新生児の9割に見られる黄疸ですが、生理的(正常)な黄疸と、病気による黄疸の違いは何でしょうか?
新生児黄疸における「正常」と「異常」の違いを分けるビリルビン値について解説します。
黄疸とビリルビン
黄疸は、血液中にあるビリルビンの濃度が上昇することによって引き起こされます。
ビリルビンは黄色い色素をもっているため、この物質が増加すると、皮膚や白目が黄色味を帯びるようになります。
ビリルビンの測定方法
新生児は、産科入院中に毎日、新生児黄疸計(経皮ビリルビノメーター)という機械を使用して測定します。
計測機を赤ちゃんの皮膚に当てるだけで経皮ビリルビン濃度を測定できるため、新生児にとっては、採血よりもストレスが少なくなります。
新生児黄疸計は、ビリルビンの値に異常がないかスクリーニングするために用いられます。
もし、数値が高ければ採血をして、より精密に血中のビリルビン値を調べます。
新生児のビリルビン値
1.新生児黄疸(生理的黄疸)の場合
ビリルビン値は、2500g以上で誕生した新生児の場合で、生後2~3日目に5~7mg/dlとなり、肉眼で黄疸が確認できるようになります。
そして、生後4~5日目でピークに達し、13mg/dl前後となります。
その後は、減少して2週間内に黄疸が見られなくなります。
しかし、ビリルビン値が次のような場合は、なんらかの異常が考えられます。
など
2.高ビリルビン血症の場合
出生時の体重が2500g以上である正常新生児の場合でビリルビン値が16mg以上になると「高ビリルビン血症」と呼ばれ、新生児の日齢や体重等を考慮したうえで、「核黄疸」を予防するために、ビリルビン値を下げる「光線療法」が行われます。
「核黄疸」とは、異常に増えたビリルビンが脳の神経細胞に蓄積して中毒を起こすことです。
深刻な場合は脳性まひなどの後遺症が残ることがあります。
また、「光線療法」とは、青い光を赤ちゃんの皮膚に当てることで、ビリルビンを水に溶けやすい性質に変換する治療法です。
水に溶ける性質に変化したビリルビンは、肝臓から腸に運ばれて便や尿として排出されるので、血液中のビリルビン値が下がり、核黄疸になることを予防します。
3.母乳性黄疸の場合
母乳が原因で高ビリルビン血症になることがあります。
これを母乳性黄疸と呼びます。
母乳性黄疸は、発育・発達も正常であることが多く、核黄疸の心配もありません。
母乳性黄疸のビリルビン値は、生後5日前後から増えていき、2~3週間でピークとなって、しばらく高い値が継続します。
ビリルビン値はピーク時には20mg以上になることがあります。
しかし、2~3か月を経過すると自然に黄疸は消失します