母乳育児中のママの乳房に「しこり」ができてしまい、なかなか取れない時の対応について解説します。
なかなか消えない「しこり」はどうする?
1.痛みの有無にかかわらず医療機関で相談を
母乳で育児をしていて「しこり」ができることは決して珍しくありません。
乳房に「腫れ」や「痛み」「熱間」「赤み」などがあれば、早めにかかりつけの産婦人科などで診てもらうのが良いでしょう。
また、上記のような症状がない母乳の一部分にできる軽度の乳管閉塞(母乳の通り道のつまり)であれば、授乳をすることで自然に「しこり」が消えることも多くあります。
しかし、数日経過しても「しこり」が残っているようであれば、やはり母乳外来などで助産師や医師に診てもらうほうが良いでしょう。
2.軽度の「しこり」は授乳方法を見直してみる
軽度の乳管閉塞(しこり)が起きる原因は様々です。
例えば、初産婦の場合は乳管が狭いなどの理由で閉塞が起きやすくなりますし、経産婦であっても「抱き方」や「回数」などの授乳方法に問題がある場合は、母乳が正常に排出されずに「うつ乳」の状態になって、乳房全体が張ったり、一部にしこりができやすくなります。
乳管が狭い場合は、助産師によるマッサージを受けたり、頻回に飲ませるなどの対応方法が考えられ、授乳方法に問題がある場合には「フットボール抱き」や「縦抱き」にしたり、「しこり」のあるほうの乳房から飲ませるなどの対応方法があります。
いずれにしても、ママの生活習慣やおっぱいの形状、赤ちゃんの口の形などには個人差があるため、「しこり」がすぐに消えない場合には、やはり経験豊富な助産師に相談をして、母子に合った授乳方法を一緒に探してもらうことが望ましいでしょう。
3.母乳が原因ではない「しこり」もある
母乳が直接的な原因ではない「しこり」のケースを以下にいくつか紹介します。
いずれの場合でも医療機関に受診しましょう。
乳腺炎
しこり部分が、発赤(あかみ)している、熱を持っている、痛みがある場合には、「乳腺炎」の可能性があります。
「乳腺炎」には、母乳が正常に排出されない「うつ乳」を原因とした「うっ滞性乳腺炎」がありますが、さらに細菌が侵入してしまった「化膿性乳腺炎」に発展することがあります。
また、授乳中は赤ちゃんにおっぱいを吸わせていることから、乳頭が傷つくことがありますが、その傷口からも細菌が侵入して乳腺炎になることもあります。
腫瘍(しゅよう)
「しこり」自体に痛みがなく、授乳や日常生活に支障がない場合でも、「しこり」が何日も取れないのであれば、医療機関を受診ましょう。
乳管閉塞による「しこり」だけでなく「腫瘍」による「しこり」の可能性もあるからです。
なお、腫瘍には「良性」のものと「悪性(癌)」のものがあり、検査をすることで診断を行います。
(参考出典)
助産師学会「母乳ガイドライン」
医学書院「新看護学・母子看護」
医学書院「母性看護学2」
南山堂「母乳育児学」
インターメディカ「母性看護技術」
小学館「家庭の医学大辞典」