目次
初正月に欠かせない破魔弓・羽子板の飾り方について解説します。
飾る期間はいつから・いつまでが慣例となっているのか知っておきましょう。
破魔弓と羽子板はいつから飾る?
1.一般的には12月中旬
初正月を迎える際の「破魔弓」や「羽子板」は、12月中旬に飾り付けをするのが一般的です。
「門松」や「鏡もち」などの通常の正月飾りは12月26~28日の間に飾り付けるのが慣習となっているので、それよりも早い時期に飾り付けをします。
正月飾りの中でも、破魔弓と羽子板だけ飾り付け時期が異なるのは、以下のような理由があるからです。
まず、「門松」などの通常の正月飾りは、1年の幸福をもたらすとされる「歳神様(先祖の霊)」を正月にお迎えするための飾りであるのに対して、「破魔弓」と「羽子板」は邪気を払って病から子供を守るための飾りであるとされています。
つまり、飾る意味合いが他の正月飾りとはそもそも異なっているのです。
また、現在の暦になる以前の「旧暦(月の満ち欠けで日にちを数えていた)」では12月は「丑の月」、1月は「寅の月」とされていました。
「丑寅」は方角にすると北東を指し、鬼(病気・災い)がやってくるとされる方角、いわいる「鬼門」として忌み嫌われていました。
つまり、12月~1月の鬼門の時期に赤ちゃんを病から守るため「破魔弓」や「羽子板」を飾っているのです。
そのため正月飾りよりも早い時期に飾り付けることが習わしとなっているのです。
現在のように12月中旬に飾り付けをするようになった理由は定かではありませんが、おそらく江戸時代の後期になって破魔弓・羽子板が「正月飾り」として庶民に定着したことで、「御事始め(おことはじめ)」に合わせて飾られるようになったのではないでしょうか。
「御事始め」とは12月8日(関西では13日)から始まる正月の準備支度のことです。
「御事始め」では、家の天井や壁に積もったホコリや煤(すす)を落とす「煤払い」が行われます。
要するに「煤払い」で家の中を綺麗してから、破魔弓・羽子板の飾り付けしたことが理由のひとつではないかと想像できるのです。
2.決まりはない
このように破魔弓・羽子板を飾る日については12月中旬頃とされているだけで、厳密な決まりはありません。
さらに現在では12月のイベントとしてクリスマスが定着しています。
特に年上の兄姉がいる場合には、クリスマスが終わるまでは、ツリーやリースなどのクリスマスデコレーションを家中に飾っておきたいという気持ちになることでしょう。
また、見た目の雰囲気として、クリスマス飾りと正月飾りが一緒に並んでいるのはかなり違和感を感じることでしょう。
その場合には慣習にこだわらず、クリスマスが終わってから他の正月飾りと同じように飾り付けをしても構わないでしょう。
ただ、初正月だけは一生に一度しかないのですから、縁起を担いで12月中旬に飾ることをおすすめしたいです。
3.大晦日の飾り付けはNG
しかし、厳密な決まりはないとはいえ、12月31日の大晦日に飾り付けをするのは控えましょう。
遅くとも30日までに破魔弓・羽子板を含めた正月飾りの飾り付けを終えるのがしきたりです。
大晦日に飾り付けをすることを「一夜飾り」と呼び、歳神様に対して礼を失している、葬式の準備のようであるとして、昔から忌み嫌われてきたからです。
そこまで信心深い人はほとんどいないでしょうが、せっかく思いを込めて買った初正月の飾りなので、少しでも長く飾って楽しみましょう。
破魔弓と羽子板はいつまでに片づける?
1.基本は1月15日まで
破魔弓・羽子板は1月15日まで飾ることができます。
1月15日は「小正月」と呼ばれ、神社などでは「左義長(さぎちょう)」または「どんと焼き」と呼ばれる正月飾りのお焚き上げが行われる日だからです。
実際に初正月のために購入するような高価な破魔弓・羽子板を焼くことはありませんが、左義長に合わせるのが通例となっています。
ちなみに1月15日が「小正月」とされるのは、旧暦の15日は満月の日となるため区切りとしてわかりやすいからです。
その意味では旧暦12月15日の満月から次の満月まで破魔弓・羽子板を飾っておくという慣習は、実に合理的で昔の人の知恵を感じさせます。
2.地域によっては1月7日まで
一方で、そもそも「正月」とされる期間は地域によって異なります。
1月20日まで正月期間とする地方もあれば、1月7日までの正月と考える地域もあります。
とくに1月7日までを「松の内」と呼び、正月飾り(松飾り)を7日に片づけるという風習があるため、この日を持って正月が終わる考えることもできます。
学校の冬休みも1月7日で終わる地域が多いので、7日をもって正月が終わるという感覚を持つ人は非常に多いのではないでしょうか。
したがって、破魔弓・羽子板についても正月が終わる1月7日に合わせて片づけるという考え方で差し支えありません。
3.三が日で片づけても良い
共働きの家庭では1月3日で正月休みが終わり、翌日からは忙しい毎日が始まります。
早めに正月の片づけをしてしまいたいと考えているのであれば、三が日をもって破魔弓・羽子板を含む正月飾りを片づけても良いでしょう。