「やりたい!」という事については、他人の迷惑になるようなことでも、積極的にやろうとしてしまうのです。

子供の自発的な行動を止めてしまった場合には、おそらく子供は泣いたり怒ったりするでしょうが、その際には「〇〇やりたかったのね」と言って抱きしめるなどして、親が子供の気持ちを理解していることを言葉や態度で伝えてあげるようにします。

「ママやパパはあなたの気持ちが分かっているよ」という安心感を与えたうえで、「ママ(パパ)はこう思ってるんだよ」「〇〇ちゃんは、こう思ってるよ」と話してあげて、子供が他人の気持ちを理解するためのきっかけにしてあげます。

しかし、すぐに他人の気持ちを理解できるようになるわけではないので、きっと同じことを何度も繰り返してしまうでしょう。

しかし、成長に伴って、それまでの経験をもとに「(他人は)こう思うかもしれない」と考えられるようになります。

そして、他人の気持ちを理解することで自我を制御する力も身についてきます。